フードリンクレポート


<第64回フードリンクセミナー・レポート>
デザインの力を知れ!
生き残るのは「偶然できたような本物感」。

2008.12.3
11/19に東京・丸ビルコンファレンススクエアにて開催された第64回フードリンクセミナー。大型施設を手掛ける佐藤一郎氏(株式会社エイジ)、ダイヤモンドダイニングなどを手掛ける金澤拓也氏(株式会社カームデザイン)、グローバル・ダイニングなどを手掛ける戸井田晃英氏(有限会社アッタ)の3名の人気空間デザイナーを招いて、不況下でも繁盛するデザイン面からの店作りなどについて、フードリンク安田正明が聞いた。


エイジ佐藤一郎氏

エイジ佐藤一郎氏 基調講演

「エイジ」は時代とか世代とか、社会に対し皆で一緒に仕事をしていこうという意味です。私は、昨日で満46歳です。ミッキーマウスと同じ誕生日(笑)。狭間の世代にいるんじゃないでしょうか。「団塊の世代」が先輩で、「新人類」「ゼネレーショX」などとマスコミからくくられる世代から何となく逸脱した世代。「エイジ」と名付けて、クッション役、潤滑油となるのが得意な世代なんです。独立して12年、そんな役目かなと思っています。

 桑沢デザイン研究所という専門学校を卒業。スーパーポテトに入社。同社は、ハイアットホテルの、特にアジア面での出店の設計を行っていました。入社した当時は人気のデザイナーズブランドの店舗デザインが多かった。また、レストランやバーにもデザイナーのフィールドが広がった時期です。13年間働いきました。後半は、材料の開発を行う会社を担当。家具や建材を世界中から買い付けました。

 独立したのは1996年。アジア金融危機が始まった年です。今と似たような状況でした。2年半ほどあまり仕事がなかった。デザイン事務所は仲の良い方の仕事を年間2〜3件やらせてもらえれば、1〜2人は食べられるような職業です。

 レストランが話題になる時期でもなく、いい店をじっくり作れました。その時に作った店がみなさんからいい評価を受け、今日まで続けてこられたんです。レストランは出来た後のことが大事。レストランを作らせていただいたクライアント様、そこに通ってくださるお客様に感謝しています。

 私がデザインした施設を紹介させて下さい。


「界ASO」(大分県玖珠郡)


「界ASO」(大分県玖珠郡)

 2年前に初めて作った宿泊施設「界ASO」。阿蘇山の国立公園内。8千坪に12棟の客室と母屋を作り、いわゆる離れ旅館です。国立公園内なので、樹木の8割は残すなど様々な規制があり、自然の地形を生かして作りました。料理、食器 ユニフォーム、店名もクリエイター達と共に一から作り上げました。オーナーは、熊本県の人材派遣。将来的にはサービス業が人材派遣のメインになるのではという発想をお持ちで、サービス業の中でも特化した旅館のオペレーションを学びたいという話からスタート。オペレーター、デザイン、料理などソフト屋が集まって作りました。この物件以来、宿泊施設の依頼が増えました。


「ユナイテッド・アローズ」原宿本店メンズ館(東京・原宿)


「束屋クラブ」(東京・原宿)

「ユナイテッド・アローズ」原宿本店メンズ館。VIPのためのサロン「束屋クラブ」。地方のお客様に東京でまとめ買いをしてもらう施設です。普段は洋服をおいてないところにその方向けの洋服を並べて一気に売っていきます。その一角にお茶室を作りました。到着したお客様にお茶を一服差し上げる。伸びている企業はサービスを徹底的に研修しています。誰にどのように売るかが大事な時代。伊勢丹のメンズ館が人気で、さらに阪急はそれを抜きました。そこにあるのは、15坪程度の小さい店ばかり。ここで密度の濃いサービスをマンツーマンで提供する。そこが好調な理由の一つです。


「二期倶楽部 歓季館」(栃木県那須)


「二期倶楽部 歓季館」(栃木県那須)

 二期倶楽部の婚礼、音楽会、パーティーを行うホール「歓季館」を2007年10月に作りました。音楽会もあり文化的な臭いのする施設。建築、庭から全部作らせていただきました。サービス業の中で婚礼をやっている所は、業績の悪い会社があまりないと思います。少子化で、さらに単価も下がっています。しかし、ブライダルプランナーを育てているから良いのでは。


「エン・ジャパニーズ・ブラッセリー」(米ニューヨーク)


「エン・ジャパニーズ・ブラッセリー」(米ニューヨーク)

