・有力誌「Time Out」始め、地元メディアも注目した決勝大会
この大会は今回が初めての試みで、予選ではオリジナルサイズのカレー2皿を完食するタイムを競うタイムトライアル形式。参加費20ドルで誰でも参加できる。その上位5名が決勝進出し、決勝では「わんこ蕎麦」ならぬ「わんこカレー」形式で、お椀に盛られたカレーライス(80g)を15分間で何杯食べられるかを競うというもの。優勝者には、500ドル分のギフトカードと55ドル分のゴーゴーカレー食事券が賞品として用意された。
「第1回ゴーゴーカレー・イーティング・チャンピオンシップ」ポスター
予選のオリジナルサイズのカレー2皿。予選通過者5名は、これを37秒〜1分2秒というタイムで完食。
予選は挑戦者が来店したら随時実施。
4月中旬から、ゴーゴーカレーNY店で計8回の予選を実施し、計30名以上が参加。日頃からの常連客や、たまたま予選開催時に店内に居合わせたので参加してみたという人、「Competitive Eater(コンペティティブ・イーター)」と呼ばれる大食い大会の常連、いわゆるプロ、という人まで、幅広く参加した。
同じくゴーゴーカレーNY店で行われた決勝大会は、決勝進出5名のうち4名がコンペティティブ・イーターという強豪揃いで、ビジュアル的にも迫力のある面々が集った。また、情報を聞きつけた「Time Out」誌、NYのランチ情報を発信している「MIDTOWN LUNCH」など、地元メディアも数社取材に訪れ、応援者も多数駆けつけて、店内は盛り上がりを見せた。
5名の決勝進出者。一番左の1名を除く、他4名がコンペティティブ・イーター。ネイサンズのホットドッグ大食い大会始め、世界各国の大食い大会に出場経験のある強豪揃い。
地元メディアの取材陣。
決勝進出者のうち、唯一の日本人、かつプロではない挑戦者トミタさん(出場者写真一番左/NY在住11年・寿司職人)は、日頃はゴーゴーカレーのお客さん。大食い大会に出場するのは初めてで、たまたま予選の場に居合わせたことがきっかけで出場することに。
ゴーゴーカレー代表宮森氏もコメンテーターとして登場。
観客が見守る中、15分のカレー大食い大会がスタート。
1杯80gのお椀カレー。フォークで食べるのがなかなか難しい。
お椀が積み重なる度、観客席から歓声が上がる。
ご飯とルーのボリューム感に、大食いのプロも苦戦。
後からじわじわと襲ってくる辛さもクセモノ。
優勝したのは、予選でも37秒という驚異的なタイムを叩き出して1位通過し、15分でお椀カレー26杯を平らげた、ジョセフ. F. メンチェッティさん。25杯でわずか1杯差の2位となったデール・ブーンさんと最後まで熾烈なレースを繰り広げた。トミタさんは16杯で4位に入った。
優勝したジョセフ. F. メンチェッティさん。
ジョセフ. F. メンチェッティさんと、2位となったデール・ブーンさんは大食い大会仲間。彼らは共に、翌日はブルックリンで開催されるピザの大食い大会に参加するとのことだった。
・アイデア勝負のネットプロモーションでBUZZを起こす
このコンペティティブ・イーターまでもが集まる話題を作り出したのは、BUZZと呼ばれるクチコミを使ったプロモーション。
今や世界各国で行われている大食い大会では、話題作りのため、集客のために、お金を払ってプロの「Competitive Eater」に出場してもらう大会もあるが、このゴーゴーカレーの大食い大会ではそれをすることなく、ネット上での告知をベースに、「Face BookやTwitterといった数々のSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)への情報の書き込みやそれによるクチコミで広めていった。
「あちこちでBUZZ(クチコミ)を起こして、それぞれが自然に大きくなったり、派生したりして広がっていくんです。」と語るのは、このイベント、およびゴーゴーカレーNYのPRを担当しているノーションズ・ユナイテッドの長尾さん。
予選が終わる度、ゴーゴーカレー NYのブログやイベント公式ページでも最新順位、予選の模様の動画、挑戦者のコメントを紹介し、盛り上げていく。
その結果、予選が進むにつれ、アメリカの大食い大会専門の情報サイト「EatFeats」上で勝者予想が飛び交って話題となり、現役を退いたコンペティティブ・イーターまで登場するなど、出場者も増えていった。
また、情報サイト「Citysearch」のフードエディターとして知られるジョシュ・オジョルスキー氏の、今NYのフード情報ブログとして圧倒的な支持を得ている「FEEDBAG」でも取り上げられた。
・試合の動向をリアルタイムで配信し、決勝の模様は動画で生中継
予選では、試合の動向をネット配信して新たなる挑戦者を呼び込み、決勝大会の模様は動画配信サイトを使って、全世界へ生中継するという取り組みも行われた。
予選最終日には、その日デール・ブーンさんが5位(決勝進出ライン)に入ったことと、それによって自分が6位(決勝進出圏外)に落ちてしまったことをウェブサイトで知った参加者が、予選受付終了直前に店に滑り込んできた。決勝進出をかけて、再度タイムトライアルに挑戦するという、まさにネットを使った同時配信ならではの面白いドラマも見られた。
あわや予選落ちかという場面で、6位の挑戦者のタイムが届かず決勝進出が確定し、ほっと胸を撫で下ろしたデール・ブーンさん。
ネット上では予選の模様を動画を見た人たちの間で、優勝者予想がさらに盛り上がり、日本のカレーライスを食べたことの無い人たちにとっては、その食べ方も話題となっていた。
予選では、日本のカレーライスを始めて食べるという人もいて、ルーのコクととろみ、ご飯の粘り気に手こずり、「コツが必要。練習すれば、次はさらに早く食べられるようになるはず。」と大食い、早食い魂に火がついていた。
このBUZZといい、動画配信といい、ひいては大食い大会という形式自体も、日本のカレーライスとゴーゴーカレーの認知度を上げるのには、ぴったりのプロモーションだったのではないだろうか。
・次の目標は世界大会
数々の大食い大会が開かれ、ホットドッグの大食い大会で有名なネイサンズも大会を開くニューヨーク。そして、6月にゴーゴーカレーの出店が決まっているサンパウロ。「来年は、日本、ブラジルでも予選を開いて、ニューヨークで決勝の世界大会を開きたいですね。」とゴーゴーカレー代表の宮森氏。1年後の世界大会へ向けたゴーゴーカレーの挑戦は、もう始まっている。
ゴーゴーカレー宮森代表。