2004.5.16
 アイルランド・イギリス・ベルギーの三つどもえ戦---これらの国々のパブやビアカフェが日本に進出してきている。2002年の日韓ワールドカップはアイリッシュパブの売上を大きく伸ばし、六本木の「パディフォリーズ」には期間中に5000人の観戦客が詰めかけた。2006年を睨んでのパブの出店ラッシュが訪れている。
バディフォリーズ オールドロック
アイリッシュパブ「パディフォリーズ」(左)とイングリッシュパブ「オールドロック」(右)
 2004年、パブやビアカフェといったビールを売りにした飲食店の出店ラッシュが訪れている。出荷量で世界No.1のビール会社になったばかりのインターブルー・アンビヴ社が日本での積極的な出店戦略をとっている。03年12月に大阪の淀屋橋に「ベルジャンビアカフェ バレル」をオープン、同社の外食・販売部門責任者のルック・バスティアンセン氏は日経MJ新聞の取材で「3年後(2007年)をめどに15店を開きたい」と語った。彼らは東海・関東の市場に強い関心を抱いており、「大阪での成功を弾みに東京へ進出する」(ユーロバーン副社長・中村氏)意向。東京での出店が待たれている。

 一方、東京で好調な出店を続けているのが「ホブゴブリン」である。00年に赤坂店・02年に六本木店・04年に渋谷店を出店した。今年は新たに新宿に出店することが決まっており、秋頃には大きな話題を呼ぶことになりそうだ。
 同店はイギリスのウィッチウッドブルワリの銘柄を揃えているが、この度「ゴブリングロッグ リアルエール」という銘柄のリアルエールを六本木店に投入した。「ホブゴブリン」取締役のアレン・トレバーさんは「これこそ本物のイングリッシュエール」と語る。

  ところでパブとはどのようなお店のことをいうかご存じだろうか。パブとはパブリックハウスの略で、直訳すれば「公共の家」となるが、現在は「(マホガニーのテーブルやオーク樽といった)木の家具をふんだんに使ったクラシカルな内装の居酒屋」を指している。もともとが伝統的な居酒屋であったパブは現在世界各国で「アイリッシュパブ」や「イングリッシュパブ」として進化を遂げ、音楽をはじめとした文化を伝える役割を果たしている。敢えて区別するのであれば「アイリッシュパブ」は気の置けない雰囲気、「イングリッシュパブ」は格式のある雰囲気ということになる。


(噴水のそばにある「ザ・シャノンズ」
 パブの数は日韓ワールドカップ開催を契機に増加している。ヨーロッパへ旅行する日本人は年間で300万人にのぼり、本場のパブで飲んだことのある日本人も少なくない。日本のパブのオーナーの半分近くがアイルランド・イギリスでのパブの体験をもとに開業をしていることからしても、パブの数はもちろん利用者数は今後も増加していくことだろう。

 また、外資系企業の日本進出もあって外国人登録者数は毎年5%ほど増加しており、彼らの存在がパブスタイルの浸透に一役買っているのも事実だ。都内のパブで来店客に占める欧米人の割合は平均30%。お客様の半数以上は日本人である。

 「キャッシュオンデリバリー」という「1杯ごとにお会計」のシステム、お客様同士で会話を楽しむカウンター席・・・これらの気さくな雰囲気に加え、時間をかけて丁寧に注がれるギネスを求めて来店する「おひとりさま」の女性客もちらほら見かける。

 アイルランドのパブで1杯500円のドリンクが日本では900円になるというケースもあり、日本のパブは単なる追体験ではない付加価値を求められた。アイルランドと日本の飲食スタイルの違いもあって各々が個性的な進化を遂げたといえる。

 日本のパブはどのような進化を遂げたのだろうか。それを知るためにはパブを訪れて1杯のビールを味わうことが1番だろう。パブを体験し、理解すればカウンターでの会話も弾むはずだ。ここで日本国内のパブ15軒をご案内し、その魅力の一端に触れていただきたいと思う。

 
 
