2004.5.1  
 2003年12月、飲食ベンチャーを支援するダイニングセッションが設立。
 メンバーは全て飲食店経営者というこの会社は、各地の 志し高い飲食ベンチャー(1店舗〜10店舗)が集まることによって、情報交換、 勉強会を実施し又飲食ベンチャー相談窓口の構築を目的としている。
 自身も、ラーメンと鉄板焼どんぶりの"じん平"などを3店舗を 運営するオーナーでありながら、ダイニングセッションの 代表取締役 山川 博史氏に事業内容や、意気込みについて 語って頂いた。
● プロフィール
山川 博史(やまかわ ひろし)
1971年 12月 長崎県出身
1992年 3月 大阪社会体育大学専門学校卒業
1997年 3月 ワイズクルーコーポレーション創業 
洋風居酒屋「シースタイル」オープン
1999年 7月 心斎橋 丼専門店「じん平」を運営委託されるが、
委託された経営者が、家賃と代金を滞納させたまま姿を消す   
1999年後半から2000年にかけて「じん平」西宮店、「シースタイル」大東店をオープンするが、売上げ低迷のため1年以内に閉店
2001年 3月 有限会社ワイズクルーコーポレーション設立 代表取締役就任
2001年 7月 心斎橋「じん平」をラーメンと鉄板焼きどんぶり専門店「じん平」に業態変更
2002年 10月 ワイズプロデュース事業開始 
新業態開発 百貨店地下プロジェクト大手チェーン店新業態プランニング参加
2003年 12月 飲食ベンチャーをサポートするダイニングセッション創業
代表取締役就任
飲食ベンチャーを相互支援する
ダイニングセッション


 2003年12月に10店舗までの飲食ベンチャーを支援する会社 「株式会社ダイニングセッション」が設立された。
 代表取締役は、大阪でラーメンと丼のセットが看板メニューの 「じん平」な3店舗を経営するワイズクルーコーポレーションの 山川 博史氏がつとめる。
 取締役には、ミニ餃子「ちびすけ」を経営する ティップトップ代表の松宮 大介氏、 串焼き「ちゃらり」を経営する ちゃらり代表の新井 祐一氏がそれぞれ就任した。

 株主構成は、ワイズクルーコーポレーション、ティップトップ、 ちゃらり、起展、サンワールドとなっている。
 株式会社サンワールドとはライセンスビジネスを 事業とする会社。今後飲食店のブランドの保護、映画、音楽 などを通した飲食店のプロモーションにおいての強力なバックアップ パートナーとなる。


ラーメンと丼の店 じん平 心斎橋 本店

 
   ダイニングセッションの事業内容は以下の通りとされている。

「ヒト」 ・・・ スタッフの共同研修によるモチベーションの維持
共同求人広告による高レベルの人材確保 等
「モノ」 ・・・ 共同食材仕入れ、什器・備品搬入による原価削減
情報共有化による仕入れ価格の適正化診断 等
「カネ」 ・・・ 新規出店の際のファイナンス機能 等
「情報」 ・・・ 市場に出る前の優良物件情報の提供
サプライヤーからの情報提供 等

ちびすけのミニ餃子
 現在のところ、こういったサービスを受ける 飲食店側からは、情報パートナー(会費5千円/月) パートナー選択に注力(7月末までの登録パートナーは年内無料) 年内12月までには全国300店を目標としている。
 加盟希望の飲食店オーナーとは、ダイニングセッション 幹部のスタッフが直接面接を行い、加入の可否を決定する。 数よりもオーナーの質、考え方を重視する。
 例えば今年の1月、ダイニングセッションでは、 子供の施設へ、出張料理を作るボランティアを開催した。
 営利目的のみで、こういったダイニングセッションの理念を理解して頂けない オーナーは加入お断りするということだ。

 気になる収益は、パートナーからの会費5千円、飲食店へ自社の製品情報を提供したい サプライヤー企業からの加盟金と月々の会費がそれぞれ1万円。
 また、パートナー企業とのコラボレーションのよる業態開発や メニュー提案等のプロデュース料金、 パートナー企業からの、新規出店、退店、改装などに伴うコーディネート料を 見込んでいる。
あっさり串焼き ちゃらり
 例えば工務店を紹介した場合、3社からの相見積もりを 取るが、工務店からの請求額とコーディネート料金を全て クリアにする。このため、バックマージンの金額の大小で メンバー企業のオーナーへ勧めたりすることは無い。あくまでも オーナーが選択出来るシステム。
 ただし、税理士さんは飲食業に精通している方でないと 難しい面もあるが、こういった優良税理士の紹介などは 全て無料で行う。

