フードリンクレポート


【人気ブロガーに聞く】
人柄の温かい店はバンバン載せます!

2008.11.28
店の集客に大きな影響力を発揮している、グルメブログ。ネットで日々チェックしている店も多い。どうすれば人気ブログに掲載してもらえるのか、悪く書かれはしないか、など気になる。グルメブログの中でも人気の「渋谷&恵比寿ランチ・ジャーナル」を主催するサーフライダーさんと、「ゴージャスカレー姉妹」などを主催するゴージャス姉妹さんとフードリンク安田で座談会を開催。ブロガーとお客は対等がいいという。


「ゴージャスカレー姉妹」 http://lovegorgeous.tokyobookmark.jp/


「渋谷&恵比寿ランチ・ジャーナル」 http://ameblo.jp/surfrider3/

ブログを始めたきっかけは?

<サーフライダー>
 以前、渋谷で働いていました。渋谷は新陳代謝が早く、いろんなものが次々に生まれます。それを記録しておこうと思い、まずランチから始めました。地方から渋谷に来た時、どこで食べたらよいかわからない方がいることが分かったので、コンスタントに書くようになりました。
 ブログには金銭的メリットはありません。社会貢献の意識です。続けるモチベーションは、神戸から渋谷にきた女の子たちがどこで食たらよいか分からない時に私のブログを見て行った店がすごく良かったとメールをくれたことです。役に立ってるんだなと実感。

 値段の高いランチを食べると、あまり評判が良くないんです。1千円、皆が自分で行ける店の情報を共有しています。安ければ安いほど喜んでくれます。安くて沢山食べられるのがいいみたい。

<ゴージャス姉妹>
 同世代の女性を元気づけたかった。ブログを始めた26歳当時、30を目前に元気がない女性が周りに多かった。体調を崩したり、結婚をどうしようか考えたり、仕事において重要なポジションについていないと悩んだり。みんなでランチに行っても、わたし達、こんなでいいのかなーという話題が多かったんですね。でも、みんなそれぞれの才能と魅力を持っている。元気になってもらうために、自分のできる範囲で何かしようと思った。それがブログ。女性が好きなものと言えばわかりやすいのが「セレブ」と「グルメ」。でも、セレブが食べ歩いてるだけじゃ厭味になる。だったら、もともと食べれば元気になると日本人のみんなが分かっているもの、例えばラーメン、丼、カレーかなと、思いました。後は、女性が入っていくと意外に思われる店。ラーメンと丼のブログはわずかながらありました。ならばカレーしかない。庶民食であるカレーを「オホホホホ」と食べ歩いたら笑ってくれるかな、と始めました。


共に、料理写真が大きいのが特徴ですね

<サーフライダー>
 写真が凄く好き。フォトショップがうなってます(笑)。一眼レフは重いので、小さいカメラを使っています。被写体によって使い分け、ミクロでとるときはペンタックスがきれい。葉っぱの葉脈、野菜の繊維がすごいリアル。店の外観は広角のリコーGRを使っています。
 文章も好きですが、ウェイトは写真8割。写真で全部を分かって欲しい。写真は多い方が良いです。大きくした方が迫ります。特に食べ物は小さいサイズでは分かりません。柔らかさ、透明感を出すために、手前にピントを合わせて、ほのかな色気を感じさせるようにしています。

<ゴージャス姉妹>
 生まれて初めて買ったデジカメを今も使っています。フォトショップで解像度とシャープにしてます。
 男性は事実の積み重ねで判断します。文章の方がかみくだきやすい。女性は感覚的。写真でバーと来た方が、文章で一つ一つ追いかけていくより分かりやすい。女性を意識しています。

<安田>
 読者はどんな方ですか?

<サーフライダー>
 女性が65、男性が35くらい。

<ゴージャス姉妹>
 読者は女性ばかりです。


読者からはどんなコメントが届きますか?

