フードリンクレポート


シャンパンを売ったら銀座一。「サロン・ド慎太郎」上海出店!
矢部 慎太郎氏
「サロン・ド慎太郎」 オーナー

2008.4.16
大阪・北新地から移転し、銀座8丁目並木通りで「サロン・ド慎太郎」は既に7周年を終えた。そのオーナーでありクラブ業界の有名人、慎太郎ママは2号店を中国・上海に出店する。


矢部慎太郎氏、通称「慎太郎ママ」

「サロン・ド慎太郎」上海店、8/23グランドオープン

 羽田から飛行機で3時間。上海の虹橋(ホンチャオ)空港から車で10分。虹橋路(ホンチャオルー)と凱旋路(カイシェンルー)の交差するあたりに出店を決めた。

 33坪、30席。わざわざ京都のデザイナーを使い、銀座店より素晴らしい内装に仕上がるという。もちろん風水もチェック済みだそうだ。日本と同じく、一見様お断り。お客様の紹介がないと入れない仕組み。接客スタッフも銀座から連れて行き、彼ら彼女ら用のマンションも用意した。銀座と上海とを行き来させ、スタッフにも楽しく働いて欲しいと考える。

6月にはソフトオープンし、銀座が暇になるお盆の8/23に正式にグランドオープンさせる予定だ。グランドオープン時には銀座店のお客様を対象にJALと提携した上海ツアーまで計画している。

 客単価は1万円、約700元を想定。上海では高い方だが、本物を求めるお客様に十分納得して楽しんでもらえる値段だ。

 上海には12万人の日本人が住んでおり、また、銀座店のお客様にも東京・上海を行き来する方が多く、まずは彼らを対象に営業をスタート。そして、中国人の高級幹部にもお客様を広げていきたいと言う。


「サロン・ド・慎太郎」 店内


「サロン・ド・慎太郎」 店内とロゴマーク


シャンパンを月に300本売る

 大阪・北新地で独立した慎太郎ママは大盛況だった店を閉めてまで、2003年に東京・銀座に移転した。あまりの気まぐれで大阪のお客からはお叱りを受けたが、敢えてステップアップを選んだ。その当時も、東京に行くか、上海に行くか迷ったそうだ。

「安定というイメージが分からない」と、オンザエッジを選んできた。また人と異なる道を歩んでいる緊張感が好きなのだろう。毎日が真剣勝負。その生き方に引きつけられて、各界の実力者が集まってくる。政界・財界をはじめ、ファッションデザイナー、歌舞伎役者、など慎太郎ママの人脈は広い。その信頼関係に支えられて、銀座でシャンパン、特にプレステージ・シャンパンを最も売る店だ。ママの誕生日フェアには、店の壁にそってシャンパンの空ボトルが並べられ、わずか3日間で300本を空ける。

 しかし、東京にきて5年目がスタート。昨年秋から、安定した生活を送っている自分に気が付き、「何をやっているのだろう」ともやもやが始まる。かつて出店しようと思っていた上海に11月に飛び、12月には物件を決め、本年1月には内装工事をスタートさせた。


上海人は真剣に生きている

 慎太郎ママの上海出店を支えるのは銀座で培った実力者の人脈。物件を仲介してくれた日系の不動産会社の社長は中国にラグビーを伝えた方だ。

「上海へ行って思うのは、日本人は不景気なのになぜ余裕があるの、ということ。中国人は全てのことに対してハングリーではっきりしている。一流の物・二流の物ものそれぞれのカテゴリーの中で自信を持ってビジネスをしている。当然うりかたビジネスも命がけになる。日本は中途半端な二流の物を一流のふりをしてビジネスをいるからダメ」

 慎太郎ママの次なる夢は、ロシアとインドへの出店。

「本当の富豪、財閥のいる場所に行きたい。世界中の真剣にオンザエッジに生きる富豪の方々のお役に立ちたい。」そのことを 考えて毎日真剣に生きている。だから、お客様も慎太郎ママを信頼しているのだろう。


「桜祭り」 店内は桜の生木を多数揃え、店内で花見


■矢部 慎太郎(やべ しんたろう)
「サロン・ド慎太郎」オーナー。北海道出身。京都のホテルに勤務後、京都祇園にてデビューを飾る。2001年に大阪・北新地で独立し、2003年に東京・銀座に移転。08年8月に上海店がオープン予定。

「サロン・ド慎太郎」
東京都中央区銀座8-6-24 銀座会館6F 電話03-6215-8365

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2008年4月8日取材