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フードリンクレポート


涼を呼び癒される「親水レストラン」が渇いた都会を潤す!

2008.8.13
連日のように30℃を越え、地球温暖化を否が応でも感じざるを得ない今年の夏。暑さのあまり、コンクリートに覆われた都会に潤いをもたらす、「水辺」や「緑」を恋しく思う人はとても多いのではないだろうか。そこで、大都市の中または近郊にあって、涼風を感じる立地にこだわった「親水レストラン」を特集してみた。


「ティー・ワイ・ハーバー ブルワリー」天王洲

ヒートアイランド現象で水辺の価値が見直されてきた

 歴史的に見ても、人間のつくる都市は、海、川、湖、池に面した「親水空間」を中心に発達してきた。というのは、単に飲み水と食料の穀物、野菜、水産物などを確保するためだけではなく、鉄道や飛行機や自動車ができる前は、船による輸送が交易の圧倒的な主流を占めていたからだ。

 日本の3大都市、東京、大阪、名古屋、世界的な大都会のニューヨーク、ロンドン、パリ、モスクワ、上海、ソウルなどの発祥は、例外なく海または大河に面した港湾都市である。

 このように親水空間とともに生きてきた都市の人間が、水を遠ざけ始めたのは、近代の工業化社会になって、浄化不能なほどの汚水を流すようになって以来のことだ。

 日本では1964年に開催された東京五輪を機に、汚水の流れる川を外国人に見せるのは体裁が悪く、悪臭で住民の健康も脅かされるので、大都市、特に東京では河川にコンクリートの蓋をする暗渠(あんきょ)化が進んだ。また、輸送に鉄道、飛行機、自動車が使われるようになって、相対的に港湾の地位が低下し、廃倉庫が増えたという事情もあった。

 しかし、アメリカの首都ワシントンD.C.郊外のボルティモアが60年代より30年間にわたる計画的な都市再生によって、荒廃した港湾部を再開発して、インナーハーバーなどの新たなショッピングゾーンを誕生させて以来、ウォーターフロントが注目を浴びるようになった。サンフランシスコのフィッシャーマンズワーフなど、世界中の都市で同様の試みがなされ、成功例も続いた。

 日本でも、80年代神戸の人工島、ポートアイランドを皮切りに福岡のシーサイドももちが続き、東京の台場、横浜のみなとみらい、千葉の幕張などが「臨海副都心」として開発されただけでなく、民間レベルでも「東京ディズニーランド」、芝浦のディスコ「ゴールド」、「ジュリアナ東京」などによって、ウォーターフロントは新しい価値を生み出す場所として、クリエーターたちの関心を引くようになった。

 そうした中でも下水道の整備などによって、水質の浄化は続けられ、最近ではヒートアイランド現象の回避やエコロジーの流れもあって、都会人のオアシスとして親水空間にますます賑わいが生まれてきている。

 たとえば、06年の「横浜ベイクォーター」、「アーバンドッグ ららぽーと豊洲」はともに港湾部に位置する職住近接型の大型商業施設であり、デザインも前者は豪華客船、後者は近未来的な造船所がイメージされ、施設内に水上バスの乗り場も設けられている。

 三井不動産をはじめ東京・日本橋の老舗が取り組む、一連の日本橋再生事業は、国の重要文化財・日本橋の景観を蘇生するために、首都高速の地下化、日本橋川のさらなる浄化や親水空間の設置を目指している。

 さる6月に日本橋のたもとにある国分本社ビル1階に、ゼットンがオープンした「ニホンバシ イチノイチノイチ」は、川に向かってテラスを持ち、この地区では初の親水空間を意識したレストラン、人の集まる場として、非常に意義のあるものである。

 それでは概況はこのあたりにとどめて、都会人の心を潤し、涼風が心地よい立地が魅力のレストランを紹介していこう。


ビル・グレンジャー氏とスクランブルエッグ・トースト付き

全文(有料会員様専用)の見出し
鎌倉・七里ヶ浜に世界一の朝食を出す海外1号店がオープン
180度オーシャンビューが開ける高台の絶景レストラン
運河に面したテラスで造りたてのビールを飲むぜいたく
隅田川に行き交う観光船を眺めてゆったり過ごせるカフェ
高原リゾートの雰囲気が漂う石神井池に臨むイタリアン
ニューヨークの海をほうふつさせる風景を眺めて和を食す
大阪・南堀江に全席が道頓堀川リバービューの新名所誕生
野菜メニューを前面に打ち出した「体にいい海の家」登場
料理研究家レシピを採用して新しい“ビーチメシ”を提案
(写真全41点)

【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2008年8月11日執筆

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