<サーフライダー>
 店についてのお問合せが多いです。「喫煙ですか分煙ですか?」「大盛りできるんですか?」 など。店それぞれに関する問い合わせがあまり多いので最近は、直接店に聞いて下さいと注意書きを入れています。簡単に聞いてこられるので大変だったことがあります。古い記事をご覧になって聞いてこられる方もいます。今は、メニュー構成や値段も変わっているので、お店に聞いて下さいと答えています。本当は、答えてあげたいが無理です。店が答えるのと、お客の立場が答えるのとでは違いますから

<ゴージャス姉妹>
 メディアに出るようになって、凄くたくさんコメントが付くようになっりました。ネガティブなものはありません。こっちも気をつけて書いていますし。カレーで遊ぶブログなんで、「お姉さん、遊んで下さい」というメールが多いです(笑)。社長さんとかで「ご馳走しますので、姉妹2人でご一緒にお越しください」というのもありました(笑)。

<サーフライダー>
 年に1人か2人、記事を読んで行ったがこういうふうにしてもらえなかったというメールがあります。千円札1枚でこれだけのサービスをしてくれたと書いたが、自分が行ったらそうじゃなかった。時間が経って行かれているので変わっている。それ以外はないですね。メールが来ても返せないので、返せないことがありますと但し書きを入れました。


取材の店をどうやって選びますか?

<サーフライダー>
 店から来て下さいというのもあります。あとは、ユーザーが教えてくれます。知人があそこ美味かったよと教えてくれる。その中で選びます。この日は、あの辺りにいるからあの店行ってみよう。場所から選びます。期間限定でイベントをやっていたりすると遠くても行きます。基本は自分のスケジュールに合わせます。

<ゴージャス姉妹>
 周りに美味しいものが好きな人が集まっています。3人に同じ店を言われたら行ってみます。失敗したくないという気持ちがあります。1人から聞いただけでは行きません。

<サーフライダー>
 2人から言われても、美味しそうで行っちゃう(笑)。

<ゴージャス姉妹>
 同じ時期に同じ店を周りが言ってくることが多い。また、場所に関係なく行きます。毎週、次の週の予約を入れるようにしています。並ぶのが大嫌い。来週の食べ歩きの店は決まっているという感じです。

<サーフライダー>
 私はランチなのでふらっと行きます。1人と2人と半々。店内の写真を撮らないと雰囲気が伝わらないので、お客様の少ない時間に行きます。

<安田>
 基準は周りの人に言われた店のようですが、自分で調べることはありますか?

<サーフライダー>
 渋谷経済新聞で見て「クオーターパウンダー」に行きました。米国からきた新しいハンバーグ店という触れ込み。黒塗りの店で店頭に黒服がいる。500円と600円のメニューしかない。席に持ってきてくれました。パッケージは高級感がありましたが、ポテトが付いている。食べたらマックポテトです。パッケージをあけたらマックバーガー。ブログでマックバーガーとの違いが分からないと書いたら、すぐにメッセージが飛んできました。その方はマックだと行く前からわかっていたようで、「シャレでやって下さい。グルメブロガーならバラさないで下さい」と言われました。皆、分かっていながらユーザーにはっきりと言わないで、「マクドナルドの跡地」と遠まわしに書いていました。皆、そういう書き方なんです。私だけ本気で書くのもなんだな、と直しましたよ。


どんな店だと紹介したいですか?

<ゴージャス姉妹>
 ブログの面白さは、味の評価や店の紹介よりも、気軽な楽しさ。その店で過ごす時間の幸せさ、を紹介していくこと。味より、エンターテイメント性が大切です

 例えば、店までのアプローチが面白い。ビルとビルの隙間を入っていくとか。「ボタニカ」(六本木・ミッドタウン)は広大で気持ち良かった。11時の開店と同時に入りました。上手く柱を使い、だだっ広いところに1人でいるのを緩和しています。柱の影になっているので、店の人から私は見えないはずなのに、ちょっと来て欲しいときに直にいらっしゃる。良く見ると壁に鏡がある。建築構造で、お客様の要望に応えようとしています。

 また、身近な食材を面白い組み合わせでアレンジしている店。「ダズル」(銀座)の「新さんまの冷製カッペリーニ」。食べ歩きをしている私たちは出会うことがありますが、普通に美味しいものが好きですという人は、あまりその組み合わせを見たことない。一般ウケするようなものの組み合わせでこんなに美味しくできるんだと思いました。

