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2004.7.3
 2000年前後の「飲食バブル」華やかかりし頃、「今の飲食店はおいしくて当たり前、サービスが良くて当たり前。そんなことより食はファッションなんだ」と、先端を自負するカフェやレストランのオーナー、シェフ、デザイナーたちは語っていた。そうした思潮をつくり出した発信源こそ、ソーホーズ・ホスピタリティ・グループと同社の社長・月川蘇豊氏であった。そのソーホーズが、こともあろうに倒産した。いったい、ソーホーズと月川氏に何が起こったのか、探ってみた。
外食業界に衝撃を与えたソーホーズ破綻のニュース
債務超過で
ついに自力再建を断念


 「実は経営が危ないのでは」といった噂こそ、以前からあったものの、まさか本当にソーホーズ・ホスピタリティ・グループ(以下ソーホーズと記す)が倒産するとは、多くの人は思っていなかっただろう。

 それほどまでに、去る5月31日のソーホーズの東京地方裁判所への民事再生法申請は衝撃的であった。当初負債は約75億円とされていたが、392名とされる債権者に対する実態調査を進めていく現状の中で、もっと増えそうな雲行きであり、100億円に達する可能性もあるらしい。2003年12月期の売上高約72億円(帝国データバンク調べ)に比べても、負債額が非常に多く、どういう錬金術で資金を集めたのか、そのあたりがまさに“バブルが弾けた”といった感がある。

 派手な店舗の仕掛けで知られる台湾小皿料理店「青龍門」や、ロバート・デ・ニーロ氏が経営者に名を連ねセレブが集う松久信幸シェフの新和食「NOBUトーキョー」などを展開するソーホーズは、店頭公開を目指して業容を拡大してきた。現在の店舗は東京を中心に23店を数える。

 この数年、外食企業が上場をして、世間の信用度、認知度を高めるとともに、オーナーをはじめ株を所有する社員や関係者が一躍、億万長者、小金持ちになるケースが続出していた。グローバルダイニングしかり、ひらまつしかり、ワイズテーブルコーポレーションしかり、レインズインターナショナルしかり、うかいしかり。こういった成功例を目の当たりにすると、ソーホーズ上場の際には、どれだけの初値を付けてくれるのかと考えると、「取らぬ狸の皮算用」ながら、大いに胸を踊らされた投資家もいただろう。
2004年7月3日 取材・執筆 長浜淳之介
 
 

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