フードリンクレポート


“バリスタ”の資格認定スクール、全国で人気!
7月まで満員。8、9月も残りわずか!

2009.6.12
日本バリスタ協会(略称:JBA)が本年4月から始めた「バリスタ」の資格認定制度が好評だ。JBAの認定校による認定スクールは毎回20名限定で月に1度開催されているが、既に7月のクラスまで予約で満員。8月/9月のクラスも残りわずかとなっている。5/25〜26に開催されたクラスの一部を取材した。


人気のチンバリーのマシンを使って講習。

「JBAバリスタ・レベル1」は2日間のコース

 日本バリスタ協会(JBA)は、2003年に設立。高品質なコーヒーやその他関連商品及びサービスなどを市場に提供する「バリスタ」の資質向上ならびに地位向上を目指し、加えて業界の振興にも貢献することが目的。そのために今年4月から、「バリスタ」の資格認定制度を始めた。

 その資格には、「JBAバリスタ・レベル1」、「JBAバリスタ・レベル2」、「JBAバリスタ・レベル3マエストロ」の3段階があり、上級になるとお客様にコーヒーの啓蒙ができたり後進の模範となる人格なども要求される。他にJBA認定スクール講師の資格として「JBAインストラクター」がある。

 4月から始まったのは、「JBAバリスタ・レベル1」のスクール。その基準は、JBAバリスタとしての基本的な知識や技術を身に付け、JBAが定める一定基準のエスプレッソコーヒーを抽出できる者。スクールは、JBAの認定校であり、六本木/高輪/赤坂見附/銀座などで「バール・デルソーレ」を展開する株式会社フォルトゥーナが教育事業の一環で開講している。

毎回20人限定。10時〜18時までの2日間のコース。費用は3万8850円(税込)。1日目は講義やテイスティングで、2日目は実際にマシンを使ってコーヒーを抽出する実習を行う。

 今年は、4月東京、5月東京、6月大阪、7月東京、8月大阪、9月東京、10月東京、11月大阪、12月東京と、東阪で毎月1度開催されている。4月の段階で7月のクラスまで満員になり、現在は8月/9月のクラスも残りわずかとなっている。カフェブームとともに、独立希望者や外食企業人の間で“バリスタ”が人気の資格となっている。ちなみに、第1回目の「JBAバリスタ・レベル1」資格認定試験は、6/10(水)に実施される。

 5/25(月)に開かれたスクールでの講義の一部を取材した。


エスプレッソの味を決める4つの要素

 会場は、世界で人気のイタリア製エスプレッソマシン「ラ・チンバリー」の日本総代理店である、株式会社エフ・エム・アイのセミナールーム。講師台のバックには4口の巨大なLA-CIMBALIが設置されている。

 講師は2名。FMIに所属し、国際カフェテイスティング協会(IIAC)とイタリアエスプレッソ協会(INEI)認定バリスタで日本バリスタ協会理事でもある根岸清氏。そして、日本バリスタ協会理事で2002年、04年の日本バリスタチャンピオン、04年の世界ラテアート大会準優勝者である横山千尋氏。


身振り手振りで情熱的に教える、根岸清氏。


輝かしい受賞歴を持つ、横山千尋氏。

 コーヒー豆の種類から始まり、豆を挽くグラインダー、抽出するエスプレッソマシンの構造、エスプレッソの定義、エスプレッソの抽出技術、できたエスプレッソの味覚を評価するティスティングなどを学ぶ。また、カプチーノについても知識と技術を学ぶ。

 JBAのエスプレッソは、抽出圧力9気圧、抽出温度90度、抽出量20〜30ml(元の豆は一杯あたり7g前後)、抽出時間20〜30秒。味を決めるのは、豆のブレンド、挽く度合(メッシュ)、マシン、バリスタの腕の4つの要素。

 テイスティング(評価)の指標は10種。①クレマ(泡)の色、②クレマの木目、③芳香の強さ、④ロースト臭の強さ、⑤ボディーの強さ、⑥苦みの強さ、⑦酸味の強さ、⑧渋味の強さ、⑨良い芳香・味の強さ、⑩悪い芳香・味の強さ。さらに、各指標は1〜10段階に分かれる。例えば、「クレマの色」が5なのか、6なのか、基準を身につけるのが難しそうだ。


テイスティング(カッピングと言われる)を行う受講生。


全国からの受講生

 受講生の自己紹介で気付かせられるのは、日本中から来ていること。この日の受講生は20名だが、住所は北海道、埼玉、東京、長野、香川と広範囲に渡る。年齢は20〜30代。現在の職業も、カフェ経営者、イタリア料理店のソムリエ、シアトル系カフェ勤務者、バール・カフェ勤務者、独立希望者など様々。


全国からの受講生。独立希望者だけでなく、企業として参加している方もいる。

 目的は「バリスタとしてのスキルアップ」「会社から言われて」「資格を取って今の店のグレードを上げたい」「独立したい」など、趣味ではなく完全にビジネスに直結している。バリスタ資格を取得すれば、社会的な地位の向上や金銭的なメリットが得られると思われている。カフェ人気とともに、カッコいい職種と思っている若者も多そうだ。

 講師で日本バリスタ協会理事の横山氏は、「バリスタ同士の横のつながりを広げていきたい。会社の人に聞けないような悩み事があっても、友人のバリスタだと聞きやすいでしょう。いずれ各都道府県にリーダーができ、彼らが中心になって横のつながりを広げていけるようになれば良いと思う。また、バリスタはエスプレッソを作ることだけが仕事ではない。お客様とのコミュニケーションの取り方も教えていきたい。」と抱負を語ってくれた。

「バリスタ」は全国の外食産業の中で注目されている。プロ向けの資格として、「バーテンダー」「ソムリエ」などに肩を並べる日も近そうだ。


日本バリスタ協会(JBA)
フォルトゥーナ JBAバリスタライセンススクール

【取材・執筆】 安田 正明(やすだ まさあき) 2009年5月25日取材