 お店の人が面白い店。チェーンより街場の個人でやってるところが面白い人が多い。「銀座小はれ日より」、冷製坦々麺発祥のお店。もともと名だたるホテルの料理長を任された方がシェフですが、金髪。厨房の中からやたら話しかけてくる。つき抜けちゃってるから、逆に面白い。

 身近な食材を組み合わせでは「鍋之進」(渋谷)。23時以降、夜鳴きカレー鍋があります。美味しさを追求しなくてもお客さんが入る立地です。全国の鍋が食べられ、渋谷からアクセスもいい。カレー鍋であまり美味しいのに出会ったことが無かったので、あまり期待しないで行きました。他とは全然違う打ち出し方です。トマト、エリンギとか春菊が入っていますが、一番最後にご飯じゃなくてラーメンを入れます。なんか親しみのある味だなと思って食べました。気づきました、日清カップヌードルのカレー味。素材の良さとか、高級路線とかとは異なり、親しみのある味を追求したらたまたま同じようになった。大多数の人が美味しいと感じる味。B級で「これって食べ慣れた味に似てる」と思わせるのもテクニックだなと思いました。食べた人だけが発見できる味わいです。

 サービスとかインテリアとか、特に女性は総合的に判断します。味が突出してなくても、点数が付けやすい。どっかで見たなと、すごく印象に残ります。

 いつもレストランに恋したい。評価しようではなく、夢中にさせてほしい。いいところ見つけてあげようと、汲んであげている訳じゃありません。お客も店もどっちが上とかない。例えばフランスの2つ星、3つ星のレストランで修業してきました、帰ってきてお客がそれを食べさせていただくのはおかしい。お客がお金を払っているから神様もおかしい。

 対等です。その前提のもとで、汲んであげてるわけじゃない。だけど、それなりの工夫をしている。パッと店に入ったとき、その店に清潔感があるなと感じるのは、いつも清潔を心がけているから。美味しいと思うのはそれなりの工夫をしているから。食べ手側もそれを言われなくても拾ってあげる。その上で、すごく工夫してあるなと思うと、すごく応援したくなります

「アン・カシェット」(南青山)。ランチではテーブルの間隔が狭くて、スタッフはきびきび働いている。気持ちいいでも騒がしい。夜は混んでるんですか?と聞くと、「夜はテーブル間にゆとりをもたせているので、予約していただいた方がいいです」。人気があるので、ランチには1人でも多く入れてあげたい、だからこのテーブル間隔なんだ。こちら側が分かってないと単なる騒がしい店になっちゃいます。食べ歩き始めて2年と少し。ようやく分かってきました。

<サーフライダー>
 いっしょですね。お店とお客は上下ではなく、対等。ランチは最も身近なエンターテイメントだと思っています。店を選ぶ時に気をつけているのは、若い20代の女の子たちが楽しみに行ける、たった千円札1枚で行けて、すごい心地いい雰囲気で、美味しいお料理があって、面白いシェフがいて。千円札1枚のコストパフォーマンスという意味で最高のサービスが受けられる店を見つけたいなといつも思っています。

 いいサービスを受けるためには上から目線とか、客だという目線では受けられないと思っています。気を使うわけではなく、お店の人とコミュニケーションをとろうとしていて、お店の人からも話しかけやすい客でいたいし、客もお店の個性、特徴、お店の人格を感じ取れるようにしています。それを短い言葉で表現できると、そのお店らしさが伝わる。お店の個性を理解するためには、同じ目線でいないと。

 ブログを見ていってくれる人にも客だぞという態度で行って欲しくない。たまに、年に1,2人、そうじゃない人がいます。お店から「凄い混んでますよ」と言われて、自分が書いた店に行きました。行ったら、もともといたお客じゃなくて、ブログを見て行った人か分かりませんが、女の子がいっぱいいて、その中に1組すごく横柄な人がいて、困りました。もし私のブログを見てきた人だったらいやだな。それまでの常連さんは対等な位置で来ている人で成り立っていたかもしれないのに。すごくコストパフォーマンスがいいとか、こんなサービスが受けられるとか言うと、そこだけで自分が客として上目線になって、これだけのことをしろと言っている人も中にはいます。

