フードリンクレポート


<サポーターレポート>
衛生管理で国内最高クラスを誇る総合食肉卸。
株式会社プレコフーズ

2008.7.25
プレコフーズは、ISO9001、HACCPをダブル取得した、食肉衛生のスペシャリスト。食の安全への関心の高まりとともに、首都圏で売上を右肩上がりで伸ばし続けている。


クリーンルーム化された鶏解体室

食肉衛生のスペシャリスト

 同社は、1955年に東京・大井で家庭用の鶏肉小売「鳥利商店」として高波利夫氏(現会長)が創業。66年に戸越銀座に移転。近隣にスーパーが誕生し、家庭用の商売に先細りを感じた2代目、高波幸夫氏(現社長)が業務用に打って出る。六本木、渋谷の飲食店に飛び込み営業を始めた。鶏肉だけでは商材が弱く、豚肉、牛肉と扱いの幅を広げていった。そして、94年に社名から「鳥」を外し、株式会社プレコフーズに組織変更した。今も扱いの主力は鶏肉だ。


水口 透氏(株式会社プレコフーズ 東東京配送センター 取締役センター長)

 そして、2002年、本社を品川区戸越から大田区北千束に移転したのを契機に、他の食肉卸に先駆け、いち早く「衛生」を武器に差別化を始める。2004年9月に品質管理の国際規格であるISO9001認証を、2007年4月には安全な食品をお客様に提供することを目指すための規格であるHACCP認証を取得した。これらのダブル認証が同社の食品安全への意気込みを示している。飲食店からの信頼の証となっている。

 大田区北千束の本社配送センター、江東区亀戸の東東京配送センター、世田谷区北烏山の西東京配送センターは全てクリーンルーム化された作業室・鶏解体室となっている。

 食肉の品質劣化の原因は、①温度上昇による鮮度劣化、②雑菌の付着による汚染の2つ。これを防止するため、①菌をつけない、②菌を増やさない、③殺菌する、の3つが重要。鶏肉にはカンピロバクターやサルモネラという食中毒原因菌の保菌率が高い。そのためにクリーンルームには特別な仕掛けが施されている。




クリーンルーム化された作業室

「菌を付けない」ために、部屋の空気を1時間に45回入れ替えており、2ミクロンのチリやゴミを90%以上捕獲できる空調システムを導入。「菌を増やさない」ために、年間を通じて作業室を常に11度に保たれている。「殺菌する」ために食中毒の原因菌に強い殺菌効果のある微酸性電解水で鶏肉、器具、作業員を洗浄している。この工程を見学して、衛生のレベルの高さに感動し、取引を決める飲食店が多いという。さらに、近年では病院等福祉施設からの引き合いも強い。

 徹底した安全管理の下に製造された鶏肉を、5度に保たれた自社保冷トラックに積み、必ず社員が飲食店に届ける。


新鮮な鶏肉を1回1000円から配送

 同社はオリジナルブランド鶏「総州古白鶏(そうしゅうこはくどり)」を千葉県、茨城県の生産者と提携し開発した。現地で屠殺・脱羽し内臓が入ったままの解体前のト体は、翌朝各配送センターに届けられ、当日に解体する。そして、翌日には飲食店に届けられる。毎日産地直送される新鮮な鶏肉が同社の自慢だ。


「総州古白鶏(そうしゅうこはくどり)」

 配送地域は東京23区、町田市、千葉市、船橋市、浦安市、松戸市 川口市、さいたま市、川崎市、横浜市、相模原市に渡り、首都圏をほぼカバーしている。しかも、1回の発注金額1000円以上を送料無料で配達する。小規模飲食店のニーズに応えている。


社員が配送する

さらには、届けるのは、ユニフォームを着た社員。既存客のフォローの役割を果たしており、商品を置いてくるだけでなく、受注や新商品の案内、メニューの相談にも乗る。

 約20人いる営業マンは新規開拓に専念し、現在の取引先は7千店にも及ぶ。銀座だけでも毎日5便のトラックが走っている。売上高も「衛生」を取り入れた2002年度13億円、03年度16億円、04年度20億円、05年度26億円、06年度34億円、07年度41億円と、5年で売上高は3倍以上に増えている。

 鶏肉だけでなく、豚肉、牛肉そして冷凍食品までも扱う総合食肉卸。本年7月にはオリジナルブランド豚「総州三元豚 白王(はくおう)」の販売もスタート。群を抜く衛生管理システムだけでなく、様々な食肉・食材をワンストップで調達できる先として飲食店、特に小規模店の強い味方だ。


「総州三元豚 白王(はくおう)」



株式会社プレコフーズ http://www.precofoods.co.jp/

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2008年7月11日取材