・日本初!インターネットによる一般募集型レストランファンド「The MADOy Grill」
2006年9月から東京赤坂で営業開始し、現在運用中の「鉄板食堂The MADOy Grill」。“レストランファンド”という名を業界に知らしめたこの店は、株式会社ケーズカラナリープランニング(代表取締役・越野健太郎氏)が直営している。
株式会社ケーズカラナリープランニングは、「鉄板焼ダイニング」という新ジャンルを提唱。
「私たちの目指すレストランは、“日常使いが出来る”、“本物志向でリーズナブル”なお店です。そのため、毎週通うことが出来る価格帯、店作りを心がけ、シェフが厳選した食材、ドリンクを提供しています。」と越野氏は話す。
「鉄板食堂The MADOy Gril」 外観。
カウンターで豪快に調理。
鉄板料理店はレストランの一業態として認知されているものの、一般に高級志向の店が多い。そのイメージを払拭すべく、「鉄板食堂The MADOy Grill」では女性や20〜30代の会社員でも入りやすいダイニングスタイルを採用。ジャズが流れる店内で気さくに食事が楽しめるよう、スタッフも気を配る。
落ち着いた雰囲気を楽しめるように個室も用意。
「鉄板食堂The MADOy Grill」では、日本の主食である「白いごはん」とのマリアージュも提唱。鉄板焼きによく合う適度な固さを持つ米である、北海道産「ななつぼし」を使用。
ディナーコースは「鉄板グリル Prefix」(4000円)からスペシャルコース(13000円)まで幅広く用意。定番の黒毛和牛のステーキだけでなく、地鶏や豚、野菜やシーフードのアラカルトも好評。
鉄板はもちろん、アラカルトも豊富。
黒毛和牛ハンバーグ(1350円)は1日10食限定。
2009年春からメニューに掲載した「うっとりフォアグラコース」の反響も大きい。アペリティフのスパークリングワインに前菜、サラダ、焼き物一品、バター醤油ソースのフォアグラのソテー、ご飯、地鶏のスープにデザートがついて、3800円。
ドリンクはビール「ザ・プレミアム・モルツ」(650円)のほか、芋焼酎「富乃宝山」(800円)、麦焼酎「中々」(700円)、米焼酎「鳥飼」(900円)、日本酒は純米吟醸「黒龍いっちょらい」(800円)、特別純米「飛露喜」(900円)、本醸造「八海山」(900円)など。
シニアソムリエの資格を有する川上公雄店長がセレクトしたワインの種類も豊富。北海道、山梨、勝沼をはじめ、フランス・イタリア、ニューワールドのワインが取り揃う。グラスは700円、ボトルは3800円からとリーズナブルな価格帯で提供している。
料理によく合うセレクトワイン
ここまで価格を抑えられる最大の理由は一体何なのか——。越野氏に伺うと、「レストランには3つのポイントがあります。まずレストランの立地条件、そしてレストランのオペレーション、運営ですね。そして3つ目のポイントが、レストランの企画。私は居抜き物件を利用して、内装にお金をかけません。そして1.5等地にして固定費を下げる。そしてその分を食材に回し、オフィスワーカーたちがカジュアルに本物を味わえるレストランにしています。」
食材には独自のこだわりが。
2009年3月31日に、第3回目の決算を迎えた「鉄板食堂The MADOy Grill」。出資募集総額は43,000,000円。出資募集単位は一口500,000 円で、出資募集数は86 口。出資者特典として、投資家優待券(毎年出資金額の1%)、資本金に応じた利益の配当がある。また指定のウェブサイトからデイリーの営業レポートが閲覧出来るほか、現金やカード以外で支払い可能なオーナーズカードの発行、特別に予約席を設けられるオーナーズリザーブシートなどがある。
【鉄板食堂The MADOy Grill】
住所:東京都港区赤坂7-9-7 Mビル1F-B1F
電話番号:03-3568-1686
営業時間:12:00〜15:30(L.O 15:00) 17:00〜23:00(L.O22:30)
定休日:日曜・祝日
客席数:40席
客単価:5500円
経営母体:株式会社ケーズカラナリープランニング
・好評につき、低価格レストランファンド「軍鶏郭茶寮」が横浜に登場
神楽坂で根強い支持を獲得している「匠dining 軍鶏郭 神楽坂店」に続く、姉妹店「軍鶏郭茶寮」がレストランファンドの対象店として登場。自然派軍鶏とテロワールワインをメインとしたお店だ。出資募集総額は39,400,000
円で、出資募集単位は50,000 円。出資募集数は788 口で、会計期間は2007年8月のレストラン営業開始日から3年間。出資者特典は「鉄板食堂The
MADOy Grill」とほぼ同じ。
「軍鶏郭茶寮」 外観。
