広告

RSSフィード

   
テイクアウト戦線は
「ヘルシーで、美味しいデリ」が主役

テイクアウトは手軽な販売促進の手段、客の回転率を向上させる手段というイメージをもたれがちだが、実はちょっとした工夫の有無が成功と失敗を分けている。効果 をあげるにはユーザーニーズの分析が不可欠だ。行列ができる店もあれば、いつも空いている店もある。その違いは何だろう?

●コンセプトを明確に! 平凡なメニューはいらない。
  その店独自の商品力をアピールしよう!

その店独自のテーマ性をもった美味しさを訴求


 商品の競争力をどこで訴求するかは重要な戦略判断だ。価格は他店と同等で、品質、量 目、ともに競合店を上回るという設計がベター。とくに、テイクアウト利用のリピート率をあげるには「味のよさ」を忘れてはいけない。
 このとき、無難な美味しさでは意味がない。とくにテイクアウト商品は、売れることを優先した内容のものになりやすいため、使われる素材や料理の内容、味付け、取り合わせなどがパターン化しがち。しかし、とっつきやすい、無難な商品はその店でなくても買える。それより、テーマ性のあるメニュー開発が重要。ランチ商戦は近隣の固定化したメンバーをどう掴むかにかかっている。だから、その日は売れなくてもいずれファンになってもらえるような商品を置くことが大切だ。たとえば、デリカフェの先駆的存在でもある「ニューズデリ」では「世界の食材を使ったニューズデリ独自の新しい料理」をコンセプトに商品開発を行っている。また、フレンチレストラン「ミクニ」がつくったミクニズカフェは高級レストランの味を気軽に楽しんでもらおうというコンセプトで誕生したものだ。
 つまり、「ここでしか味わえない特別の美味しさを気軽に楽しむ」というお得感の演出が大切。その店の売りや個性を上手にテイクアウト商品に盛り込むことを忘れないでもらいたい。


スローフード、ヘルシー志向をアピールする

 利用客のなかでも情報交換が盛んなのは若い女性たち。一人の女性客を掴めば、確実にファンは増える。今ならヘルシー志向を訴求した商品を揃えるのもいい。たとえば、米飯なら、玄米、五穀米、麦入りご飯などを使用したり、コンパクトなパッケージに入れてカロリーを抑えたり…。ミクニズカフェでは「素材となる一つひとつの野菜について2〜3ヵ所の契約産地があり、そのときどきの旬の状態で味わえるよう、季節によって仕入れ場所を変えています」というこだわりかた。
 ミクニズカフェのある丸の内はオフィス街だけに、ランチだけでなく朝食にデリをテイクアウトしていくビジネスマンやOLもいる。仕事の後や買い物帰りに買って帰る、働く主婦層も少なくない。デリに並ぶ商品の7〜8割はテイクアウトだ。
 一方、ニューズデリ表参道店では20種類ものサラダ、ジャガイモ、カボチャ、豆腐を使ったヘルシー感覚の惣菜が人気だ。商品には保存料、着色料はいっさい使われていない。また、同店は8月、銀座にも新規オープン。ここはビタミンハウスというテーマで、フードメニューに使われている素材に含まれているビタミン類と、その効果 がわかるように表示されている。「銀座という土地柄、働く人の健康を考えたメニュー作りをしていく」という方針だ。
 面白いことに、ミクニズカフェも、ニューズデリもファストフードの対極にある「スローフード」をアピールしている。スローフードとは「ゆっくり食事を楽しむ」、「ゆっくりと自然の流れに沿って時間をかけて作った素材を使用する」ということ。このような「こだわり」が売れるデリをつくると言えるだろう。


イメージ作り、ファン作りをこころがけよう

 すでにチェーン店系カフェも乱立していた日本で、あっという間に定着したスターバックスカフェを考えると、イメージ作りの大切さがよくわかる。数年前の日本で屋内全席禁煙という方針を打ち出したことも、豊富なメニューがある分、初めての人はどう頼めばいいのかわかりにくい、というシステムも異例のことだったはずだ。
 ところが、その方針が功を奏して、若い女性の人気をさらった。禁煙ゆえ、中年サラリーマンの少ないおしゃれなカフェで、シロップ、フレーバー、ホイップクリームなどを自由にトッピングして自分の好みの味にして楽しむ。マイタンブラーを持っていけば20 円引きになる。何度も通い、味やシステムを熟知すれば「私だけの」という特別 な気分を味わえる。おしゃれであること、スタイルがあること、こだわりをもっていることが女性をひきつけたポイントだ。真似ではなく、独自のスタイルをつくることがファンを増やすコツといえるだろう。
 これはニューズデリも同様だ。
 「今日はどこのニューズデリに行く?とお客様に言っていただけるような店作りを心がけています」と言うのはニューズデリプロデューサーの青山邦彰さん。
 「表参道店オープン当初は生姜焼きなど男性好みの定食も提供していたんですが、女性客に照準を絞った品揃えにしてから売上げが伸びました」このように独自のスタイルを利用客が認めれば、飛躍は決して難しくない。凡庸なスタイルやどこかの真似では行列ができる店になることは不可能だ。

   
 
  2/3  
 

Page Top