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第18回 2004年2月22日
 ウイスキーを飲んだことがない女性を連れて行けるウイスキー・バーはないのだろうか? 楽しく、おいしく、リーズナブルにウイスキーを体験できるバー・・・。
 それが「日比谷バーウイスキーズ」である。
静かに客を迎え入れる入口
ウイスキーのマスターブレンダーが
一息つく「東京のオアシス」


 ウイスキー・バーなのに客単価2900円、それが「日比谷バー ウイスキーズ(以下ウイスキーズに略)」である。他のウイスキー・バーで飲んだら7000円はとられるだろうが、ここ「ウイスキーズ」は「初めての方でも気軽に入っていただきたい」(長谷川店長)という思いから、リーズナブルな値段となっている。山崎蒸溜所でつくられたオリジナル・ウイスキー「WHISKY-S(ウイスキーズ)」は山崎蒸溜所のブレンダーがこの店だけのために開発したウイスキーだ。口に含むとウイスキーのしっかりとした香りが広がり、そのあとまろやかな甘さが感じられる。

 「あちらのコーナー席はポット・スチルを模しています」(店長)そう言って案内されたのが柔らかい色の壁に囲まれたスペースである。足許からドーム状に装飾された壁まで、ポット・スチルと呼ばれる醸造器機の中にいるような雰囲気となっている。

ポット・スチルを模したコーナー席 
 手前の脇にあるのが、スピリット・セーフ(アルコール濃度を測定し、検査するための密閉容器。日本語で「検度器」 )で、かつて現役だった物を店のオブジェクトとして、実際に動かしている。またトイレの手水の受けはポット・スチルの先端部分を使用している。どこまでもウイスキーの香りが立ち上る、奥の深い世界なのだ。店のスタッフに尋ねればもっと奥深い世界に導いてもらうことができる。

 「山崎蒸溜所のブレンダーの方々も、うちに寄ってウイスキーを飲んで行かれます」というように、職人の方がよく顔を出す店だ。マッカラン蒸溜所の方も来店したことがあり、ポット・スチルを模したスペースには世界のブレンダーのサインが飾られている。
 
ウイスキーに惚れ込んだ男、長谷川店長
「私はウイスキーで素直な自分を見つけた」
店長のこだわり


 ここで店長の長谷川卓也さんにご登場いただこう。店長は90年代、アメリカのロックバンド「モトリークルー」に触発されて、ベーシストと同じスタイルでウイスキーのロックをあおったという。その後板前として修業をし、その間は好きなように飲んでいたが、日比谷バーに就職してウイスキーの可能性に目覚め、猛烈に勉強したという。 「山崎蒸溜所で研修をし、ブレンダーの方々とも話をして」多くを学んだ店長はお店に立つスタッフにもウイスキーの知識とお客様との会話を磨くよう指導している。

 ウイスキーにはまっている店長は、お店が終わった後ウイスキー・ソーダ割りを飲むのが楽しみだという。
 「ほぼ毎日飲んでいます(笑)」

 ウイスキーを伝えたいという店長の気持ちが届いて、ウイスキーは飲めなかったという女性のお客様がボトルキープをするほどの常連になったという。

チーク材一枚板のカウンター
 「そのお客様が、ボトルキープのウイスキーを出して『これで何かカクテルを』とおっしゃいます」

 店長をはじめとするスタッフはこのようなやりとりが心からうれしく、ウイスキー・カクテルの腕もぐんぐん向上しているようだ。

 あなたにとってウイスキーとは? と難しい質問をさせていただくと、長谷川さんはしばらく考え込んで、一言を口にした。
 「・・・わたしは、ウイスキーで素直な自分になりました」
 
 
人気No.1のウイスキーソニック
「ウイスキーズ」だけで味わえる、43年目のウイスキー

 「ウイスキーズ」で最もこだわっているのはウイスキーなのだが、周りを固める脇役にも決して手は抜いていない。まずは氷。これはアルプスの天然水をゆっくり3日ほどかけて凍らせたもので、透明度が高くミネラルもたっぷり含まれている。オリジナル・ウイスキーの割り水とおなじ水脈の水で、ウイスキーに最も合う物を選んだのだ。水割りの水も当然アルプスの天然水が使われる。

本マグロの薫製(右)と野菜スティック
 そして肴。人気No.1の「本マグロの燻製」はウイスキーの熟成樽に使われるオーク材によって燻した一品。やわらかいマグロ肉は楢の木の器に載せられ、とことんウイスキー好きを刺激する仕掛け。同様に人気がある「野菜スティック」はウイスキーの水割りを凍らせたグラスに差し込まれている。 右を見ても左を見てもウイスキー。にんまり微笑むウイスキー好きにとどめを刺すのが1960年のウイスキー。40年以上の熟成ウイスキーなのだが、これを飲めるのは世界中を探しても「ウイスキーズ」だけ。

 これ以外にもワイン樽で寝かせたウイスキーや杉樽熟成のウイスキーを使ったジン・トニックならぬ杉樽ウイスキー・トニックもある。さらには、スタッフが毎月行っているオリジナル・ブレンドをお客様も行うことができる。

 
予約が入るソファー席
 お客様のブレンドは「マイブレンドウイスキー」としてメニューに記載されている。タイプの異なる6種類の原酒を自由にブレンドして、自分だけのオリジナルウイスキーとして楽しめるのだ。お客様の数だけウイスキーがある、こだわりの店。樽材をプレスしたテーブル。カウンターはチーク材の1枚板。カウンター脇にある書斎のようなソファー席は人気で、来店前に電話で席を確保しようとするお客様もいるそうだ。私も銀座の夜を彷徨い歩くことがあれば、必ず「日比谷バー ウイスキーズ」の灯に辿り着くだろう。なにしろ、ウイスキーに対する店長の想いはまだまだ底をつきそうにないのだから。
 
日比谷バー ウイスキーズ
住所: 中央区銀座3-3-9 金子ビル地下1階
TEL: 03-5159-8008
URL: http://www.hibiya-bar.com/
営業時間: 17:00〜23:30 (ラストオーダー 23:00)
取材・執筆 山越 龍二 2004年2月22日
 
 

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