--95年にスタートしたオリジナル・アイリッシュパブ--
「パディ フォリーズ」
(六本木)
「パディフォリーズ」のエントランス/7銘柄のドラフトビールがある/上から時計回りに「トーステッドサンドイッチ」「ブリトー」「フィッシュ&チップス」
 六本木ロアビルの地下1階に有名なアイリッシュパブがある。95年にオープンした「パディフォリーズ」はお客様の半数以上がアイルランドをはじめとする欧州の「本場の味を知る」人々だ。彼らが同店に通うのは長年築き上げたコミュニティに集まるという目的があるのはもちろんだが、さらには「ギネスがおいしい」ということも理由のひとつになっている。昨年アイルランド製の冷却器を導入し、安定したドラフトビールの質を保っている。月に最低でも4回のライブと毎週金曜日・土曜日のダンスタイム(21時から)、さらにはサッカー・ラグビー・クリケットの放映とアイルランド及び欧州の文化を伝える場となっている。2002年のワールドカップでは5000人以上を動員したとのこと。
 今年に入ってフードメニューを一新し、次回ワールドカップ開催の2006年や、オープン10周年が待ち遠しいアイリッシュパブだ。


「パディフォリーズ」
住 所 東京都港区六本木5−5−1
ロアビルB1F
電話番号 03-3423-2250
営業時間 月〜水17:00-late/
木〜日13:00-late
U R L http://www.paddyfoleystokyo.com/
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「トーステッドサンドイッチ」「フィッシュ&チップス」「ソーダブレッド」等のブッフェ用メニュー
 
 
--ハンバーガーが名物、大阪の老舗--
「マーフィーズ」
(心斎橋)
天井に名刺がびっしりの店内/「フィッシュ&チップス」/ マイケル店長(左)

 大阪で13年間営業しているのが「マーフィーズ」である。天井は訪れたお客様の名刺で埋め尽くされている。ビルの6階にあるので喧噪を気にせず飲める。水曜日の夜はアイリッシュ音楽の映像を流し、来店者の半数近くが欧米人である。最近グループ客用のスペースを新設した。22時を過ぎた時間帯がピークで、2次会や3次会でよく利用されている。店長の特製ソースが自慢のハンバーガーや定番のフィッシュ&チップスが出来上がるのを待ちながらギネスを1杯やるのも乙だろう。

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「マーフィーズ」
住 所 大阪府大阪市中央区東心斎橋1-6-31 
リードプラザ心斎橋6F
電話番号 06-6282-0677
営業時間 日曜〜木曜17:00〜25:00/
金・土17:00〜深夜
U R L http://www.murphysosaka.com/
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特製ソースの「ハンバーガー」
 
 
--自宅の1階にパブを開業--
「ウェックスフォード タヴァーン」
(西宮市)
特徴的な形のカウンター/常連客と話をするシェイマス店長/熱々のチーズがかかったナチョス

 ウェックスフォード出身のシェイマス店長が開いた酒場(=タヴァーン)が西宮市にある。住宅街にあって常連客が立ち寄る機会が多く、カウンターは「お客様同士の顔が見える」コの字型になっている。デザインから内装工事まで自分で行った「ホームメイド・パブ」で、ビートルズ等が流れているのだが、お客様同士の会話の方が弾むアットホームな雰囲気である。金曜日や土曜日には満席になることも珍しくない。お店を去る時には他のお客様から「おやすみなさい」等の言葉が自然に出てくる、あたたかいパブである。

「ウェックスフォード タヴァーン」
住 所 兵庫県西宮市南越木岩町10-16
電話番号 0798-70-6471
営業時間 18:00-0:00(L.O23:30)
定休日 日曜
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京都より取り寄せた手作り「ミートパイ」(チキンorビーフ)
 
 
--自然体の店長が提供する最高の1杯--
「ボウラン」
(白金)
白金高輪の住宅街にある/ギネスを注ぐ田嶋店長/人気メニューのホットサンド

 「ギネスが好きでパブを始めた」と話してくれたのはオーナーであり店長の田嶋さんである。お店は1人で切り盛りし、「基本にこだわっているだけ」というギネスが特においしい店だ。人気メニューの「ホットサンドイッチ」は添加物なしのパンを選び、生でも食べられるベーコンを挟んで焼き上げている。住宅街にあり、15席のこぢんまりしたお店。フードとドリンクのメニューは合わせて31と少なめだが、1品1品に手間をかけている。店名のボウランとはアイルランドの伝統的な楽器の名前。店内ではアイリッシュ音楽やU2などが流れている。「予約や貸し切りは受け付けていません」とのこと。無休なのでいつでも立ち寄ることが出来る。

「ボウラン」
住 所 東京都港区白金2-28-1-105
電話番号 03-3445-1828
営業時間 月〜金18:00-0:00/
土18:00-23:00
定休日 日曜
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パンまでおいしい「ホットサンドイッチ」
 