 3年前にニューヨークで作った「エン・ジャパニーズ・ブラッセリー」。東京で日本料理店を展開している外食企業の初の海外物件。ウェストビレッジの倉庫街の中にあります。 7mの天高のある元家具店のショールーム。左がバーラウンジ、右がダイニング、裏に個室があります。オープン当初はまあまあの売上でしたが、3年経って今の「えん」の中で面積売上は1位。客単価60ドル。NYには「MEGU」や「モリモト」など300〜500ドルの日本料理店があります。しかし、景気悪化した今、高単価の店は相当きついようです。資材は、日本から2割で残りはNYの材料で日本を作りました。大工もいて建具は日本と同じレベルで作ることが可能です。


「サイゴンブルー」(中国上海)


「ブルーチェア」(中国上海)

 上海の「サイゴンブルー」(ベトナム)と「ブルーチェア」(カフェクレープ&ガレット)。実は私が2人の仲間と経営しています。上海では、森ビルさんの上海金融注中心101階建の商業部分の環境設計を担当しました。森ビルさんは完成まで14年くらいかかっています。アジア危機の時は工事が止まったそうです。それを乗り越えてやっとできた。やりたいことはやりとげなきゃいかんと思いました。


「ジャイロ」(東京・表参道)


「ル・プレヴェール」(ジャイロ内テナント)

 表参道にある「ジャイロ」。商業ビルです。オランダの建築家集団の日本初物件。中身をわれわれが作りました。テナントも4件作りました。実は苦戦しています。表参道は飲食店が弱い。坂道は飲食店に良くないと言われています。特に、表参道のように物販店が軒を連ねるところは、街自体が百貨店化しています。百貨店のレストラン街は多くの飲食店をかかえていますが、お客はわざわざ目当ての店に行くのではなく、何かあるだろうと行ってまわって決める人が多い。それが、飲食が流行らない理由。路面店はわざわざの店になるし、何でもいいからでは店同士の距離があり、数も少ない。もう少し飲食店が増えたら食べに行く街になると思います。場所としては素晴らしい。街として期待したい。

 われわれの仕事は、物件ができて流行った状況、行った空気感で次の依頼が来ます。誰も「あれと同じ店をつくってくれ」はないが、「これとは違うんだけど、いいものをやってくれ」というのが理想的な依頼のありかたです。店を作れなければしかたない。今の不景気は大変な状況です。でも、独立した時に比べればまだまだ大丈夫。今だからおれの時代だなと思う人もいるのでは。そんな人との出会いを大事にしたいです。


カームデザイン、アッタ会社紹介


カームデザイン金澤拓也氏(左)、アッタ戸井田晃英氏(右)

<カームデザイン金澤>

 カームは、おだやかなという意味。自己主張をしないがコンセプトです。個性のあるデザインをしますが、オーナーの個性を引き出してあげています。独立して丸7年。もともと大阪ですが、4年前に東京事務所を設けました。今は東京メイン。わかりやすいデザインを心がけています。

 島田伸介さんの「寿司はせ川」、ダイヤモンドダイニングさん初の仕事が「つぼみ」。松村社長から「つぼみでどんと行ってくれ」と言われ、どんといきました。「竹取百物語」は竹取物語の世界観を分かりやすく表現しました。大阪でも大繁盛です。最初は受けるかなと思いましたが。「キャンディー」は、ぶりぶりのファミレスを表現。「グラスダンス」では、ビール瓶でシャンデリアを作りました。大阪で勢いのあるハッシンの「豚の晴れぶたい」では豚の大きな看板を作りました。ブヒブヒ鳴いて、鼻から煙がでます。「新世界じゃんじゃん」では、大阪のおばちゃん3人をモデルにした写真を貼り付けました。


「寿司はせ川」(大阪・東心斎橋)


「つぼみ」(東京・新宿)。


「銀座竹取百物語」(大阪・茶屋町)


「キャンディー」(東京・ららぽーと豊洲)


「グラスダンス」(横浜・横浜モアーズ)


「豚の晴れぶたい」(大阪・梅田東通り商店街)


「新世界じゃんじゃん」(大阪・心斎橋)

<アッタ戸井田>
 神奈川県鎌倉市で生まれました。おじいちゃんの代から大工。親父も鎌倉で大工で、3代目です。家業を休んで好きなことをやらしてもらいました。佐藤一郎さんと同じ、桑沢デザイン研究所を卒業。スーパーポテトという大御所の会社にたまたまころがりこむことができて、ここから自分の人生が変わりました。グローバル・ダイニングで3年半、店舗の企画管理を担当。2004年にアッタを設立。独立して目立った仕事は「ダズル」。

