・調理人主導? 管理栄養士主導?
「多少高くても…」に、「限定○○食」のチョイ高ランチを考案
メタボが気になる30〜40代のサラリーマンの間で、カロリー控えめの弁当が人気となって、コンビニなどでは女性用のヘルシー弁当が男性にも良く売れています。2ウエイの弁当の業者も、ヘルシー物を扱ってドカ弁イメージを拭う努力をしています。
ところが、これらの考え方の主流は、管理栄養士によるカロリー計算に基づいた数値主義。極端かもしれないが、ご飯を半分にすれば即カロリー大幅減となるし、揚物もポーションを小さくすればカロリー減となる。それに減塩で薄味になったりで、味が今イチといわれ敬遠されがちです。
かといって、調理人に任せると味を重視するために、カロリーオーバーのメニューが続出することになる。大手居酒屋チェーンでの低カロリーメニュー開発においてもこれが解消されず、調理方と栄養士方とがぶつかり合って開発自体が停止した経緯を目の当たりにしました。
企業としては、コスト面からも効率化の図れる管理型のメニュー構成を主力としたいところですが、食べる側としてはいくら低カロリーであってもおいしくなくてはリピートをしません。
これからは、「良薬口に苦し」の考え方ではお客様は納得してくれません。一時期流行った薬膳料理の二の舞になってしまいます。
今や、メタボに気遣うサラリーマンは増殖中です。「おいしくて体に良いものなら、チョイ高でも…」、コンビニランチより町場の飲食店へと足を向けてくれます。
中国食品不審からくる、高くても体に良いもの信奉が追い風になっているようです。今こそ、調理人主導の、食材や出しにこだわる和食調理に基づいた、おいしい低カロリーランチ提供のチャンスです。
・温野菜で8種類。8菜メニュー
基礎代謝・新陳代謝・ホルモン分泌を正常にする食べ方
徳島県で、「ヘルシー&美味しい&ボリューム感いっぱいで なんと400kカロリー」塩分も2g以下の弁当を提供している「宙(そら)弁当」は味もボリュームも大満足の弁当です。これは、漢方薬・生薬認定薬剤師の佐々木佑実先生が提唱する「8菜メニュー」の考え方で作られています。
佐々木先生は、自律神経のバランスが整っていると血流が安定し、基礎代謝・新陳代謝・ホルモン分泌が正常になり、ダイエット効果をもたらすと話します。過度のストレス状態になると交感神経が高ぶり、自律神経バランスが崩れ、体重オーバーとなるそうです。消化器系を動かすことで副交感神経が高まり、自律神経バランスが整うといいます。
そこで、着目したのが、副交感神経を高める食事だったのです。佐々木先生の提唱・実践している8菜メニューは、100kカロリーの生人参の摂取方法の比較でよくわかります。
人参ジュースの場合。咀嚼・消化に20kカロリー使用+吸収・代謝・排泄に50kカロリー使用=基礎代謝として計70kカロリー使用。結果的に100−70=30kカロリーが体にプラスされるのです。
人参野菜料理として調理した場合は、咀嚼・吸収に200kカロリーを使用+吸収・代謝・排泄で160kカロリー使用=基礎代謝として計360kカロリーを使用します。よって、100−360=−260kカロリーとなります。
この考え方による調理の基本形は、主材料に8種類の野菜を使い、たんぱく質+穀物で、①加熱調理②ダシ汁による調理③大豆・大豆加工品を使った調理④ごまを使った調理となります。
ここには、日本人の食の原点「伝統的日本型食生活」を見直すことの大切さが現れています。
・低カロリーの食材利用
コンニャク・発芽米・ナタデココ…にバリエーションを
低カロリーといえばコンニャク。15〜6年前から「マンナン…」といったコンニャク加工製品が多く商品化されましたが、ダイエット商品としての位置づけで一部の消費者への供給にとどまっていました。それが、メタボ予防・改善がマスコミなどに取り上げられるに従い様相が変わり、売上大幅増となっています。
代表例は『マンナンヒカリ』。大塚食品が約15年前から商品化しているコンニャクを米粒タイプにした低カロリー食品です。
マンナンヒカリ(大塚食品)
カロリーを33%〜50%カットでき、といだ白米に加え、通常の炊飯でOK。ご飯と変わらない風味、食感です。食物繊維は玄米の3.5倍、白米の16倍、5大アレルゲンは一切含まれていません。もちろん、炊いた後に冷凍保存してレンジ加熱でもおいしく食べられます。炊込みご飯、チャーハン、リゾット、おかゆもOKです。75g入りスティックが7本入ったパッケージが大手スーパーの米売場に置かれ、コンビニ弁当にも採用されて人気を博しています。
山形県月山の麓の農業法人・米月山(まいがっさん)が昨年から販売をしている発芽胚芽米『月山まんま』も、同様に白米に加えて炊き上げるタイプです。玄米を発芽させて胚芽を残してあり、胚芽を失わないために、といだ米に2〜3の割合で混ぜるだけの無洗米。血液をさらさらにする効果が期待できるビタミンEが白米の7倍、食物繊維は3倍、脳細胞の代謝を促進させる効果が期待できるギャバが13倍といわれています。
米、十六穀、マンナン
米、十六穀、マンナンを混ぜ合わせた「減カロご飯」
これらを混ぜ合わせ、チャーハンや炊込みご飯などとして特徴を持たせることも、単なる「五穀米」「十六穀米」ご飯の提供ではなく、他店との差別化には大きなパワーになります。希少食材によるメニューもアピールに一役買ってくれるでしょう。
デザート系でおなじみのナタデココが、食材に加工されて販売されています。通常はココヤシの実のゼリー状の部分を発酵させて凝固してきたものを、小さく賽の目切りにした寒天状の外観で、特定保健用食品としても利用されています。
『ココアップ』は、国内では唯一石山商事が輸入販売している製法特許を取得した天然ナタデココ加工食材です。ナタデココ独特の、コリコリとした弾力のある食感に特殊な海鮮風味を加え、イカや貝に似た食味の繊維質を豊富に含むヘルシーフードです。そのままで刺身や寿司ネタとして使えるだけでなく、サラダ・和え物・炒め物の食材として広く使えます。既存メニューとの融合で、個性的なメニュー提供が考えられます。
ココアップ(石山商事)
ココアップ海鮮風味
ココ海草サラダ
しめじココ炒め
メタボリックシンドロームの予防・改善には、「1に運動、2に食事」生活習慣を改善して内臓脂肪を減らすことだといわれています。
数量限定の「メタボ予防のランチ」提供で、他店との差別化を考えてみてはいかがでしょうか。