 
--ギネスを1日100リットル消費する店--
「ダブリナーズ」
(新宿)
外国人客が多いカウンター席/スタンディング客も様になっている/ディープフライの「フィッシュ&チップス」

  都内に8店舗ある「ダブリナーズ」の中でもここ新宿店は抜群の人気を誇っている。1パイント850円のギネスは1日平均で100リットルはけるということで、ギネス消費量はおそらく日本一であろう。回転が速いので常にフレッシュなギネスが飲める。カウンター席では早い時間帯からビールを飲み始めているお客様の姿が定着している。95年に開店し、早くからアイルランドの文化を伝えてきた「ダブリナーズ」。同店の「フィッシュ&チップス」がフリッターではなくディープフライである理由を聞いたら「当時のアイルランド人のシェフが衣にギネスビールをまぜて、他店とは違う風味をつけようと提案したから」だそうだ。今年は「ダブリナーズ」全店でメニューの改定を予定しているとのこと。

「ダブリナーズ」
住 所 新宿区新宿3−28−9
新宿ライオン会館2階
電話番号 03-3352-6606
営業時間 平日:12:00--25:00/
日・祝日:12:00--23:00
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ギネスビール風味の「フィッシュ&チップス」
 
 
--上野駅の憩いの空間--
「スタシェーン」
(上野)
(写真)p_19/p_20/p_21 色鮮やかなエントランス/広い店内で食事が出来る/パブタイムによく出る「フィッシュ&チップス」

 日本レストランエンタプライズが経営するスタシェーンが上野駅に出店したのは01年で、朝の出勤ラッシュが終わった11時から終電近くの23時15分まで通して営業している。ランチタイム・ティータイム・パブタイムとメニューを変更し、どの時間帯でもくつろげるような工夫がされている。夜はジャズを流し、フードメニューは38種類と充実したラインナップの中から選ぶことが出来る。フィッシュ&チップスはもちろんポテトパフ、5種類のチーズ盛り合わせ等々目移りする。駅ビルということで「Suica」による決済が可能である。毎月ギネスのイベントを開催しているということで、「ちょっと1杯」の魅力にあふれたお店だ。


「スタシェーン」
住 所 JR上野駅構内
電話番号 03-3844-2624
営業時間 平日:11:00-23:15/
日・祝日:11:00-23:15
U R L http://www.nre.co.jp/stasiun/
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JALで人気を博したプレミアム焼酎もあり、豊富なドリンクメニュー
 
 
--レストランウエディングもOK--
「ゴールウェイ」
(八王子)
重厚な雰囲気のカウンター席/「フィッシュ&チップス」/スタッフの四日市氏

 学生の街・八王子にある「ゴールウェイ」は150席と店内は広めで、月に1〜2回、参加自由のセッション形式のライブを開催している。週末になると横田基地からアメリカ人がビールを飲みに来てインターナショナルな雰囲気となる。コンパや2次会の利用も多く、コースや貸し切りもあって様々な利用が出来るのが特徴だ。以前レストランウエディングに使用されたこともあり、受け入れ態勢は万全とのこと。ドラフトビールは6銘柄揃えている。17時から19時を「ハッピーアワー」としてビール1パイントで525円、カクテルは262円となるので、まずはこの時間帯に1度来店してみるとよいだろう。

「ゴールウェイ」
住 所 東京都八王子市三崎町4-9山川ビル6階
電話番号 0426-25-0890
営業時間 日〜木17:00-26:00/
金土(祝前)17:00-28:00
U R L http://www2.neweb.ne.jp/wd/galway/
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「フィッシュ&チップス」と「ビーフアンドギネス」、「シェパーズパイ」
 
 
--金・土曜日は翌朝4時まで営業--
「エンジェル」
(歌舞伎町)
しっかりと設えられているカウンター/「フィッシュ&チップス」(左)と「シャノン風スモークサーモン」(右)/書斎の雰囲気もある店内