幻の地鶏といわれる、奥多摩産の希少な「東京地鶏」をはじめ、茨城県産「奥久慈軍鶏」、信州しなの農園「信州黄金軍鶏」など、自然派軍鶏を中心にした炭火焼料理の店だ。
闘鶏用の鶏をメインに。
経営母体である、株式会社ケーズカラナリープランニングの「軍鶏郭」への思い入れは特に深い。「匠dining
軍鶏郭 神楽坂店」は、代表・越野氏のレストランビジネス参入の先駆けとなった店だからだ。「2002年にレストランビジネスをスタートした時期は今と同様に市況が悪かったので、不動産がかなり低価格で投売りされていました。居抜きで内装や家具などをそのまま使える物件もあり、タイミングが良かったと思います。ただ、スタート時の一番大きな問題は、銀行の貸し渋り、ということでした。そして、ちょうどその頃、企業を再生する仕事もしており、二束のわらじ状態でした。その企業での株主総会で株主の方の質問で多かったのが、株主優待について、でした。そこで、『出資金が必要なレストランと優待が欲しい個人投資家を何らかの形で結びつけることが出来ないだろうか?』と考えたのが、2006年にレストランファンドを設立するきっかけだったのです」。
ファンドとして売り出すレストランの選び方についても越野氏独自の見解がある。「全く新しいお店だとリスクが高くなり、投資家としても出資の判断がつきにくい面があります。そこで、旗艦店となるお店が成功していることを条件に掲げています。2号店だと、投資家の方も、1号店の経営状況やお店の雰囲気、料理の内容、サービスなども実際に訪れることにより体感することができるので、安心感という面でも、レストラン選択の良い判断材料だと思っています。」
「軍鶏郭茶寮」 店内。
和風ながらもモダンな雰囲気の「軍鶏郭茶寮」は32坪、1階18席、2階30席の計48席。男女比は4:6と女性がやや多め。関内は、みなとみらいの開発で今後の発展が期待出来る地であり、オフィスワーカーが集う場所でもある。「物件は繁華街というよりオフィス街に程近い立地、居抜き、そして30〜40坪の規模、というポイントにこだわっています。サービス内容、コストコントロール、販促効果、売上げの安定性などを考慮した結果です。そして、食材、スタッフのクオリティを上げることにもこだわります。お店をやっている人間の個性を尊重し、反映することで、その地域に根付き、長く運営していくことが大事だと考えているからです」。
ワインにピッタリの軍鶏。
フルーティな白と合わせても
【軍鶏郭茶寮】
住所:神奈川県横浜市中区太田町2−31−2 関内楊ビル1F
電話番号:045-641-7858
営業時間:17:00〜24:00
定休日:日曜・祝日
客席数:48席
客単価:5000円
経営母体:株式会社ケーズカラナリープランニング
・銀座の灯を守り続ける“オーナー”という騎士団
一方、“銀座の名店”と謳われた老舗バー『クール』を受け継ぎ、有志のオーナーにより支えられている店がある。オーナーバーテンダーの引退後、閉店を余儀なくされた店が2006年5月に「ginza Stock」としてリニューアル。銀座に根付いた歴史と文化を継承している。
「ginza Stock」 外観。
バーの面影を残す店内。
カウンターをメインにした美食処「ginza Stock」は、席数17席。名門バー『クール』を慕い、集まった24人(2009年4月現在)のオーナーによって支えられている。経営母体となっているのは、都内で米料理店「心米」、「米福」を手がける株式会社オンテーブルズ(代表取締役・山口哲弘氏)。
「オーナーは『クール』の常連客が大半ですね。出資の目的としては、この空間、場所を残そうと。銀座の歴史と文化をつくった場所でもありますから…。環境の変化で左右されないように、みんなで協力して守っていこう、ということで21人の有志が集まり『ginza Stock』として再スタートしました」。
カウンター。
居抜きで受け継いだが、新店舗をオープンするにあたって、オーナーバーテンダーから条件が提示された。ひとつは、バーの形態をとらないこと、そして『クール』という名前を使わないこと。「壁やカウンターはそのまま残していますが、私たちも『クール』を前面に打ち出すよりは、文化や歴史を残しつつ新たなものを、と考えています。名前だけ残っても実がなければ意味がないですし、その名が大き過ぎるため、到底私たちに背負いきれるものではありません」と山口氏は打ち明ける。
料理はカジュアルフレンチがメイン。本場フランスで修行経験のある女性シェフが作る繊細な料理は好評。「鴨モモ肉のコンフィ」(1800円)や「トリッパのトマト煮込み」(1000円)など、ワインに良く合うと人気だ。
