2001.4.14
 繁盛するには理由がある
         ●リストランテ・ヒロ・Ⅱ(ドゥエ)
 東京・青山の 有名イタリアンレストランが 2号店をオープン! 新しい客層の開拓に挑むその試みは?

エントランス。ワインの木箱に植えられた花々が目を引く。看板の赤い色は店のイメージカラー
 東京・青山の名店「リストランテ・ヒロ」。人気イタリアンレストランとして既に名高い。シェフは「料理の鉄人」で一躍有名になった山田宏巳氏。その「リストランテ・ヒロ」が2001年2月1日、東京・渋谷区代官山に支店をグランドオープンさせた。「リストランテ・ヒロ・・(ドゥエ)」(以下、代官山店)である。
「ホッキ貝と菜花のオレキエッテ」。自家製パスタはソースがよく絡む。このもちもち感は手打ちならでは
「野菜のボッリートミスト」。色彩 鮮やかな珍しい野菜達。春を感じさせる一皿
  代官山といえば、常に流行のファッションが誕生する地であり、さらに昨年「代官山アドレス」(ファッションモールありグルメスポットあり、住宅ありの生活総合ビル)がオープンしたことで、更におしゃれピープル達からの注目が集まった。
 この土地に新しく支店を出店するにあたりどのようなことを考えたのか? 青山店・代官山店の統括店長、山口一樹氏に話を聞いた。「この街は、代官山アドレスができたことで街全体がリニューアルされました。リストランテ・ヒロは大人の街・港区南青山にあり、大人の方々に十分満足していただける店として既に安定して営業させていただいております。代官山にいる人々は青山に比べ年齢層も低めですし、当然嗜好も異なる。当店としては、新しく生まれ変わった街で、今までとは違う若い客層をターゲットに店としての幅を広げていくことにとても魅力を感じました。これは、我々にとっては挑戦です。今までお客様にお出ししていた料理やスタイルがそのまま受け入れられるとは限りませんし、試行錯誤の連続です」

入り口のバーカウンターには多くのリキュール類が並ぶ
 では新しい挑戦、代官山店はどんな店なのであろうか? 店に入るとまず地下1階ではありながら、外光のよく入る心地よいサロンがある。そしてシックなバーカウンター。ここでつまみを食べながら食前酒を楽しんだり、ゆっくりと食後酒を飲むことができる。
 このカウンターには専属のバーテンダーがおり、グラッパはもちろん、シングルモルトから最新のカクテルまで幅広く取り揃えている。バーとしてのみの利用も可能という。オリジナルメニュー「ヴェルディ (1000円)」は、フレッシュキウイフルーツをスプマンテで割った食前酒。キウイフルーツのほろ苦さとスパークリングワインのさっぱりした口当たりがアルコールに弱い女性にも人気だという。バーカウンターの目の前からホールが広がる。センターに生けられたモダンで華やかなフラワーアレンジメントが目を引く。脇にはオープンカウンターがあり、自家製の焼きたてパンが並んでいる。落ち着いた内装ではあるが、スタッフが皆若いのも手伝ってか店内には活気があり、親しみやすい雰囲気だ。
店内。中央に飾られたフラワーアレンジメントが広々として明るいイメージを生む
 青山店がとてもシックな内装であるのに比べ、代官山店のほうは明るくオープンなイメージである。メニューはアラカルト中心。前菜・パスタ・メインディッシュそれぞれ10種類程度、一皿平均1500円というところか。

 山口氏は言う。「青山店と代官山店では基本的なコンセプトが異なります。青山店はアットホームでかつ落ち着いた雰囲気の中、スタッフとお客様との会話を大切にしながら、料理とワインをゆっくり堪能していただいております。
 代官山店のほうはどちらかというとお客様主体、それぞれのお客様のスタイルで自由にお食事を召し上がっていただく店を目指しています。メニュー構成もそれに応じて変えており、青山店はコースでのご案内、代官山店はアラカルト中心でのご案内となります。
入り口すぐにあるサロン。地下とは思えぬ日差しが差し込む
 内容のほうも、青山店は珍しい食材を積極的に取り入れ、オリジナリティを追求しますが、代官山店ではそういったメニューの他に、例えばスパゲッティアラビアータのような日本人に慣れ親しんだオーソドックスなものも敢えてグランドメニューに載せています。料金も代官山店のほうは手頃な価格で設定させていただいております。但し素材の質を下げることなく、調理法をシンプルにすることでコストを下げる努力をしています。また席数も青山店は40席強とコージーであるのに対し、代官山店では80席ご用意しておりますので、大人数様にも十分対応させていただけます。お客様のニーズやその日の気分によって2店を使い分けしていただけるような店作りを心掛けております」なるほど。
 
 さてこの日のお料理は。前菜「野菜のボッリートミスト・1200円」は、春の野菜を鶏のブイヨンで歯ごたえがしっかり残るように軽くボイルしたもの。紅芯大根、西洋ごぼう、黄カブ、ミニリーキなど珍しい野菜が15種類ほど使われており、その上には生ハムが載せられている。とてもシンプルな味付けでやさしい一皿に仕上げられている。もう一皿「ホッキ貝と菜花のオレキエッテ・1800円」は自家製の手打ちパスタならではのもちもち感が楽しめる。くたくたに煮た菜花がパスタによく絡み、ホッキ貝の海の香りとコリコリした歯ごたえがパスタとよいハーモニーを奏でている。グランドメニューの他に、店内の黒板にはその日のおすすめや、大人数でシェアするような大きな皿、デザートが記されている。このようなご案内の仕方も代官山での初めての試みだ。

 店として試行錯誤は今しばらく続くことであろう。それが新しい客層をいかに惹き付けるか、これからの成長が楽しみな一軒である。
リストランテ・ヒロ
東京都港区南青山5-5-25
T‐PLACE B1階
電話:03(3486)5561
営業:12時〜13時30分 (日曜日は14時LO)
   18時〜21時30分(LO)
リストランテ・ヒロ・Ⅱ(ドゥエ)
東京都渋谷区代官山町14-23
CENRAL代官山B1階
電話: 03(5728)4700
営業:12時〜14時
   18時〜21時(LO)