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第10回 2003年12月20日
 
八王子の名店、うかい亭が銀座にオープン。 23区内に初の出店となる同店は、 銀座のみゆき通りとなり、 100年続く店を目指すうかいグループに相応しい 立地であり、満を期しての出店となったようだ
池原義郎先生の作品「風と光の門」
扉を開けると広がる別世界

 近代的なビルにあるエントランスは、 白亜の城のような外観であり、一足踏み入れると 別世界の空間が広がる。


エミールガレのガラス工芸品
 玄関をデザインしたのは、日本芸術院会員であり建築家の 池原義郎先生の「風と光の門」。
 新潟県にあった江戸中期の民家を移築して 再建させたというアンティークの木造建築と 外部の世界を隔てる作品であるということだ。



 店内入口付近には、130年の歴史を持つと言われる ドイツ製のオルゴールや、ドームのスタンド照明、 ルネ・ラリックのガラス器、クリストフルのアンティークの 銀器、マイセンの絵皿、バカラの燭台、エミール・ガレの ガラス工芸品などなど、店内そのものがアンティーク美術館と なっておりウェイティングも全く飽きさせない。
 これは、うかい亭オーナーである鵜飼貞男氏が 世界各国を巡り、探し求めたものである。




壁に飾られているのは
マイセンのアンティーク絵皿
 うかい鳥山、うかい亭、うかい竹亭など うかいグループの店舗は、中央線もしくは京王線の 終点である高尾駅からバス又はタクシーなどの交通 手段が必要だ。
 決してアクセスが良いとは言えない場所でありながら うかいグループの店舗は、週末予約がなかなか 取れないことでも有名である。

ドームのライトや、クリストフルの銀器等、
店内のあちこちにアンティークが
散りばめられる
 料理長や、オーナー自身のメディアへの登場数も 決して多くは無いが、料理やサービスを含めた名声も高い。


 


 フランスの三ツ星レストランは、どんなに辺鄙な 場所であっても、名店との噂を聞きつけ、 遠くからでもその味とサービスを求めて人が集まる。
 23区内にあるというわけでは無い店舗が、 フランスの三ツ星レストランのような扱いを 受けているのは、おそらく日本ではうかいグループ の店舗だけではないだろうか?


主に少人数で来店された
お客様のためのカウンター席
 「うかいグループは、100年続く店を目指しています。
 23区内への出店は、ずっと考えていたのですが 日本最先端の情報が集まり、耐久性も 申し分無しと言える時事通信ビル1Fということで、 ようやく巡り会えた物件でした」
 と語るのは、うかい亭 銀座店店長の峰尾亨氏。

うかい亭 銀座店店長を
つとめる峰尾 亨氏
 うかい亭 銀座店は、200坪で90席。 昼の客単価は1万円、夜は2万円というこのご時世、 決して安いお店ではない。
 この値段であれば、料理がおいしいのはもちろんのこと、 店内の雰囲気や音楽など五感に訴えるサービスを目指し、 お客様に、単価に見合った満足感を感じてもらいたいと 峰尾氏は語る。



 


 
 
新鮮なあわびなども魚貝類も用意。写真は、活アワビの岩塩蒸し、黒トリュフ添え
メインディッシュにあたるステーキは、目の前でシェフが焼いてくれる
客席90席で、スタッフは常時45人!

 「当店には、マニュアルというものがありません。 サービススタッフとして応募してきたスタッフは 必ず優しい気持ちを持っています。その気持ちを 大切にサービスをして欲しい。 店内には、料理人も含めて常時45人のスタッフが おりますが、気持ちのこもったサービスを心がける スタッフに交じって働くことで、働くスタッフの 行動というものが、ついてくるものだと考えています」

 うかい亭が、これだけの人数を抱えるには理由がある。 9割の人がコースメニューを頼むということであるが カウンター席に座った場合、オードブル、スープと 続くメインディッシュにあたる魚介類やステーキは、 2人に1人のシェフがつき、付け合せや最後のガーリック ライスに至るまで材料や調理法を説明しながら 目の前で焼いてくれる。 個室の場合は、4人に一人くらいの割合でシェフが つくそうで、小一時間の間シェフがお客様へ つきっきりとなる。

焼き加減もお好み次第で仕上げる
 また、食事をした場所とは別にソファ席を用意しており デザートと飲み物をサービス。 デザートワゴンをお客様のすぐ側まで運び、 アイスクリームやシャーベットならその場で 盛り付ける。 また、熱々のタルトタタンには冷たい バニラアイスクリームをのせ、カルヴァドスを かけてくれるといった次第だ。 こういったきめ細かなサービスが、うかい亭が 指示されている理由ではないだろうか?

デザートや食後酒は、食事をした場所と別のソファ席で頂く
 取材時は、オープンして10日ということであったが 既に年内の予約で満席だそうだ。 八王子や横浜店の常連の他、週末には予約が取れなかった人が 平日、仕事帰りに予約を入れるケースも多い。 メインの客層は、30代〜50代までということで 家族連れや、接待需要など。

 下から2番目にあたる¥12,000のコースが一番良く出る コースだそうで、値ごろ感を感じて頂けるメニュー構成を 組み立てる。 メニューのリニューアルは、年6回。 料理に関しては、和食など日本人の口に合う要素を取り入れており、 料亭の"うかい鳥山"と鉄板焼きの"うかい亭"などの料理長同士の 情報交換も盛んに行っている。 他の媒体では、どこにも無い「うかい料理」と称されたこともある ということだ。

  ドリンクに関しては、ソムリエの柴田昌彦氏に話を 伺うことになった。 ドリンクオーダーの7割は、赤のフルボトルワインで 2万円程度のものが売れ筋。 お土地柄、八王子や横浜の店舗よりも高価なワインが 売れているそうで、ワインリストに載せている80種類の ワインの他、ワイン好きのお客様にも満足してもらいたいと リストに無いワインを20種類程度を用意している。 中には、売価70万円!というロマネ・コンティも ワインセラーに眠っている。

ソムリエの柴田昌彦氏
 今後は人気の焼酎や、日本酒、新鮮なキャビアに合う ウオッカなどの品揃えも考えているが、 うかい亭にふさわしい銘柄を、ということで慎重に 選んでいる最中だそうだ。

 新店ながら十分老舗の貫禄を持つ、うかい亭。 別世界の空間で、料理を心から堪能したい方は 是非一度訪れてはいかがだろうか?




銀座うかい亭
住所: 東京都中央区5-18-8 時事通信ビル
TEL: 03-3544-5252
FAX: 03-3544-6868

本誌編集長 石田 千代 2003年12月20日
 

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