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 2003.8.10  
 去る7月1日、内閣府に「食品安全委員会」が発足。担当大臣として、谷垣禎一食品安全等担当大臣が任命された。これにより、今まで、農林水産省と厚生労働省にまたがって いた食品の縦割り行政が見直され、不祥事が相次いだ食品の安全性に対する信頼回復に、国も本腰を入れはじめたことを示したと言えよう。そうした中で、ますます注目度がアッ プしているのが、食品の履歴が店頭から原産地まで追跡できる「食品トレーサビリティ」である。食品トレーサビリティによって、「食」ビジネスは、失われた信頼を取り戻し、 強いブランド力の構築が可能になる。
 
食品安全委員会設立。国も本腰を入れる「食」の信頼回復

 BSE(狂牛病)問題によって頂点に達した感のある、消費者の食の安全性への不信感を払拭するために、官民あげての努力が続けられている。
 民間では、スーパーマーケットなどの店頭で、生産者の顔写真をパネルにして掲げたり、タッチパネルによって生産履歴が確認できるシステムが導入されてきている。また、食品メーカーでも、商品に表示された品質保証番号などから、消費者がインターネットで、生産履歴や原材料の詳細までもがわかるシステムを構築するところが出てきている。外食産業でも定評のある生産者団体、農家と提携して、有機農産物や減農薬減化学肥料の農産物を使用する傾向が強まっている。

 一方、政府は内閣府に7月1日、食品安全委員会を設置。谷垣禎一食品安全等担当大臣 が任命され、7人の委員の互選で、委員長には寺田雅昭・元国立がんセンター総長が就任。食品添加物、農薬、動物用医薬品などについて、科学的見地から、食品健康影響度評価を行う施策がスタートしている。また、同委員会が勧告する対策が実施されているかどうかを調査、報告する「食品安全モニター」470人が一般公募され、消費者の意見を広く取り入れながら運営していく姿勢を示している。

 そうした中で、厚生労働省が7月3日以降、中国産ウナギより日本で使用が禁止された 薬剤が検出されたために、中国からの輸入ウナギに全品検査を命じたり、7月29日に低品質の米を「山形県産あきたこまち」と偽装表示した山形県米沢市の米卸業者が有印公文書偽造容疑で逮捕されるといった事件が発生している。
 消費者が食品の安全性を確信するまでには、まだまだ遠い道のりがあることを示すような事件であるが、食品のリスクを回避するシステムとして、注目度が増しているのが、食品トレーサビリティだ。
要であり、その公開された情報 の正しさが客観的に証明されるシステムもまた、必要である。
 トレーサビリティは、流通のどの段階にあるかによって、力点が変わってくる。
 以下、流通各段階における、食品トレーサビリティの取り組みを見ていこう。
取材・執筆 長浜 淳之介 2003年8月10日
 

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