 アイルランドにパブは1万軒あると言われている。どのような地方に行っても数軒明かりを灯しており、地元に密着したお店が多い。もともと雑貨屋のような小売店が隣接してパブをはじめるケースが多かったそうで、たとえば「紅茶を幅広く扱っている雑貨屋のパブには紅茶好きや業者が集う」といった特徴があるそうだ。
 ギネスはこのようなパブを「伝統的なショップ・パブ」と分類している。そのような雰囲気を内装に取り込んでいるのが「エンジェル」である。オープンにあたってオーナーがアイルランドを訪れ、「使い込まれた本物の家具」を買い付けてきたそうだ。ドリンクメニューが100種類以上、フードメニューが40種類とパブとしては多め。だからだろうか、日本人の割合が高い。「居酒屋はうるさいけどバーは高いし・・・」と考える人にとって利用しやすいお店である。フードはアイルランドのパブと同じくらいのボリュームがあるそうで、グループ客はシェアして食べた方が良さそうだ。


「エンジェル」
住 所 東京都新宿区歌舞伎町1-19-2
東宝会館B1
電話番号 03-5273-8642
営業時間 月〜土17:00-4:00/日15:00-24:00
U R L http://www.angel-tokyo.com/sub3.htm
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「シャノン風スモークサーモン」
 
 
--ギネスの温度にこだわる仙台初のアイリッシュパブ--
「ハーフ ペニー ブリッジ」
(仙台)
お客様と話すのを楽しみにしている大石店長/いちばんのおすすめのカウンター席/ギネスと「フィッシュ&チップス」

本場の調度品が並ぶ入口
 仙台で初めてのアイリッシュパブとなる同店はオーナーの福島さんの肝煎りで昨年オープンした。もともと酒販店のオーナーである福島さんはここ10年の日本酒や焼酎のブームを冷静に眺め、「酒屋の売り上げの6割は依然ビール(と発泡酒)である」という分析のもと、自身が好きであったギネスをおいしく出せる店をつくりたいと考えていた。そこでまずアイルランドに行き、ギネス社のアンバサダー(案内人)にダブリン市内のパブを訪れ様々なことをレクチャーされたそうだ。「アイルランドを含めて世界でNo.1のギネスビールを提供している」という自信はアイルランドより機材を輸入して取り入れた温度管理システムを見れば納得する。毎週1回3時間かけてメンテナンスをしており、東京都内のパブより移籍してきた大石店長も「ギネスがおいしい」とびっくりしたそうだ。
 毎週月曜日は19時からアイリッシュ音楽のライブを行っている。禁煙ルームもある、ユニークなお店である。





「ハーフ ペニー ブリッジ」
住 所 宮城県仙台市宮城野区榴岡4-5-1
福島屋ビル1階
電話番号 022-256-6881
営業時間 月木17:00-23:30/金土17:00-0:30
定休日 日・祝定休
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「フィッシュ&チップス」と「グリルソーセージ」
 
 
--オピニオンリーダー村澤氏のお店--
「イニッシュモア」
(恵比寿)
1階部分のカウンター席/常に1歩先を考えている村澤氏/「フィッシュ&チップス」と「マッシュルームフライ」(左奥)

 恵比寿駅からスカイウォークを通り、10分ほど歩くと閑静な住宅街の並びに「イニッシュモア」がある。02年に現在の場所に移転した同店は1階と地下1階がパブとなっていて、2階では雑貨も販売されている。
 オーナーの村澤さんは02年に日光金谷ホテルのバーの改築を手掛け、03年にはウイスキーマガジンの「ベスト・オブ・ザ・ベスト」のテイスティングパネラーとして名を連ねた。
 「20代の若者に飲食文化を伝えていきたい」と言う村澤さんは毎年のようにアイルランドかスコットランドを訪れており、それに感化されたスタッフも2週間ほど休みを取って勉強しに出掛けるという。ウイスキーはもちろんビールの品揃えにもこだわっており、「ギネス」の他「バス」「よなよなリアルエール」等がドラフトビールとして飲める。
 「料理がおいしくないとだめ」として定番のフィッシュ&チップスひとつをとっても手を抜かずに調理していることがよくわかる。フードメニュー数はおよそ50。女性客が多い理由はここにもあるのだろう。
 同店は広尾に「ヘルムズデール」という系列店があり、そちらではより落ち着いた雰囲気でパブを楽しむことが出来る。どちらも朝の6時まで営業しており、飲食店関係の人間も飲みに来ている。


「イニッシュモア」
住 所 東京都渋谷区恵比寿3-14-7
AYAビル1F/B1F
電話番号 03-5791-3824
営業時間 18:00--6:00(6月より6時まで営業)
U R L http://www.inishmore.jp/
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「フライの盛り合わせ」、季節ごとのメニュー
 
