・サンパウロに冷凍コンテナでルーを輸出
出店するのは、大通りに面して日本総領事館が入居するビル。ビル内の本年6月に増築工事が完成するフードコート内に出店する。フードコートといっても「ゴーゴーカレー」は約20坪あり、共通の座席とは別に店内でも食べられるスタイルになっている。
「大通りは昼の2時間、すごい行列。東京やNYでそんな行列を見たことがありません。労働人口と供給が合ってない。昼が勝負です」と、宮森氏は昨年12月に視察に訪れ驚いたという。サンパウロの人口は東京都と同じく1千2百万人もいる。
出店するのは、貿易を営み、ブラジルに住んで30年を超える日本人。現在、味噌ラーメンチェーン「味噌屋」の暖簾分けとして、サンパウロで「らーめん 和」を経営している。本格的ラーメンとしてサンパウロで繁盛しており、「ゴーゴーカレー」を加えて、日本から本格的な日本食を次々に紹介したいそうだ。
昨年夏に「ゴーゴーカレー」NY店を見て、コンタクトを受けたという。ブラジル人にとり、色々な面でNYは注目の的。シンガポールが全アジアから注目されているのと同じだ。宮森氏はNYから9時間かけてサンパウロに飛んで、ライセンス契約を結んだ。
「経営指導はしないライセンス契約です。うちがメーカーとなってルーを販売します。日本から船便の冷凍コンテナで40日間かけてルーを送ります。第一便は既に出発して海の上。そろそろ第二便の準備です。」
ブラジル以外にも、韓国、中国、シンガポールなどからのオファーが絶えないという。
・NY店で、第1回大食いコンテスト
2007年5/5にマンハッタン・ミッドタウンに開店したゴーゴーカレーNY店。丸2年経ち、売上は順調に増え、お客の8割以上がニューヨーカー。常連客が増え続けているという。
昨年、コロンビア大学の学園祭に招かれ、「ゴーゴーカレー」の大食いコンテストを行ったら、大反響。今年も是非というオファーが来ている。そこで、5/30に大食いコンテスト「第1回ゴーゴーカレー・イーティング・チャンピオンシップ」を開催する。
「第1回ゴーゴーカレー・イーティング・チャンピオンシップ」チラシ。
参加費20ドルで誰でも参加できる予選を4〜5月に8回行い、上位5名が5/30、17時から開催される決勝大会に進出する。見た目で食べた量が分かる「わんこカレー」スタイルで制限時間内により多くのカレーを食べた人が、記念すべき初代チャンピオンとなる。優勝者には、500ドル分の商品券と、50ドル分のゴーゴーカレー食事券がプレゼントされる。この模様は、インターネットTVで生中継される予定だ。
「次回の2回目からは世界大会です。日本、全米、ブラジル予選。ワールドチャンピオンシリーズを各地でやります。そして、インターネットTVで生中継。ホットドック大食いコンテストで『ネイザンズ』が有名になったじゃないですか。ゴーゴーカレーも同じように世界で知名度をアップさせたい」と宮森氏。
・NYで叩きのめされた
NYに出店して全米での多店舗展開を目指して2年が経つが、数多く叩きのめされてきたという。まず、米国ではFCは国により厳格に管理され、しかも州ごとの認可制。それを取得するには多大な弁護士費用がかかり、同社の規模では難しい。
「店舗には、インスペクターが突然、チェックに来ます。彼らは強い権限を持っている。ウチの周りでも営業停止命令を受けた店が多数あるし、ウチも年に2〜3回も罰金を払いました。ネズミ駆除も役所の指定業者を使わなければならず、値段も高い。その他、消防だとかで金がどんどん出ていきます。ウチで、店単体の営業利益でやっと10%。合わないです。」
「税法、労務も日本より厳しい。叩きのめされてタフになりますよ。今は慣れてきました。日本でも高いコンプライアンスを要求され始めていますが、そんなのは大したことない。近い内、日本も米国並みに厳しくなるかもしれません。」
今、宮森氏が米国で進めているのが、ルーの販売。ルーを定期的に販売できる先とライセンス契約を結んだり、スーパーで家庭用に販売したりと、メーカー的にルーの販売でビジネスを拡大しようとしている。
・国内のFC開発は、秋から本格化
現在、「ゴーゴーカレー」は日本国内で計26店、内直営は9店。
「券売機の売上、在庫、勤怠などがトータルに管理できるシステムを構築中です。また、生産能力を大幅に拡大するために金沢の工場を拡張しようとしています。システムと工場が揃う、秋から一気にFCを増やしていきたい。」
「既存店の売上もリーマン・ショックで良くなりました。昨対で1割以上伸びています。管理が行き届いていない店ですら伸びています。リーマン様々。100年一度のチャンスです。」
さらに、今年1月から直営・FCスタッフを対象に“みやぢ塾”を毎月開いている。2時間の勉強会で、毎回20〜30人が参加する。“みやぢ”とは宮森氏の小学校時代からのあだ名。
「何でもランキング付けしています。皆、自然と競争心を持っている。ゲーム感覚です。金がもらえる訳じゃなくてもゲームは燃える、熱くなる訳じゃないですか。例えば、人時売上高を競っていると、フードコストが上がっても利益が上がるんです。数値化することにより、『あなたは頑張っていると言いますが、この店はこんなになんですよ』と数字を見せると何も言えなくなる。80点を取ったら、90点、100点取れるようになる。100点を取ったら100点を維持したくなる。それが数値化です。」
FCオーナーによっては、目先の利益に向かい、人材育成の意識が低いところもあるという。そのために、定期的なみやぢ塾で、気付きや学びの場を提供し、全店の教育レベルを上げようとしている。
何といっても、宮森氏の強みは、軽いフットワークと粘り強さ。世界、国内を飛び回って、ゴーゴーイズムの浸透に余念がない。海外活動はPR効果をもたらし、今秋からの国内での本格的なFC開発に大きな成果をもたらしそうだ。