 そして、スムージの専門店「スムーチ」。アメリカやアジアでは流行っていますが、日本はまだ。今はオフィスタワーにあり、忙しい方が簡単にエネルギーをチャージしてもらうことがコンセプト。チャージと同時にリラックスしていただこうと天井に空を描きました。芝生に寝っころがって、リラックスして欲しいという気分を込めました。

「リゴレット仙台」。2層で100坪。仙台は100万都市ですが、集中しておらず広い範囲に分散しています。東京と同じやり方ではいかんと、4つのエリアに分けました。1F正面にバーがあって、奥にラウンジ、2Fの窓際はカップル向け、その奥のキッチン横に家族で寛げるダイニング。

「黒ぶたや」は、「カーディナス」「ディキシーダイナー」などを展開するADエモーションさんの店。黒豚しゃぶしゃぶの店なので、豚がお湯につかっている、お風呂屋のイメージ。遊び心を満載し、温泉のような作り。


「ダズル」(東京・銀座)


「smooch(スムーチ) 山王パークタワー店」(東京・溜池)


「リゴレット タパスラウンジ 仙台」(宮城・仙台)


「黒ぶたや ルミネ立川店」(東京・立川)


ダイヤモンドダイニングやグローバル・ダイニングに出会ったきっかけは?

<カームデザイン金澤>
 友達の紹介でダイヤモンドダイニングさんと会いました。ファミレス「キャンディー」を渋谷に作る予定でした。コンセプトの下で提案させてもらったのが初めて。松村社長に気に入ってもらえました。飲み友達がダイヤモンドダイニングに入社したのがきっかけです。運がよかった。

<アッタ戸井田>
 スーパーポテトを退社後フリーになりましたが、仕事がなかったので色んなことをやりました。百貨店の内装管理とか、100店舗を目指していた当時の「牛角」のデザインなど。知り合いが増え、ある方からグローバル・ダイニングを紹介していただきました。 緊張して行ったところ、僕は初めて会った時で顔合わせだけと思っていたら、長谷川社長から物件資料を手渡されて、「横浜に600坪の物件がある。30分で何かプラン立ててくれない」と、いきなり言われました。雰囲気に圧倒されて「はい」としか言えませんでした。30分でプランなんかできる訳がなく、30分後に「すいません、1日時間下さい」。 持ち帰って翌日、手書きのラフスケッチを見せました。「まだまだだけど、まあいいよ。これでいこう」とありがたい言葉をもらいました。器の大きさを感じましたね。会社にもなってなくて、個人の僕に何億円の仕事を任せてくれた、今では考えられません。

<安田>
 何がウケたんですか?

<アッタ戸井田>
 見ての通りまじめさです(笑)。

<エイジ佐藤>
 僕は、最初は外食企業はやってません。アパレルです。当時、全体的に仕事がなくて、コンペが多かった。最大手のアパレルブランドのコンペで勝ちました。大手外食の方との付き合いはここ5年。「えん」さん、「南国酒家」さんです。今の一番大きいのはフジオフードさん。 「まいどおきに食堂」のほとんど全店を監修しています。カジュアルは得意ですよ。他にカジュアルは「はなまるうどん」。また、ニユートーキョーさんの「あぶりゃんせ百干」。僕が名前もつけました。


作る店の客層を意識する?

<安田>
 アッパーとカジュアル業態でのデザイン上の違いは?

<エイジ佐藤>
 基本的には変わりません。カジュアルは1気に10店くらい作らないと、1店では2〜3人しか食べられない。客単価1万円の店なら20〜30人食わせられる。出店のスピードも速くなるし、材料も押さえなければ。物理的な違いはあるが、業態を作る大変さは変わらない。カジュアルは数をつくらなければで大変です。

<安田>
 客層も違いますよね。

<エイジ佐藤>
 僕らは変わってないけど、お客の求めるものは違う。カジュアル業態では、雰囲気 デザインよりも、早く厨房からでてくるとか、おいしそうに見えるとか そっちが重要。

<安田>
 金澤さんや戸井田さんは、若いお客、女性客がターゲットですよね。

<カームデザイン金澤>
 いろんな方です。低単価な居酒屋も手掛けており、女性も男性もありです。

<アッタ戸井田>
 女性を意識しています。女性の方が目が厳しい。女性は安いだけじゃだめ、美味しいだけじゃだめ。

<カームデザイン金澤>
 ダイヤモンドダイニングの個室を作る時、自分が20代前半の時の彼女を思い出します。僕の中で大事なのは分かりやすさ。かっいこい店はあふれています。企業の個性をデザインで出してあげて、埋もれない店を作るのが大事。