フレンチ出身の女性シェフが調理を担当。
「鴨モモ肉のコンフィ」(1800円)
顧客は30代後半から50〜60代と幅広く、男女比は6:4で男性が多い。オーナーは、自営業から会社員まで、職業も年齢も多種多様。「現在は株主制で1口100万円単位で出資していただいていますが、基本的に皆さん平等です。定期的に誕生会やパーティを開き、そこでメンバー同士、横のつながりが出来ることもあります。」と話す山口氏。さらに、オーナー特典として、週単位の営業報告の他、店内に個人名のついたロッカーが用意されている。
オーナーのためのロッカーが完備。
「銀座で食事とお酒を楽しみ、交流できる場、文化の発祥地を残したい」という純粋な思いで生まれた店。その歴史、ストーリーを未来へつなぐという使命を持ったオーナーたちによって、支えられている。
ここもワインが似合う。
【ginza Stock】
住所:東京都中央区銀座¬7−2−14
電話番号:03-3572-0201
営業時間:18:00〜24:30(L.O 23:00)
定休日:日曜・祝日
客席数:17席
客単価:7000円
経営母体:株式会社 オン テーブルズ
・低価格で女性を取り込む金融商品「おにぎりファンド」
レストランビジネスの地位向上を図る目的で立ち上がったのが東京レストランファンド。現在インターネットで公募中なのが「mai mai 雑穀おにぎりファンド」。日本の伝統のファーストフード『おにぎり』をメインにした神田の雑穀おにぎり専門店「mai mai」(代表・太田宇寛)。無添加の具と農薬不使用の国産雑穀を用いたヘルシーな『おにぎり』を提供している。
「mai mai」 外観。
店内。
無添加の具と農薬不使用の国産雑穀を用いたヘルシーな『おにぎり』を提供している。雑穀と新潟県産のお米にこだわり、「おにぎり」に最適なブレンドを施している。さらに、天然岩塩と無農薬の有機野菜、厳選した海苔を使用。塩むすび(160円)にコンブ(160円)やおかか(200円)、シャケ(220円)、タラコ(220円)と定番のものから、チーズや味噌、納豆入りのオリジナルまで幅広い。
体にやさしい雑穀おにぎり。
今回おにぎりファンドとして受付中なのは、「mai mai 有楽町店」。有楽町や銀座で働くオフィスワーカーをターゲットにしている。
有楽町をターゲット。
募集総額は初期費用を見込んだ8,400,000 円。出資単位は30,000 円で、出資募集数は280 口。投資家には「mai mai有楽町店」の売上の一部が分配されるほか、「mai mai」 無料クーポン券や雑穀おにぎりセットの贈呈、出張おにぎりや各種イベントへのご招待などの特典がある。
「これまでのレストランファンドの投資家の顧客層は、30〜50代の男性がメインです。現在、購入は投資経験のあるインターネットユーザーの方に限定しています。投資案件によってターゲットは違いますが、投資のリスクを分かっている方であれば老若男女問いません。出資単位は事業者の方が決めることになっていますが、今回は女性も投資しやすい敷居が低い案件でもありますね」と、東京レストランファンドの越野氏は話す。
さらに、既存店の維持・存続・発展にも目を向けている。現在運用中の「Salt Owners' Club」は、新丸ビル6Fにあるオーストラリア料理のビストロ・ワインバー「Salt&W.W」(株式会社Luke Mangan運営)の投資ファンド。東京レストランファンドが扱ってきた、資本金が集まってから出店する従来のタイプとは異なり、「Salt&W.W」開店以降に商品化したものだ。
「Salt&W.W」。
「既存店をリニューアルしたい時や新規店をオープンするにあたり、通常では現在の借入れを銀行に返さないと次へつなげていけない。それでお店をたたんでしまう例を見てきました。そこでお店のファンであるオーナーに、現在の負担を肩代わりしてもらう仕組みを考えたのです。VIP会員としてオーナーシップをとってもらい、利回りを還元する。既存のレストランが温かい支援を迎え入れることで活性化すればいいと思っています」と越野さんは話す。「うちのファンドのレストランは、投資家のためのものではないと考えています。地域に根付き、そこで多くの人によりよい食空間を提供し、存続していくことを目的としています。そのビジネスを支えるという思いが根底にあるのです。多少のリスクはあっても、志の大きな事業者を支援する金融インフラとして業界活性化につなげていきたいですね。」
飲食店が提供するのは、食事だけではない。レストランは誰のためのものなのか。古来、日本には「講」という相互扶助の仕組みがあった。現況の起爆剤を探るべく、故きをたずね、新しい道を模索してもいいのかもしれない。