 お店とお客の関係では、楽しもうと思っても楽しめない。お客同士の会話だけでよければそれでよいですが、お店の人と仲良くなってメニューにないものを出してくれたり、友人感覚ってあるじゃないですか。そうじゃないと、最高の楽しみ方はできないと思う。お店に対して上から目線でいかないと、いつも思っています。

 ランチはエンターテイメントです。若くて、給料もたいしてもらってない。自分が使える千円札1枚で、凄い前菜、パスタ、デザートが食べられる。お客さんとしてもてなしてくれる。だから、紹介したい。

 物的なことではなく、コミュニケーションの温度やタッチ。人は店に行った時に常連さん扱いをしてくれた時にいい気持になる。ランチでもある。お店と気持ち的に繋がっていると感じられたら、凄い満足度

 気になるのは、お店のスタッフの人柄、ホスピタリティ。かっこいい店で勘違いしている所があります。格好で一流を気取って、一流だからと言ってそこで働いている人まで一流とは限らない。しゃれていても、お店の人がホットだったり、フレンドリー、親しみやすい、素朴なキャラクターだったりがいい。たとえば「ロブション」。フレンドリーな接客をしてくれる。そこまで行ってないところで、勘違いしている店がある。ハードもお料理もしゃれているが、サービスが上から目線になるところは載せません。行った人がいい思いをする訳がない。人柄が温かい店はバンバン、何回でも載せます


取材した店は、全て載せますか?

<サーフライダー>
 良くない店は載せません。ネガティブな要素は、味が不味い、人柄が悪い。多少店が汚なかろうが、気持ちが良ければ問題じゃない。気取って、これだけのしゃれた店なんだからというスタッフがいる店は絶対載せない。

<ゴージャス姉妹>
 載せているのは食べたお店の3、4割。載せなかったお店は味がダメだったり単に取り立てて書くほどの特徴がないだけというのもありますが、中には腹が立ったお店もあります。例えば、あるビストロに1人で行きました。そんなに高いところではない。街場の、気安いビストロです。フレンチカレーを頼みたかった。評判で1人で食べきるのは多いと聞いていたので、前菜から頼んで〆として食べるべきとわかっていても、残すのは失礼だと思い、カレーを単品で頼みました。すると軽い嘲笑と共に、「前菜も頼んでもらわないと困るんですよね〜」と言われた。カレーは美味しかったけれど結局取り上げなかった。お客様は神様じゃない。でも、気軽な使い方がしたいからフレンチレストランではなくビストロに来ているわけで、お店のポリシーを押し付けるような店は気持ちいいとは思わない。初対面のお客様に対して、言い方というものがあると思う。

 取り上げたお店に関しては、味やサービスだったり、創意工夫だったり清潔感だったり、基本的にどこかしらをすごくいいと思っている所ばかり。それでもここを直したらもっといいと気になるようなら書きます。ただし、批判的なことや、こういう扱いを受けたとは書きません。行って同じ思いをされるのは厭だけれど、人によって気になるポイントは違いますから。

<サーフライダー>
 良くない店は私も書かないですが、書いてる人もいっぱいいます。ブロガーもマナーが必要です。そうすれば、店との関係もよくなる。写真撮っていいですか?と事前に聞きます。 ノーの店もたまにはあります。悪いブロガーだと思われてるんじゃないかな。そこが残念です。


掲載した店から喜ばれますか?

<サーフライダー>
 メールが来たりします。アクセスログを見ていると、お店の人が見に来ているのが分かります。店主の方とかコメントくれたりします。嬉しいです。

<ゴージャス姉妹>
 メールが来ますが複雑です。自分がいいと思ったから書いたんで、その店に喜んでもらおうと書いたわけではない。自分が店主だったら、ありがとうという気持ちも分かります。あまりお店の人と仲良くならないようにしています。但し、そういう自分でもすっと入ってしまうサービスの店があります。フードジャーナリストと違うのが、常連の扱いを受けてもいいのがブロガー。行った時にちょっとスイーツをおまけしてもらったり、帰りに傘を貸してくれたり。来たメールを返したりはしません。メールが来ても来なくても、いい店なら自然と取り上げます


ブログで教えたくない店は?

