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2004.11.20
京都発、町家ダイニングが流行る

 東京では和食のブームが続いており、しかも創作系よりオーソドックスな料理に回帰する傾向がある。そこで注目されるのが、京都のおばんざいや京野菜である。渋谷や恵比寿では、京都風和食を町家風の空間で食せる飲食店も多い。しかし、京都旅行ブームで、本場京都で町家ダイニングを体験した消費者は、本物の町家を探して、谷根千、向島といった下町に居場所を求め出している。京都を起点とした、町家ダイニングの現状と今後を追ってみた。


祇園から銀座へ進出した「祇をん八咫」
祇をん八咫

交詢社ビルの「祇をん八咫」銀座店

 1995年、京都の祇園新橋に開店し、今日の町家ダイニングブームの火付け役の1つとなったのが「祇をん八咫」。
 築100年と言われる、荒れ果てた茶屋だった建物を改装した店舗で、オーソドックスな和食店をオープン。割烹や料亭のように高級でなく、かと言って居酒屋でもない『ほどよく安い、ほどよい高級感』を狙ったのが成功。一躍、繁盛店となり、今日まで勢いは衰えていない。月商は平均して1200万円ほどある。
 席数は、バー、座敷を含めて50席ほど。
 出店の動機は、店舗プロデュースやデザインを手掛けている、京都在住の川村裕丈氏が、「実業をやってこそ、見えてくるものがある」と、プロデュサーとしてのステップアップを考えたことにある。物件を探して、歴史的建造物保存地区である祇園新橋辺りを歩いていたところ、偶然にも現在「祇をん八咫」となっている町家が目に止まった。
「もう今では入手できない建築材料を使い、素晴らしい職人技が施された建築物で、再生することにより、新しい食空間ができると思った」と川村氏。つまりプロデューサーの勘で、モダンとレトロのハイブリッドな空間の面白さに、ピンときたわけだろう。

取材・執筆 長浜淳之介 2004年11月20日

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