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 2003.1.19  
 BSE(狂牛病)によって大幅に落ち込んでいた牛肉の需要が回復してきた。輸入牛肉も順調に回復している。しかし、牛肉輸入量 が四半期集計で前年同期比17%以上増加した場合に、自動的に関税率を38.5%から50%に引き上げるというセーフガードに抵触しそうな状況なのである。外食産業は牛丼、ハンバーガー、焼肉、ステーキと、輸入牛肉に頼る業態が多く、11.5%もの関税アップはコスト高、経営圧迫に直接響くと、業界団体は反発を強めている。セーフガードは果 して回避できるのか。
 
昨年度実施されたBSE全頭検査
牛肉輸入関税が
なぜ11.5%アップするのか


 一昨年9月10日に国内でBSE感染牛が確認されたことにより、消費者の底知れない不安感から牛肉需要が大幅に落ち込み、一時、スーパーマーケットの店頭から牛肉が消える事態に発展したことは、記憶に新しい。

 外食産業においても、牛丼、ハンバーガー、焼肉、ステーキといった牛肉をメインに扱う飲食店は大打撃。軒並み業績が悪化し、倒産、廃業までもが相次いだ。
 しかし、政府、農林水産省の迅速な対応により、同年10月18日から国内牛がBSEに感染しているかどうかを調べるという、世界にも類を見ない「全頭検査」を実施。多少の紆余曲折があったものの、昨年7月以降は、暴落していた牛枝肉卸売販売価格は、BSE発生直前の水準、1キロあたり1010円前後(東京・大阪食肉市場の頭数加重平均)まで戻してきており、消費者の牛肉への信頼感が回復してきていることがうかがわれる。


 需要が回復してきて、やっと一息ついた外食産業ではあるが、一難去ってまた一難、ここにきて新たなる試練に巻き込まれそうな雲行きになってきた。それが、輸入牛肉の関税引き上げ問題である。
 日本は平成5年のウルグアイ・ラウンドによる合意によって、アメリカ、オーストラリアなど、牛肉輸出国の強い要望で8.5%に輸入関税を自主的に引き下げる約束をしている。この数値は、国際的に要求された関税水準50%をはるかに下回っている。


 しかしその代償として、輸入量が第1四半期(4〜6月)ベースで前年同期比17%増以上となった場合には、自動的に関税率が11.5%引き上げとなる。これによりもとの50%に戻すセーフガードが次の第3四半期、7月から翌年3月までの9カ月にわたって発動されることが、関税暫定措置法で決められている。



 

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