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アイリッシュパブ「パディフォリーズ」(左)とイングリッシュパブ「オールドロック」(右)
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2004年、パブやビアカフェといったビールを売りにした飲食店の出店ラッシュが訪れている。出荷量で世界No.1のビール会社になったばかりのインターブルー・アンビヴ社が日本での積極的な出店戦略をとっている。03年12月に大阪の淀屋橋に「ベルジャンビアカフェ
バレル」をオープン、同社の外食・販売部門責任者のルック・バスティアンセン氏は日経MJ新聞の取材で「3年後(2007年)をめどに15店を開きたい」と語った。彼らは東海・関東の市場に強い関心を抱いており、「大阪での成功を弾みに東京へ進出する」(ユーロバーン副社長・中村氏)意向。東京での出店が待たれている。
一方、東京で好調な出店を続けているのが「ホブゴブリン」である。00年に赤坂店・02年に六本木店・04年に渋谷店を出店した。今年は新たに新宿に出店することが決まっており、秋頃には大きな話題を呼ぶことになりそうだ。
同店はイギリスのウィッチウッドブルワリの銘柄を揃えているが、この度「ゴブリングロッグ リアルエール」という銘柄のリアルエールを六本木店に投入した。「ホブゴブリン」取締役のアレン・トレバーさんは「これこそ本物のイングリッシュエール」と語る。
ところでパブとはどのようなお店のことをいうかご存じだろうか。パブとはパブリックハウスの略で、直訳すれば「公共の家」となるが、現在は「(マホガニーのテーブルやオーク樽といった)木の家具をふんだんに使ったクラシカルな内装の居酒屋」を指している。もともとが伝統的な居酒屋であったパブは現在世界各国で「アイリッシュパブ」や「イングリッシュパブ」として進化を遂げ、音楽をはじめとした文化を伝える役割を果たしている。敢えて区別するのであれば「アイリッシュパブ」は気の置けない雰囲気、「イングリッシュパブ」は格式のある雰囲気ということになる。
パブの数は日韓ワールドカップ開催を契機に増加している。ヨーロッパへ旅行する日本人は年間で300万人にのぼり、本場のパブで飲んだことのある日本人も少なくない。日本のパブのオーナーの半分近くがアイルランド・イギリスでのパブの体験をもとに開業をしていることからしても、パブの数はもちろん利用者数は今後も増加していくことだろう。
また、外資系企業の日本進出もあって外国人登録者数は毎年5%ほど増加しており、彼らの存在がパブスタイルの浸透に一役買っているのも事実だ。都内のパブで来店客に占める欧米人の割合は平均30%。お客様の半数以上は日本人である。
「キャッシュオンデリバリー」という「1杯ごとにお会計」のシステム、お客様同士で会話を楽しむカウンター席・・・これらの気さくな雰囲気に加え、時間をかけて丁寧に注がれるギネスを求めて来店する「おひとりさま」の女性客もちらほら見かける。
アイルランドのパブで1杯500円のドリンクが日本では900円になるというケースもあり、日本のパブは単なる追体験ではない付加価値を求められた。アイルランドと日本の飲食スタイルの違いもあって各々が個性的な進化を遂げたといえる。
日本のパブはどのような進化を遂げたのだろうか。それを知るためにはパブを訪れて1杯のビールを味わうことが1番だろう。パブを体験し、理解すればカウンターでの会話も弾むはずだ。ここで日本国内のパブ15軒をご案内し、その魅力の一端に触れていただきたいと思う。
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