<アッタ戸井田>
 ダズルのワインセラー。オーナー新川さんがたまたまいっぱいワインを買った。「戸井ちゃん、ワインを何千本も買っちゃたんだよね。次の店で置けないかな」と言われました。「ダズル」はファインダイニング、高級業態。60坪x60坪の2フロア。レストランウェディングをやりたい。20組80席が座れて、バーカウンターを設けて、席の間隔、テーブルの大きさ、トイレも同じフロアと、60坪につめこむ要素がいっぱいありました。そこへ「何千本置いてくれ」。どうしようと思いました。天高が7〜8mなので、空間にせりだしたワインセラーをつくれば地面を狭めずにできると思いついたんです。

 自分が何をやりたいかより、お客さんやオーナーさんが何を思って何をやりたいかをどんだけ引き出せるか、わがままをどんだけ言ってくれるか、それを僕らが整理して空間に落とし込むんです。


自分の個性をアピールする?

<安田>
 金澤さん、戸井田さん2人ともに依頼主を重視。ものを言わないが、作ったものは自己主張しています。佐藤さんは?

<エイジ佐藤>
 自己主張はしませんが、3000円の居酒屋でシャンデリアがあってもいい、何でもいい、正解はない。でも、作った後のことを話します。残ってもらいたいから。3万件レストランができて、2万件が閉まるというじゃないですか。その内の2万件に自分の店が入りたくない。その後を話しとかないとお勧めできない。リニューアルやブラッシュアップも予め考えます。1回作って終わりじゃなくて、どんどん変えていくことが必要。どう変えていくかを最初の段階で話します。予算も押さえられます。最初は数字の上しか考えられない。だったら初めから、ああだなこうだなと手段を考えといた方がいい。


撤退してしまった店は?

<エイジ佐藤>
 六本木の交差点から50m、家賃坪5万円、28坪に餃子店を作りました。少し先にうどん店「つるとんたん」があり、ものすごく売っている。場所は問題ない、餃子単品で勝負。ダメでした。理由は未だに分からない。24時間商売できるな所。ランチでビジネスマン。アイドルタイムで外した人がラーメン。ディナーで働いてる人。その後で出勤前の夜働く人が食べて。その間、同伴、アフター、一般の飲みが入って。最後は黒服の反省会。 考えれば全部お客さんが入はずでした。餃子で反省会をしなかった(笑)?

<アッタ戸井田>
 あります。西麻布交差点。オーナーさんは非常にお金持ち、奥様がセレブ。高級なとこはいきつくして飽きた。和のしつらえで和食を食べるのではなく、完全な洋のしつらえで和食を食べたい。和食なんだけどフレンチもイタリアンも食べたい。マーケットの本当に少数の人たちです。「代官山に行くとか厭で、自分の家から100mくらいのところに自分の家のようなレストラン。そこにいけば何でも食べられる。友達も皆、そんな店が欲しい と言ってる。絶対、大丈夫よ」と言われました。でも、なかなかそんなお客はいない。今は内装そのままで、ガールズバーになって繁盛しています。内装よりもおねえちゃんの力ですね(笑)。

<カームデザイン金澤>
 今まで300店舗作りましたが、何店舗か撤退しました。京都でラーメン店を作ったんです。僕は分かりやすいラーメン店でないとだめですよと言ったが、「寿司はせ川」のようにして欲しいと言われ、シンプルに和を表現したかっこいい店を作りました。僕はベタな分かりやすい店じゃないとしんどいですよといった。結局、3〜4ヶ月後に超ベタに変えました。かっこよすぎてお客さんが入られない。それからベタに分かりやすくラーメン店にしたら流行った。街に合った、業態に合った、マーケットに合った、分かりやすいデザインにしないと、お客さんには伝わらない。

 オーナーとお客さんの思いは違います。アドバイスはします。やる時に気持ち悪いと、オープンしても気持ち悪いことが多い。

<安田>
 最初から撤退がわかりますか?

<カームデザイン金澤>
 僕らのわがままより、オーナーさんのわがままの方が怖い場合があります。客単価と立地とかかみあってない。やばいなと思うとオープンしても厳しい。分かりやすいことをしないとだめです。


デザイナーからみて繁盛する要因は?

<アッタ戸井田>
 自分が行きたい店が表現できれば繁盛します。自分の欲求に正直な方がいい。

<安田>
 自分が行きたい店を作ると大丈夫なんですか?

