・男道場、「三船」
三船敏郎は、「羅生門」(1950年)、「七人の侍」(1954年)、「赤ひげ」(1965年)など黒澤明監督の映画のほとんどに出演。海外映画でも「レッドサン」(1971年)でアラン・ドロンやチャールズ・ブロンソンと共演するなど、数少ない日本が世界に誇る俳優だ。1997年に77歳で亡くなった。大和魂を持った硬派の日本人として、海外のファンからも愛された。
東京レストランツファクトリーの渡邉氏は1年半前に、この三船敏郎の子息に出会う。「今の日本の男は『草食男子』と呼ばれるほど、ひ弱になった。でも、サッカーの日本代表が『侍ジャパン』、イチローが『日本の侍』と呼ばれたり、映画『ルーキーズ』が人気だったりする。今の時代に男っぽいコンセプトはイケる」と判断。三船敏郎の著作権を持つ三船プロダクションを口説き落とし、1年半をかけてオープンにこぎつけた。
「侍の代表格が三船。男っぽい、男塾のような空気感を作りたい。店内は道場。昔には様々なところに道場があって男たちは剣を磨いたというストーリーで、本物感のある道場を再現する。但し、三船敏郎の記念館やタレントショップにはしたくない。あくまでも三船敏郎の空気感で表現していきたい」と渡邉氏。
外観スケッチ。
三船敏郎氏の自筆文字が看板。
・ロードショー・プロジェクトの特別版
同社はロードショー・プロジェクトと銘打って、時代の鬼才を“監督”としてプロジェクト毎に選定・起用し、埋もれる事のない力強い業態を作り上げる戦略で、新店を開発しつづけている。1号店はミュープランニング&オペレーターズ”監督”のナポリピッツァ食べ放題「サンズ・キャッスル」、2号店はカゲン中村悌二”監督”の老舗感のある料理屋「赤坂仁屋」、3号店はダイヤモンドダイニング松村厚久”監督”の九州料理「神屋流
博多道場」。そして、4店目が「三船」。
「三船」のコンセプトは三船敏郎にあるが、その遺志を引き継ぐ三船プロダクションが監修として参加。現実の監督は老舗感作りに定評のある、カゲン中村悌二氏を起用。古風な家屋を作らせたら右に出る者のない、際コーポレーションが総合美術を担当。社長の中島武氏は三船敏郎への思い入れが深く、現場までわざわざ何度も足を運んでいるそうだ。
中村氏は三船氏の自宅に通い詰めて細かくリサーチ。「三船さんが好きだった料理を出そうと細かくリサーチした。三船さんは魚より肉が好きだった。食べ方も豪快だった」そうだ。
そして生まれた料理が、「大串」。大ぶりな串焼き、串揚げ、田楽。溶岩プレートで豪快に焼き上げる焼しゃぶ。さらに、銘柄鶏を使用した鶏料理。
立地は、六本木7丁目にあった東京レストランツファクトリー「黒船」を改装。空いた隣接店と合わせて40坪、55席で1号店をオープンさせる。客単価は6千円で、月商1千2百万円を見込む。
・男は黙ってサッポロビールがFC協力
この「三船」の企画は、サッポロビールとのコラボレーション。渡邉氏は、1970年代前半のサッポロビールのTVCMでの三船敏郎のセリフ「男は黙ってサッポロビール」を思い起こし、企画を持ち込んでトントン拍子に進んだ。
「三船」は、東京レストランツファクトリーがFC本部として機能する。但し、客単価も高く、料理人の必要な業態なので、全国50店程度を見込んでいる。
初期投資額は加盟金も含めて5千万円を想定。著作権使用料も含めて毎月のロイヤルティも発生する。ステータス性のあるFCだ。地方のメガジーで、三船ファンの方を募集したいという。
「三船という日本の男の象徴を残していくという自負を持っていただける方に加盟して欲しい。三船敏郎を紹介するDVDを制作中で、それを見て共感してくれる人と、歴史に残すような店を作りたい。」
・芸能人や文化人を監督とした、新プロジェクト続々
ロードショー・プロジェクトはFCの問合せが多い。確かに、ヒットプレーヤーが絡み、成功する確率が高そうな業態に見え、不採算店舗を抱えるメガジーには救世主のようだ。
そして、5店目が、7/7に鎌倉プリンスホテル内に出店。敷地内に建つ一軒家のレストラン棟に、和食「鎌倉きよやす邸」としてオープン。六本木「御曹司きよやす邸」の別邸。監督は、旅館再生や女将教育を手掛ける女将塾の塾長、三宅美佐子氏。おもてなしの心が随所に現れる日本料理店となる。
「今後、文化人や芸能人、その他あらゆるジャンルの“奇才”の方、まさか!という方を“監督”に抜擢して面白い業態を開発していきます」と渡邉氏。東京レストランツファクトリーにしかできない業態を作り続けようとしている。