 
--バーから進化したイングリッシュパブ--
「オールド ロック」
(松本)
「ローストビーフ&チップス」/もっちり衣がおいしい「フィッシュ&チップス」/バランス良いソースの味付け「マウントビックパイ」

ハンドポンプを引く佐藤店長
 同店は第28回全国バーテンダー技能競技大会」で優勝した林さんがオーナーのパブである。97年に日本代表としてイギリスを訪れた際にイングリッシュパブの魅力にとりつかれ「日本にこの空気感を持ってきたい」と思ったそうだ。そして03年に「オールドロック」をオープンすることになる。
 このお店は料理が多彩で、おいしい。フレンチや洋食の店で修行を積んだ料理長がメニューを開発、毎月黒板におすすめメニューが載る。人気メニューはフィッシュ&チップスやローストビーフ&チップスで、ポテトフライは低農薬で育てた「きたあかり」を使っている(秋〜春のみ)。
 アイリッシュ音楽やブルースが流れる同店で飲むギネスやリアルエールは格別だが、「(林さんが立つ)『メインバーコート』で飲むギムレットも捨てがたい」と佐藤店長は話してくれた。

 「オールドロック」は4月にメニューを増やしたばかりで、「オールドロックカレー」も隠れた人気メニューだ。ファミリー客歓迎ということで、ランチにも重宝するお店である。

「オールド ロック」
住 所 長野県松本市中央2-3-20
トドリキビル1階
電話番号 0263-38-0069
営業時間 月〜土11:45-15:00・17:00-25:00/
日12:00-24:00
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リーペリングソースがアクセントの「マウントビックパイ」
 
 
--ボトルビールで30銘柄、下町で気鋭の新店--
「オコンネル」
(日暮里)
1日10食限定の「アイリッシュシチュー」/チェルシーの大ファンの三浦店長/珍しいボトルビールが揃っている

 「オコンネル」は都内の大手業務用酒類卸で営業の仕事をしていた三浦さんと「アメリカンビアハウス スローハンド」(日暮里)を経営するオーナーが意気投合して、03年10月にオープンした。ボトルビールが30銘柄以上、リアルエールを含むドラフトビールが5銘柄ある。ギネスが1パイント800円とリーズナブルなのは「ここで初体験してもらいたい」(三浦マネージャー)という気持ちの表れである。
 フードメニューは素朴なものが多く、「晩ご飯での利用や子連れの方も歓迎します」ということだ。三浦さん自身がもともとアイリッシュパブ好きで、イギリスのサッカーチーム「チェルシー」を応援していることから、試合は欠かさず放映されている。
 マネージャー自ら手掛けた内装はイギリス人のデザイナーに「都内で最も本場の雰囲気がある」と言わしめた。同店のギネスはドラフトだが、近くにある「アメリカンビアハウス スローハンド」では超音波を利用したサージャギネスを出しているので飲み比べてみるのもいいかもしれない。


「オコンネル」
住 所 東京都荒川区西日暮里2-18-5
川島ビル2F
電話番号 03-3807-9555
営業時間 火〜土17:00-2:00(フードLO1:30/
    ドリンクLO1:45)/
日・祝16:00-0:00(フードLO夜23:30/
    ドリンクLO23:45)
これが
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1日10食限定の「アイリッシュシチュー」
 
 
--異端児が斬るパブの王道--
「ザ グラフトン」(五反田)

あらゆる酒に詳しい山口店長/カウンターを飾る美しいビアサーバー/ワインをたっぷりと使用した「ムール貝のワイン蒸し」

道路に面した店構え
 目黒川のそばにある「ザ グラフトン」は7年前にオープンし、2年前より山口店長に引き継がれた。それまでは「正当派」アイリッシュパブとして認知されていたが、彼は次々に型破りな方針を打ち出した。BGMはR&B、スタッフはシェーカーを振って本格的なカクテルを作る。さらには「おすすめドリンクは『ベイリーズ ウーロン』」という破天荒ぶり。しかしそこには芯の通った見通しがあり、本人が納得したもののみをどんどん取り入れている姿が見えてくる。
  ドラフトビールは6銘柄、ボトルビールは20銘柄揃えている。リアルエールもあり、目に見えて進化しているお店だ。平日と土曜日は3時まで、金曜日は5時まで営業しており、他のアイリッシュパブのスタッフが遊びに来ることもあるという。

