2001.1.20 |
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繁盛するには理由がある
オムライスの店 『北極星』
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浪速の若者の街、アメリカ村で人気のオムライス専門店。
「和風でオムライスを」のミスマッチが関西の若者に受けている秘密は? |
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オムライスとは「夢を追うと寿が来る」ことなり |
若者に愛されるオムライス
最新流行のファッションで着飾った若者たちがたむろする街、アメリカ村に立地する「北極星」の作りは、格子戸といい、のれんといい、何ともノスタルジックなたたずまいだ。看板をじっくり見なければ、オムライス店とは思えない。そのミスマッチが受けるのか、お客の80%は若者だという。
ところで、時代を超え、世代を超えて愛し続けられているオムライスだが、何と誕生には、ある浪速商人のやさしさが隠されていたのだ。
浪速の商法の基本はやさしさ!
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和風の風情がうけている「北極星」の外観 |
今や最もポピュラーな料理の一つ、オムライスが誕生したのは、75年前の大阪。考案者は「北極星」の初代店主、北橋茂男氏。場所は、「北極星」の前身である洋食屋「パンヤの食堂」でのこと。一般
大衆に西洋料理の味をひろめるために、大正11年に大阪市西区の汐見橋にオープンした洋食店だ。
さて、それから3年後の大正14年。毎日のように「パンヤの食堂」に来ては、オムレツとホワイトライスを注文する常連客がいた。胃が弱く、脂っこいものを受けつけない体質の彼には、オムレツが一番のごちそうだったのだ。あまりの毎日に見かねた北橋氏は考え抜いたあげくに、ご飯をケチャップで炒めてトマトライスにし、それに薄焼きにした玉
子を巻いてお客に出した。オムライスが誕生した瞬間だ。
その店主のやさしさから創作された料理は『オムレツ+ライス』から名づけられた「オムライス」というネーミングとともに大評判になった。
また、北橋氏のウィットに富んだ発想は、昭和12年にもヒット作品を生む。「ホルモン料理」。”ホルモン“とは”放るもの(棄てるもの)“。当り前のように捨てられていたモツが「食」の表舞台に登場したのだ。
このウィットと客を思う「やさしさ」が浪速商法の基本なのである。その商法を受け継いで、オムライスにこだわり続けているのが、「北極星」だ。
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| 「カキオムライス」は醤油をかけて食す
| オムライスの定番「チキンオムライス」
伝統の味が今に息づくオムライス
「パンヤの食堂」というネーミングも、元々パン屋を営んでいたことから、そのまま「パン屋が食堂を始めました」といういたってシンプルな発想。このシンプルさが当初は受けたのだろう。そして、昭和19年「天下の台所浪速にひときわ輝くおいしさの一等星」を目指し、「北極星」に改称。
さて、最近のオムレツ専門店などでは、ホワイトソースなどがかけられているが、「北極星」はあくまでトマトソースにこだわっている。
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「テイクアウトもあるが出来上がりを召し上がってほしい」と大崎店長 |
では、ここで一つ質問を。
Q「子供のころの思い出として、オムライスにはケチャップでしたが……?」
A「もちろん昔はケチャップでしたが、今から30年位前から、時流に乗ってトマトソースに変えました」とのこと。
オムライスの定番、チキンのモモ肉を使用した「チキンオムライス・650円」は一番人気。他に、ハム、木の子、ポーク、ビーフ、カニ、貝柱……と中に入る具もバラエティー豊かだ。
貝柱やカニ、エビなど味が淡泊な具はバターで、肉類はラードやサラダ油で炒めるなど工夫をこらしている。また、玉
子とご飯のフライパンは必ず別のものを使ったりと細心の心くばりを払っている。
十月から三月までの限定メニュー、「カキオムライス・1250円」も人気。カキとマッシュルームのバターライスを薄焼き玉
子で巻いたもので、しょう油をかけて、さっぱりといただく。
「伊勢海老オムライス・4800円」は、活け造り用の伊勢海老を一匹丸ごと使ったゴージャスなものだ。
オムライスの店「北極星」
住所:大阪市中央区西心斎橋2-7-17
電話:06(6211)7829
営業:11時45分〜21時30分
休日: 年中無休 |
「プチオムライスセット・700円」は、女性に人気だ。オムライスのスモール(チキンか木の子)に鶏の唐揚げ、サラダと味噌汁が付いている。ちょっと小腹がすいた男性にも受けがよく、お客の食欲具合を考慮した心憎いメニューなのである。
こうした心配りが先代より受け継がれ、繁盛する店となっているのである。
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