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今月の特集 売れる店づくり空間づくりとは (3/3)面
空間+料理+サービス三位一体が流行をつくる!
今月の特集キーワード  
  大人も若者も気軽に足を運ぶ近未来のバーのスタイル 1面
  理屈でも数字でもなく感覚的に心地よいものを店づくりに反映させる 1面
  貸し金庫室を活かした斬新なデザイン話題性で人気を呼んだ1コインバー 2面
  時間を重ねるごとに風合いを増す”古み”が魅力のバー 2面
  大量 生産の規格品では表現できない長く愛される本物志向の店づくり 3面
  お客様は空間+料理+サービスを総合評価する 3面

 大量 生産の規格品では表現できない長く愛される本物志向の店づくり
 20数年前から、古民家の移築や改築、古材の利用を行ってきた石川さんは、このジャンルの第一人者。数々の一般 住宅を始め、飲食店では、古民家を移築した「くり亭」(葛飾区新小岩)、古材を使った「土火土火」(港区西麻布)などのほか、元待合料亭を改築したイタリアンレストランとして話題を呼んだ「カルミネ・エドキァーノ」(新宿区荒木町)も、この人の手によるものである。  石川さんによると、以前は骨董好きの粋人など、ごく一部に好まれていた手法が、店舗づくりに活かされるようになったのは10年ほど前から。癒しやなごみといった言葉とともに、古材が和のテイストやエスニック調のデザインに取り入れられ始めたという。特に最近はその傾向が顕著。背景にあるのは「オーナーの本物志向の表れではないか」と石川さんは言う。 「古民家の移築や改築、あるいは古材の再利用は、今始まったものではなく、棟梁や大工などの職人が長く受け継いできた伝統技術です。これまで打ち捨てられていたもの、見返ることのなかったものでも、手を加えることによって、より価値を増したものに再生する。 大量生産のメーカー品では出せない、古きもののよさや技術が見直されてきているのだと思います」  店舗づくりをする上での注目の素材として、石川さんが上げたのが、白木・かた木・竹・すす竹などの木材。また、じゅうく壁・珪藻土・土壁といった左官材。いずれも自然素材だが、これは前出の設計デザイナーの橋本さんも全くの同意見。斬新なデザインが多い橋本さんだが、使用する建材・素材の9割は石・ムク材・和紙・竹・漆など。イミテーションではなく本物にこだわる点では、「ファイブハンドレッド・バー ザ・バンク」の例にも通 じるところがある。  お2人の意見だけで全体論を語るのは危険かもしれないが、今の店舗づくりのキーワードが「自然素材による本物」であることは間違いない。

 お客様は空間+料理+サービスを総合評価する
 「味が落ちた」あるいは「料金が高くなった」とは、馴染みのお店が改装・改築したときに、お客様が陰でささやく言葉だ。厨房の使い勝手が多少変わったとしても、味に大きな差が出るはずはない。ましてや、改装費の原価償却費を露骨に料金に上乗せするお店もないはずである。「味が落ちた」「料金が高くなった」と感じさせるのは、馴染んできた空間が変化したことに対する違和感やとまどい。逆説的に言えば、店づくりはそれだけ大きな要素を占めていることになる。  ただし、高名なデザイナーに依頼し、ハコモノをつくればそれでOKではない。店舗の相違工夫や快適さを伝える媒体になるのは、空間の構成要素でもある人間である。客様は空間+料理+サービスを総合評価し、合格点に適ったときに始めてリピーターになる。この原点を忘れるべきではないだろう。
きえんきえら
東京都港区白金5-14-8
電話:03-3446-0609
営業:18時〜2時(平日)、18時〜1時(祝)
休日:日曜

 

↑以前は居間か寝室にでも使われていたのだろうか。むき出しの太い梁、桟の細かい障子戸や欄間などのレトロな雰囲気にユーズドの家具がマッチ
店長兼バーテンダーの安田昌隆さんは、オーナーにその腕と人柄を見込まれ、ヘッドハンティングされた人物
ボトルキャビネットの扉には、オーナーが古道具屋を訪ね回って見つけた細工物の小引き戸をさりげなく使用。カウンターはクス材の一枚板。毎日、豆乳で磨くことによってツヤを増すという
←2階に設けられている4畳弱の小上がり席。適度な広さと密室感が小グループに人気。屋根裏を利用した2畳ほどの小部屋もある
「再利用できるものはできるだけ元の姿で」のコンセプトどおり、朽ちかけた土壁もインテリアのひとつ。
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