 山口さんはグローバルダイニングで「権八 お台場店」店長、際コーポレーションにて有楽町の「GUINO GUINO」立ち上げを経験。「ザ グラフトン」には最初コンサルタントとして顔を出していたのだが、「いつかこういう店をやりたい」と思っていた彼はやがて店を切り盛りする立場となった。
 ちなみにおすすめ料理の「ムール貝のワイン蒸し」はアイルランドのバントレーより空輸したムール貝を使用した贅沢な1品だ。カウンターの後ろには珍しいボトルが並んでいて、眺めているだけで飽きない。テレビ番組の撮影にも使われており、ちょっと気取ってかっこよく飲みたいと思わせる店だ。



「ザ グラフトン」
住 所 東京都品川区西五反田2-26-5 地下1階
電話番号 03-3491-9696
営業時間 月〜木17:30-3:00/金・土17:30-5:00
定休日 日・祝定休
これがおすすめ! 「ムール貝のワイン蒸し」
 
 
--ドラフトのオールドスペックトヘンが飲める店--
「38イングランドレーン」(国立)

オールドスペックトヘンのサーバーが見える/新メニューのドリンクは必ず自分でテイスティングしている坂元店長/奥より時計回りで「サンドイッチ」「鹿児島黒豚ベーコンたまねぎ重ね焼き」「ポテトチーズ焼き」「オイルサーディンのバルサミコソース焼」

 細長い店内には日が射し込み、店内の淡い色調が映えている。「38イングランドレーン」は広いカウンターを中心に20席が並んでいる。店長の坂元さんはアメリカで育ち、その後89年より約1年間イギリスで暮らして、そこでギネスの味を知った。同店はおいしいギネスとともにくつろいで滞在してもらうことをコンセプトとしている。
  坂元さんは英語が堪能で、毎週土曜日はお客様を交えた英会話クラブを実施している。70〜80年代の洋楽と共にヴァージン・ラジオ等の海外のラジオを生放送で流し、不定期でアイリッシュ民謡のライブを行っている。

 人気メニューは「サンドイッチ」「鹿児島黒豚ベーコンたまねぎ重ね焼き」「ポテトチーズ焼き」等、シンプルで素材の味わいがしっかりと出ている。日本ではかなり珍しい「オールドスペックトヘン」のドラフトビールが飲める。


「38イングランドレーン」
住 所 国立市 東 1-7-11 森田ビル 1F
電話番号 042-501-2038
営業時間 月〜金:17:00〜24:00/
土:14:00〜24:00/
日・祭日:14:00〜23:00
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「ギネス」「キルケニー」「オールドスペックトへン」のドラフトビール
 
 
--噴水とテラス席、ロケーションが最高の店--
「ザ シャノンズ」
(大崎)
自社輸入のお酒が並ぶカウンター/ハーフサイズの「フィッシュ&チップス」/「ポッチーン 60度」を手にした小黒店長

広い遊歩道に面したエントランス
 ゲートシティ大崎にある「ザ シャノンズ」は毎月2回土曜日にアイリッシュ音楽の本格的なライブを行っている(チャージ料なし)。オーナーはアイルランドへの留学経験があり、自分の目で選んだ幅広い商品を自社輸入し、レアなお酒を飲むことも出来る。自社輸入の「ポッチーン 60度」は麦が原料の焼酎のようなお酒で、甘い香りが特長の一押し商品。ウォッカとカルーアでつくる「ブラックロシアン」にコーラとギネスを加えた「アイリッシュブラックロシアン」は本場ならではの味である。
 フードメニューも充実していて、岩手県宮古市場直送の生タラを使った「フィッシュ&チップス」や、アメ色になるまで玉ねぎを炒めてからじっくりと煮込んだ「前沢牛のギネス煮」など、シェフがたっぷりと手間をかけた料理が人気だ。

 テラス席のロケーションは素晴らしく、噴水を眺めながらゆっくりできる。落ち着いた雰囲気とおいしいギネスが揃っている、都内では稀有なパブである。




「ザ シャノンズ」
住 所 東京都品川区大崎1-11-6
ゲートシティ大崎内
電話番号 03-5437-5779
営業時間 平日:11:30〜24:00/
日・祝日:11:30〜22:00(フード17:00〜)
これが
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「ポッチーン 60度」
 
 
2004年5月16日 取材・執筆 長浜淳之介