<ゴージャス姉妹>
 カレーについては、美味しい店は衝撃を受けたら素直に載せます。カレー以外を取り上げている「華麗叫子の胃袋は偉大なるコスモ」の方は、本当に好きで、週に何回も通っている近所のお店は載せていません。もう2年通っている台湾小菜店で、この間初めて仕事を聞かれました。「うちに週3回来て、何で取り上げてくれないのよー」と言われました(笑)。手頃な価格で、店の人もかまいすぎることもなく、放っておくこともなく、1人でも行けるようないいお店。でも、あまりに通い過ぎている日常の延長線上のお店なので紹介しません(笑)

<サーフライダー>
 全部載せちゃいます。秘密はない。いいと思ったら載っけちゃう。常連は何回も載っけちゃう。常連は、恵比寿にイケメンシェフの店「ドミセッコ」。そこも好きで何度も行ってます。コストパフォーマンスがすごくいい。シェフはクリエーターで、びっくりするものでお客を驚かせたい、面白いものを食べさせたいという気持ちが伝わってきます。採算度外視じゃないですか。このシェフは凄いと書いて、何度もアップしました。読者にもいいサービスをしてくれたみたい。


厭な店は?

<ゴージャス姉妹>
 カレーが美味しいと評判の店。HPを見るとマナーについて書いてあり、口うるさそう。食器をひっくり返してみるのは失礼ですよとか書いてある。12時になると一杯なので、11時30分の開店と同時に行けば予約なしでも食べられると思いました。11時35分に行くと、マダムがとおせんぼするんです。「あらあら、入ってきちゃったんですか? 予約のお客様だけでいっぱいで」と言われました。ある方に誘われてたまたま同じ店に夜行きました。すごくまじめなご夫婦で経営されています。でも、気まじめすぎて、調理が終わった後、キッチンから客席を見てずっと立っているんです。すごく居づらい。決して悪い人ではなけど、お客に気をつかわせちゃう。

 また、バックを置いた瞬間に「あらまあ」とナプキンをもってかけ始めた。隠された。恥ずかしいバックを持ってきちゃったのかなと心配になりました。ちょっとしたこと。バランスみたいなこと。悪気があるわけじゃない。2人なので指摘してくれる人がいないのかもしれません。

<安田>
 清潔感とか気になりますか?

<ゴージャス姉妹>
 南青山に「日月譚」というラーメン店があります。怪しい外観です。台湾人の店主が1人。中は真っ暗で、奥のカウンターから店主がにらんでいる。4人で行っても1人分ずつ出されます。電気も点けてくれない。キッチンカウンターから漏れる明かりで食べる。口をつけるのを躊躇するぐらい丼が汚い。ですが、不思議とじわじわくる美味しさ。前首相とかもずっと通っている。汚いがはまる店です。かならずしも清潔感は大事ではないですね

<サーフライダー>
 コミュニケーションが取れない店は厭です。お店の人柄が、ツンツンして気取ってる、冷たい、そういう空気を感じるのが厭。多少まずくてもお店の人が一生懸命やってれば、それはOK。どんなに素敵なものを出してくれてもサービスが良くないと


チェーン店は取材しますか?

<サーフライダー>
 取材します。「つばめグリル」とか載せました。が、個人がやってる店を応援したい。個人でやっていて、良い店で知られていない店をの載せたくなります。でも、それはそれで問題がある。記事の最後にレーティングを付けています。味、雰囲気、値段で各5つ星で評価しています。全部に5つ星をつけると、お客はいってくれる。でも、個人でやってるところは回らなくなる。プッシュして書いちゃうと見てる人は行ってくれますが、店からは「大変でしたよ」と言われてしまいます。どうしたらいいのかなと思います。混むかどうかわからないですから。

<ゴージャス姉妹>
 私も取材します。読者の20代、30代のOLは食通の人より判断基準が下がります。一度くらい聞いたことがあるとか、「ダズル」のようにファッション誌でモデルの後ろに写っていて、パッと入った瞬間、「あっ!これって、あれだ」と分かるような店が好まれます。女の子があこがれちゃう店を意識して入れています。自分が好きな店とはちょっと別ですが。