 会費を払うサプライヤー側のメリットとしては、 今後立ち上げるダイニングセッションのWEBサイトや メールマガジン等に、自社の飲食店向け商品やサービス情報を 発信できる。
 また、ダイニングセッション加盟店オーナーの商談案件と サプライヤー企業とのマッチング等とされている。
   
 
   
 
洋風居酒屋 シースタイル店内
従業員に次のステージを見せてあげたい

 これから飲食店を始めたい方については、 リクルート発行の独立開業支援雑誌、 「アントレ 西日本」の元編集長であった 山口 俊介氏が代表取締役をつとめる、 株式会社 起展が開業を支援する。
 起展では、3ケ月間の開業スクール 「起展塾」を開催。スクール費用は、30万円。
 スクールの講義内容は、販売予測の立て方、 リスクマネジネントの他、コストコントロールなど。
 ダイニングセッションメンバーのオーナーが、 起展塾の講師をつとめ、店舗実習での 塾生の受け入れまで行うこととなっている。
 晴れて塾生が開業し、ダイニングセッション 加入への審査基準を満たせば、ダイニングセッションの パートナー資格を得ることができる。
 しかし既に、飲食店を3店舗オープンさせている 山川氏は、なぜこんな事業をはじめたのだろうか?。

   
   「27歳で起業して、"シースタイル"という洋風居酒屋をオープンしました。  
 そのうち、近所に丼の専門店"じん平"というお店のオーナーから運営委託の話がきたんです。
 それで受けさせてもらうことにしたのですが、仕入れの代金などは、じん平オーナーさんが支払いをすることになっていました。
 ところが、最初はちょこちょこと顔を出していたオーナーが全く来なくなりました。
 いわゆる夜逃げされたんですね。
 それからは、もう大変です。オーナーさんが家賃も仕入れ代金を何ヶ月も滞納していた上に高利貸しにも手をつけていたらしく、怖いお兄さんが借金の取立てに押し寄せてきました。
 店には支払い義務はないことを説明して、債務者の方へはあきらめてもらいました。
 ところが、家賃や業者さんへの支払いが溜まっていたので営業停止に追い込まれる寸前でした。
 大家さんと業者さんには分割で支払いをすることにして、何とか営業を続けることになりました」
   
じん平 人気No.1メニュー
鉄板焼牛バラ丼〜温玉醤ソース〜 \680
  山川氏の苦労はこれだけではない。
 その後、「じん平」川西店、「シースタイル」大東店をオープンするも 売上げ低迷のため1年以内に閉店させてしまう。
 残った借金を支払うために高利貸しからお金を借り、 少しづつ返済しながら、低金利ローンへ借り換えにこぎつけた。
   
 
代表の山川博史氏(左)と
取締役の新井祐一氏(右)
 「飲食業で起業してから、本当に苦しくて大変だった。  
今まで失敗もたくさん経験しているので、そういった時にいろいろなことを相談できる場が欲しかったんです。
 自分が苦しかった時期に、こんな会社や場があればいいいな、と思うことから始めました。

 それと、飲食業の店長さんや調理スタッフは、厨房で鍋をふりながらこのままこれで終わってしまうのだろうか、と不安になると思うんです。
 だから僕はオーナーとして、従業員に次のステージを見せてあげたかったので設立を決意したのです」
   
 山川氏は、ダイニングセッションを通じて 様々なオーナーと話をした。
 最初は、ライバル店舗に、自店の仕入値などは 教えないのではないか、といった不安があった山川氏だが多くのオーナーが自分と同じような悩みを抱え、本音を語ってくれたことに、手ごたえを感じている。
   
   「小さな飲食店が集まることによって、何かを始めることができる。
 そこから派生する、多くのこれからに期待しているんです」
   
山川氏が、にっこりと微笑んだ。
   
 
 
 
株式会社ダイニングセッション http://www.dining-s.co.jp
有限会社ワイズクルー・コーポレーション http://www.ys-crew.com/
店名 住所 電話番号
【じん平 心斎橋 本店】 大阪府大阪市中央区
東心斎橋1-14-24
06-6251-3224
【じん平 川西店】 兵庫県川西市中央町3-7 0727-56-1908
【シースタイル】 兵庫県川西市
中央町3-3中央ビル2F
0727-57-7754
起展塾
問い合わせ先  TEL:06−6232−1222   info@kiten.co.jp 
  取材・執筆 「飲・食・店」新聞フードリンクニュース 編集長 石田 千代 5月1日