フードリンクレポート


「東風吹かば 匂いおこすは 芸の花」
東京の花街に吹き始めた新たな風とは?
(4−3)

2009.12.11

芸者付きブライダルを提案する料亭@浅草

 国内外から多くの人が押し寄せる一大観光地・浅草。創業60年以上続いた料亭「濱清」が、2006年6月に「懐石 瓢庵」としてリニューアル。「割主烹従を主とする」というコンセプトはそのままに、独自の“おもてなし”を打ち出している。


浅草観音裏にある「懐石 瓢庵」。

 玄関を入るとソファの並ぶロビー、その奥にバーカウンターがある。店内には掘りごたつ式の和室をはじめ、座敷、テーブル席まで趣の異なる部屋を9室用意。家族や親戚・縁者など親しい人との会合、接待などのビジネス利用、大人数での宴会まで、さまざまな要望に応えられるようになっている。


料亭ならではの季節を感じさせる懐石膳。

 同店では浅草芸者による演舞や投扇興、幇間芸、浅草太鼓などが見られるが、「料亭入門」や「お座敷入門」など独自のコースメニューを用意しているのが特徴だ。料金は芸者や時間、人数などによって異なる。ベースとして1時間17700円(玉代、税込み)からで、予算に応じて相談も可能だという。


お座敷遊びの定番「投扇興」。

 「開かれた料亭を夢見て、この店を作りました。浅草芸者の芸を見せるのはもちろんですが、価格をオープンにして多くの人に見てもらえるようにしたいですね」と話すのは、同店の女将である大瀧洋子さん。「日本料理 濱清グループ」の自社ホームページをや数年ほど前に開設し、メディア告知も積極的に行っている。


和風結婚式。

 さらに、独自のブライダルプランも提唱。浅草神社や写真店、人力車と提携した結婚披露宴は好評だという。一例としては、寿コースは50名140万円。人数分の食事やドリンクの他に獅子舞や司会、宴会場使用料、サービス料、写真代、白無垢・紋付袴などの衣装代も含まれる。浅草芸者を呼ぶのはオプションだが、結婚式に芸者が登場すると意外に盛り上がるという。


宴会場。


オプションで人力車も。

 浅草は江戸時代に発祥した古い花街で、かつては1200名ほどの芸者衆がいたと言われる。しかし現在、見番(組合)に登録されている芸者は49名だという。

「旦那」と言われる富裕層の高齢化が進むにつれ客層は変わり、最近では外国人や団体で訪れる観光客が多い。「料亭でリーズナブルに食事を楽しみたい」という人の要望が多いため、芸者付きが当たり前だった料亭の仕組みは、いまや崩壊している。

 そうした逆風の中、花柳界を財産として残そうという小さな動きが神楽坂でも見られている。


【取材・執筆】 水口 海(みずぐち うみ)) 2009年12月3日執筆