「なか卯」のカレーが大好きで、週に1度は食べちゃいます。「ココ壱番屋」もたまに食べると美味しい。東京という特色、女性が憧れるとなるとチェーン店は外れることが多いです。チェーン店は分かった上で行きます。チェーンはチェーンなりの楽しみ方があります。構われるのが厭な時とか、用途によって使い分けます。

 チェーン店の、邪魔されない、味が同じは、マイナスでもプラスでもあります。個人はそれぞれ違う。シェフも人間なので朝一番の塩加減と、働いた後の塩加減は違う。あのラーメンが食べたいと思って行っても、味が違う時があります。個人店はぶれる。チェーン店は思った通りの味で選べる。そこは私にはプラス。個人店はぶれるのが楽しみ。「味はどうでしたか」とか聞かれるのが嬉しい。

<サーフライダー>
 そこが一番の楽しみ。お店と繋がっているという感じ。


食べ歩くことで学んだことは?

<ゴージャス姉妹>
 エンターテイメントとして食事をとらえています。美術鑑賞、遊ぶのと同じ。若い内は借金をしてでもそんな経験をした方がいいと思っています。食事とそこから得られる知識が自分に備わってくる。自分に対する最大の投資です。

 銀座は人を育てる街と言われます。こんな小娘がグランメゾンに行ったとしても、丁寧に対応してくれる。知識を教えてくれ、質問しても厭がらずに答えてくれる。その店といい関係になりたい。そこが自分にとってのベスト店。2人なら放っといてくれる。1人だと寂しくならないタイミングで話しかけてくれる。

 店と私は、キャバクラ嬢とずっと通っている常連さんの関係。いやらしくもないし、どちらかが優位に立っているわけでもなく、このお客さんに喜んでもらいたいという気持ちがキャバ嬢の中にあるし、男性側もこの娘が喜んでくれるならいつも行こう。この子が誕生日だから5時間いてあげよう。どっちが得するわけでも損するわけでもなくて、長年積み重ねてきたお互いの人柄の通じ合った信頼関係。いろんなレストランに行かせていただき、その空気を学んでいく。エンターテイメントの場でもあるし、自分の学びの場でもある

<サーフライダー>
 女の子で1人でお店に入れない人がまだいます。友達同士で行った店に、今度は1人で行って緊張しながらお店の人と普通にコミュニケーションがとれるようになる。ステップが上がっていく。これができるようになったらいいな、と思うようになる。

 知らない人とのコミュニケーションの取り方を学ぶ場。できるようになった時に自分も大人になったかなと思う。最初は緊張してドキドキし、「居ていいのか」と思いますが、徐々に店の人と会話ができるようになると、達成感、充実感がある

<ゴージャス姉妹>
 大人のいい女として空気を読む、相手のことを慮るようになれる。最近ようやく気付くようになってきました。仔鴨のローストが出てきました。にんにくを使わず、少し生臭さかった。経験を積んできたので、もしかして、仔鴨のやわらかさやミルキーさを出すために、にんにくやクリームを使わなかったので、こんな結果になったのかなあと、お店側の工夫が慮れるようになりました。「やっぱりそうでしたか。ちょっと冒険だったんです。子鴨だからいけるかなと思って」とシェフから話されました。体全体でレストランを味わおうとして、お店の人の動きとかも見ています。

 そういうのが分かるようになってくると、相手が何を伝えようとしているのか、理解しようとする。それが出来るようになったら、人として素晴らしいですよね。奥深いレストランから学び続け、いつかそんな女性になれたらいいです。


■サーフライダーさんブログ
「渋谷&恵比寿ランチ・ジャーナル」 http://ameblo.jp/surfrider3/
■ゴージャス姉妹さんブログ
「ゴージャスカレー姉妹」 http://lovegorgeous.tokyobookmark.jp/
「華麗叫子の胃袋は偉大なるコスモ」 http://cosmo.tokyobookmark.jp/

【開催】 フードリンクにて、2008年11月20日開催。