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メディカル・レストラン

メディカル・レストラン

第2回「龍吟(りゅうぎん)」

02.27
現役の医師が、健康になれるグルメ情報をお伝えします

「健康に宜しくて美味しいお店」第二回目はやはり和食のお店を選んでみました。
わがスタッフの紹介で初めて訪れましたが・・・「未来の和食」と遭遇できました。

場所は六本木から西麻布方向に行った所。なんと入り口の扉は真っ赤。内装は一見ワイン&ダイニングバーの様な造りでとても和食のお店とは感じられません。カウンターの向こうにも仕事をされている料理人の姿はなく、ソムリエの方がカウンター越しにサーブされている姿がチラホラ見受けられます。扉や内装に面食らい・・いつの間にやら「龍吟」さんの術中にはまっている自分がありました。

「龍吟」

名店『青柳』で11年に渡り研鑽を積んだ山本征治氏による日本料理店。
(住所)東京都港区六本木7-17-24 サイド六本木ビル1F
(電話)03-3423-8006
(営業時間)18:00〜
(定休日)日曜・祝日

さあ、席に着きましょう。
今夜の所長の夕食は、

  1. 美食宮殿 1スプーン Blanc de Noir のマリアージュ
  2. 龍吟スペシャリテ 北海道余市のあんこうの肝"ぬた和え" シードルビネガーの酢味噌エスプーマ
  3. 鹿児島県荒崎の"むそう網"で捕った野鴨のタタキ ペリゴールの黒トリュフと共に
  4. 山陰の"松葉蟹"の椀 蟹しゃぶ仕立て
  5. 鳴門の平目とアオリイカ 紀州勝浦の極上本鮪
  6. 25種類の野菜達を一皿に・・・龍吟"ガルグイエ"2005
  7. 鳴門のマナガツオ炭火焼 カラスミと備長炭 すだちの泡を添えて
  8. 兵庫県奥播磨の"野生の獅子" 冬物語
  9. 如月の香の物
  10. 極上ふかふれと北海道のうにのあんかけご飯
  11. 温泉たまご?(デザート)
  12. 苺みるくと苺のコットンキャンディー Caliente Frio(デザート)
  13. 龍吟スペシャリテ -196℃の"りんごあめ"(デザート)

さっそく「健康×美食ラボ」にて私とスタッフで検証をいたしました。

最初の品は、ふぐの白子とベルーガキャビアをエルブジ風にスプーンに乗せて出されます。一品目に河豚の白子がでるお店・・なかなか魅惑的なスタートです。程よく焼かれ、まだちゃ〜んと温かい白子とキャビアが口の中で融合して思わず「急いでシャンパンを下さーい!!」と言ってしまいました(笑)この気持ちはどなたでも判って下さるとと思います。

スタッフ一同、まずは品数の多さに呆れていましたが、1、に限らずいずれも量は抑えられております。

今回は品数も多いので肉系、魚系に分けて考察してみましょう。
「スモールポーションとあっさり味で健康面はクリアー」

まず肉系を見ていきましょう。鴨は天然野生のものを使い、その鴨が見えないくらい大きくスライスされたトリュフが被せてあるのが3です。トリュフの香りと鴨の肉のうま味がバッチリと噛みあってました。8の炊き合わせのイノシシも火入れの妙で余計な脂を排除し、薄くスライスされてるせいかお野菜と共に口にいれますとまったく油っこさや臭みを感じませんでした。

肉類の脂肪に入っている成分は血をドロドロにして動脈硬化を促進しますが、きちんとしたお肉が美味しいのも万人が認めるところです。美味しいお肉をなるべく健康的に食べたい。。。 ご主人の山本征治氏の、肉そのもの以外の油はまったく使わずに肉のうま味だけはきっちり引き出す仕事は和風ジビエの理想型で、メディカルレストランの趣旨にドンピシャと思われます。

魚系はメニューを見ればお判り頂ける通りかなり凄い食材が並びスタッフからは感嘆の声があがりました。そりゃそうですよね。河豚の白子、キャビア、鮟肝、松葉蟹、烏賊、平目、本鮪、マナガツオ、カラスミ、海胆、フカヒレ。。。

これでもかー!と言わんばかりの和洋中華の高級食材です。「これだけ揃えばそりゃぁ美味しいだろう」と思う人が多いと思います。んだ。んだ。そうにちぎゃぁねぇ〜べ。確かにそうでしょう。しか〜し、100点の食材で100点の味を出すだけならば料理人としては失格です。100点の食材を使い200、300いや1000点のに数値にまで美味しさを昇華させてこそ本当のプロです。
今回はずば抜けた食材なので食材は200点としましょう。そして料理の点数は2000点以上を差し上げたいと思います。