<アッタ戸井田>
 女性誌だとか結構見ますよね。何が流行ってると分かっています。ガールズバーでインタビューしてますし(笑)。

<エイジ佐藤>
 経験してないことは作れません。オーナーさんは経験豊かな方なら響くけど、あまりご存じない方は、いくら危険だといってもわからない。経験勝負になるのでは。


景気が悪くても、生き残れる店は?

<アッタ戸井田>
 分かりやすい、正直、安心安全。食だけでなく、建築面でもそういうとこにもっともっと着想すべきですね。インテリアデザインは資格がない。法律にしばられないところで仕事をしてきました。最近、インテリアについても行政の規制が厳しくなってきました。かつては、燃えるものをつかっちゃいけないところに使ったり、勝手に床を増床することもやっていました。今はできない。

<カームデザイン金澤>
 僕は飲食好き。おいしいものを食べたい。来年は、おいしそうなお店を空気感で表現できればいいのかな。トロ箱は終わっていくかな。もっと本物ぽい、わざとらしくないことが来年は大事そうかな。とってつけたものはだめ。演出されていて臭い感もあってインパクトがある。ホンマもんぽいものをみんな覗いていくかな。「海ぶん山ぶん」(東京・浜松町)、ああいうのが美味しそう感がでてるかな。奇をてらう中にも、ホンマもんぽいデザインは入れていきます。埋もれないように、個性があるお店作りも心がける。

<エイジ佐藤>
 自分で偶然作って繁盛する店がある。原宿の「まい泉」。銭湯を改装したとんかつ店。風呂屋が残っている。ただ、そういうことを理解すること。わざとらしくなく、偶然できちゃったような感じで本物感。トロ箱を一杯積むことじゃない。トロ箱はあってもいいが、本物の置き方でないと。ゴールデン街とかにある、若い人が10坪200万で作ったバー。そういう良さが分かって、今に分かってデザインした店。際コーポレーションの中島さんは上手い。デザイナーではないが、感覚的にもってらっしゃるから上手い。


分煙が話題。デザインの中にどのように分煙を取り込む?

<カームデザイン金澤>
 2〜3年後はしっかりした喫煙場所の囲い方は大事になってくるでしょう。何となくではなく区切られるようになるのかな。でも、居酒屋では完全禁煙はまだ受け入れられない。 仕切ってあげることを僕らデザイナーの意識の中に入れていかなきゃだめ。今、渋谷でダイニングバーをデザインしているんですけど、喫煙と禁煙をエアカーテンで仕切ります。 喫煙と禁煙のデザインはまるきり一緒。ゾーンで分けて喫煙と禁煙のデザインで表現できるかな。

<アッタ戸井田>
 愛煙家なんで仕切られたくない。エアカーテンみたいなもので、機械の存在をお客さんに悟られないようにどうやって分けていくか。今まではないまぜ、今後は真剣に考えていかなきゃいけない。グローバル・ダイニングは去年11月に全面禁煙にして、売上が2割くらいガクと落ちた。まだ戻りきれてないようです。今は立地によって分けています。バーカウンターは吸ってもよいとか、時間帯で分けたりとか。

<エイジ佐藤>
 チェーンは分煙をオーナーさんも考えています。エアカーテンや、席の配置でやる。自分自身は考えていません。タバコが似合わない店は全面禁煙でいい。ロハスで健康的なものをウリにする店は。ただ、月島のもんじゃとか他の煙モクモクなのに 禁煙と言われても調子がでない。ここまでタバコをたしなんでいる大人の先輩に吸うなというのはちょっと違う。アメリカは店内は全部ダメだが、店の前は吸い殻の山。そっちの方がもっともみっともない。ちなみに、僕は携帯灰皿3つくらい持ってます(笑)。


今後の目標は?

<エイジ佐藤>
 今までのことを海外でやりたい。日本の外食産業の方もすぐれていると思うので、それを世界で試してみたい。いっしょになってやりたい。

<アッタ戸井田>
 同じです。世界に出たい。鎌倉が自分が生まれ育った町。でも、子供のころ見てたのと最近変わっている。自分が生まれ育った町に自分ができることで貢献したい。鎌倉初世界へ。

<カームデザイン金澤>
自分が作ったものをいろんな人に知ってほしい。ぼくも海外。分かりやすい日本を世界で作ってみたい。

<安田>
 皆さん、海外なんですね。世界中に日本のデザインを知らしめて下さい。今後のご活躍を期待します。本日はありがとうございました。


株式会社エイジ http://www.age-co.biz/
株式会社カームデザイン http://www.calm-design.jp/
有限会社アッタ http://www.atta-design.com/index.html

【開催】 東京・丸ビルコンファレンススクエアにて、2008年11月19日開催。