フードリンクレポート
1本20万円!?“シングルモルトのロールスロイス”を味わおう。
ウイスキー人気はホンモノか?現場潜入レポート Day 7
ウイスキーはゆっくり落ち着いて飲みたい。ハイボール派は違う目的。
・1本20万円!?“シングルモルトのロールスロイス”を味わおう
4月某日。麻布十番にあるBar「Maeda Bar」にて、マッカランのテイスティングセミナーが開催され、参加してきました。
マッカランは、日本ではサントリーが取り扱っているスコッチのシングルモルト・ウイスキー。その上品な香りとこだわりの製法から、高級スコッチとして“シングルモルトのロールスロイス”と呼ばれていて、日本でも人気のスコッチです。
この日は、サントリーのザ・マッカラン ブランドアンバサダーである、ロバート・ストックウェルさん、通称ボブさんが講師として、マッカランのファイン・オーク(Fine Oak)と呼ばれるシリーズの製法やテイスティングをレクチャーしてくださいました。
この日は、計5名が参加。うち女性が3名。
このファイン・オークとは、3種類の樽で熟成させた原酒をブレンドしたウイスキーのこと。ウイスキーはメーカーやブランドによって、それぞれ異なる樽を使って熟成されますが、このファイン・オークは、ヨーロピアン・オ—クのシェリー樽、アメリカン・オークのシェリー樽、アメリカン・オークのバーボン樽で熟成された3種類の原酒をブレンドして作られるウイスキーです。マッカランでは、このファイン・オークシリーズの他に、シェリー樽のみで作られるシリーズがあります。
マッカランの蒸留所はスコットランド北部のスペイサイドに位置。
ヨーロピアン・オ—クのシェリー樽は、ヨーロッパで採れたオーク(日本では、ナラやカシと訳されます)の樽でオロロソのシェリーを2年間熟成させた後の物を使います。面白いのは、シェリー香を付けるために、まずマッカランが樽を作り、それをスペインのシェリーメーカーに貸し、シェリーを作ってもらってから返してもらうそうです。後の2つも同じようにアメリカのオーク樽でシェリーやバーボンを作ってから樽を使います。つまり、複数の木の香りやシェリー、バーボンの香りで、幾つもの香りがブレンドされるため、複雑で芳醇な香りが生まれるわけです。
ちなみに、ヨーロピアン・オークは通常の他のオーク樽の5倍以上の金額で、マッカランは年間、樽に20億円以上を費やしているとか。高級なのも納得です。
お土産ともらった、マッカラン6つのこだわりを象徴するキューブ。何とも粋なグッズです。左から、ワイナリーでいうところのシャトーのような象徴的な建物「イースターエルキーハウス」の石、ウイスキーを蒸留するポット、蒸留されたうちの16%しか使われない気体、樽、ウイスキーの色、原料の一つ水、それぞれを象徴しているキューブです。
ボブさんによるマッカランの歴史、製法の説明の後は、いよいよテイスティング。今回は原酒を合わせて、8種類のウイスキーを味わいました。
「New Make Sprit」と呼ばれるウイスキーを熟成させる前、蒸留しただけの原酒。滅多にお目にかかることはできません。無色透明で、アルコール度数はなんと71%。手でグラスに蓋をして、シェイクし、手に付いた原酒の香りを確かめます。
こすってアルコール分を飛ばしながら香りを確認。レモンピールなどの柑橘系の香りと共に、小さいポットによる蒸留ならではのねっとり感やオイリーな風味もありました。
その後、ブレンドする前のヨーロピアン・オ—クのシェリー樽、アメリカン・オークのシェリー樽、アメリカン・オークのバーボン樽でそれぞれ作られた原酒をテイスティング。この原酒を18ヶ月熟成させた後テイスティングし、50樽ものそれら原酒をブレンドして、さらに熟成させるそうです。
ブレンドする前の段階の原酒たち。蒸留所以外でお目にかかれることはまずありません。
グラスの持ち方(親指と人差し指でグラスの底を挟みます)や、香りをかぐ前の色や脚(液体の垂れ具合)の見方なども教えてもらいました。
ファイン・オークの12年物、18年物、比較対象として白州12年物も試飲。続けて飲むと違いがよく分かります。でも、味の表現は人それぞれ。「テイスティングの表現に正解も不正解もありません。自分にとってどうか?それが答えです。」とボブさん。
おおとりは、超レアな一品。29年熟成の「MACALLAN1976」。一本なんと20万円!するとか。
「MACALLAN1976」ヨーロピアン・オークのシェリー樽のみを使用。
何とも言えない芳醇で奥深い香りで、匂いをかぐだけでうっとりするようないい香り。
マッカランの奥深さと、スコッチの美味しさを再確認したセミナーでした。