つねづね「和食は京都に限る。水も違うし長い歴史に培われた調理の技はやはり関東には真似できない。東京で食べるなら寿司の方が無難だ。」と所長やスタッフは思っておりました。このたび「龍吟」で思った事は、東京で未来に独自の和食を確立するとしたらこう言うスタイルになるのだろう・・・という事です。

東京は地球レベルでももっともあらゆる食材が手に入る場所なのですから、フランスや中華の素材もふんだんに取り入れ、京都の伝統的な食材を使った和食とは一線を画し、自由闊達な手腕で和の食材と海外の食材を融合させて勝負すべーし!
(京都で鴨にトリュフを合わせたり、イノシシの炊き合わせを出す事は稀ではないでしょうか)。

「当店では、『ただの奇抜な和食屋』と言われない様に「お椀」と「お造り」には最高の気遣いをしています。」と説明してくださったソムリエの有正岳生氏のお言葉に偽りなく、お造りの飾り包丁の見事さなどを拝見しますと長い間ご主人が刻苦勉励されていた事がはっきりとわかります。カッコいいです。

さて、健康の事を忘れてはいけません。検討してみましょう。白子、キャビア、鮟肝、カラスミ、うに、これらはプリン体とコレステロールが多い食品です。全てがスモールポーションとは言ってもちょっとギリギリの分量じゃないっすか?とスタッフからつっこまれました(泣)そのとおりだと思います。
全てのお料理があっさりとした作りである点、食材本来の油分以外はお肉料理同様いっさい使っていない点、をスタッフに強調し、一応同意を得ましたが。。。

途中に25種の野菜がでます。炊いたりお浸しにしたりとそれぞれの食感と香りを存分にたのしめるように手がかけられた一皿です。巷では「一日20品目以上の食品をとりましょう」と言われていますがこの1皿で達成できます!スタッフもこれには文句のつけようがなかったみたいですね(笑)

振り返ってみますと「龍吟」では、表の扉に始まり全てサプライズを意識されてるように思えます。最初のスプーンに乗った河豚の白子でハッとし、これでもかと言う献立に歓喜し、途中、え?炭食べるの?デザートの温泉卵?何?このりんご。。。?← 医師ですので守秘義務があり、これ以上申しあげられませ〜ん(笑)しかしサプライズだけではない本物のお店でした。

「健康×美食ラボ」から皆様へのアドバイス。
ラボが勧める調理方法は「蒸す」。

世界に名だたる健康食の和食の強みは、油を使用せずに調理する工程が多いためカロリーが抑えられる事、そして魚介類の摂取率が高いため魚の油の中の成分が血をサラサラにして動脈硬化が予防される事です。

食事をする際に忘れてはいけないのは、食べる食材も大事ですが『調理方法』もかなり大事だという事を知りましょう。高カロリーが現代食の問題点なのですからなるべく油を使用しない調理方法を選択すべきです。

肉食もまったくいけないわけではありませんが、申しあげました様に『調理方法』を考え余計なカロリーになる油や砂糖を使用しない方法を選ばれると宜しいと思います。
その様に考えますと、皆様のお好きな「スキヤキ」は油、肉、砂糖、醤油(塩分)が大量に入った上にお肉を生卵に絡めて食べるわけですから・・ラボ的には栄養失調の方にはお薦めしますが一般の方にはお薦めしかねます。
同じ分量のお肉を摂取するとしても、油や砂糖などが入らない「シャブシャブ」と言う調理方法の方がずっと健康には良くて肉以外の余計なカロリーが入らない事がご理解頂けるかと思います。

お鍋などに代表される「茹でる」という調理方法も宜しいですが、皆様のご家庭でも「蒸し器」と言う素晴らしい調理器具をもっと使い、蒸すお料理を作られてみてはいかがでしょう。茹でた場合はうま味が水分に溶け出てしまいますが、蒸しますとうま味が逃げないので食材の濃縮された味が楽しめるはずです。ラボの勧める調理方法です。

所長のコメント

今夜はかの楊貴妃が過ごしたような豪華な夕食になりました。健康食という側面から省みますと問題点が少々ありましたが、カロリーをぎりぎりまで落としながら且つ美味しく頂戴できる調理方法のお勉強にはなりました。「龍吟」さんは和食のお店にしては遅くまで営業されていて、遅い時間帯は単品メニューもあるそうですので、次回はカラスミ茶漬(冬限定)などを堪能するために足を運びたいと思っておりま〜す♪

執筆 『健康×美食ラボ』所長:医学博士 岡野喜久夫 2005年2月27日

『健康×美食ラボ』所長
医学博士 岡野喜久夫

岡野内科診療所院長
東京都港区新橋1-18-14 三洋堂本館ビル8F
03-3502-8060

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