フードリンクレポート


エソラ池袋はスウィート系ショップを集めた商業施設。
〜エソラ、ヤマダ電機のオープンで、池袋にカジュアルのセカンドラインが興隆(8−1)〜

2010.1.21
池袋では2009年後半、10月30日東口にヤマダ電機「LABI1日本総本店池袋」、11月27日西口に「エソラ池袋」が相次いでオープン。東口にも西口にも、大型商業施設が新しく登場した。両施設とも駅直結であり、若者、ファミリーを取り込もうと、レストラン街には渋谷・青山・恵比寿あたりのテイストの店を出店させている。しかし、それはカジュアルダイニングではあっても、池袋という土地柄、またデフレ時代でもあり、ランチに強い価格的にこなれたセカンドラインが展開されていることに特徴がある。8回シリーズの第1回目。


エソラ池袋 エントランス。

エソラ池袋はスウィート系ショップを集めた商業施設

 2009年11月27日池袋駅西口にオープンした「Esola(エソラ)池袋」は、東京メトロ有楽町線改札から直結する商業施設。東京メトロとその100%子会社で商業施設の開発・運営を行うメトロプロパティーズが、共同で開発した。

「エソラ池袋」は地下1階〜地上9階の白と黒を基調としたモノトーンのビルで、池袋初出店を数多く集めた高感度空間。ファッション、雑貨、レストランなどが約40店を集積し、池袋西口の新しいランドマークを目指す。


エソラ池袋 外観。

 東京メトロとメトロプロパティーズは、駅ナカの施設として「エチカ」を表参道、池袋に、そのミニ版として「エチカフィット」を上野に、2005年より順次展開しているが、地上空間の商業施設は初めて。今後は地下施設を「エチカ」、地上施設を「エソラ」のブランド名で浸透させていく模様だ。

「エソラ池袋」がメインターゲットとするのは、20代〜40代の女性。渋谷、青山、代官山、恵比寿あたりのテイストのショッピング、食事が、池袋駅を利用する人にも楽しんでもらえるように、というのが施設全体の狙い。周辺のオフィスワーカー、近隣の都心生活を楽しむ住人に来てもらいたいと考えている。

 しかし、それだけでは西口「丸井」、東口「パルコ」とも競合するので、メトロプロパティーズ広報によれば、女性誌『sweet』に出てくるようなスウィート系のショップを集めているとのこと。宝島社の『sweet』は28歳の女性を想定して、大人かわいい感じのファッションを提案。現在のところ女性誌では最大部数となっている。


エソラ池袋は、スウィート系ショップを集めた。

 フロアー別では、地下1階は生活雑貨、コスメ、花、フードなど生活に密着したグッズを販売するゾーン。1〜3階はレディースファッションで、4階はアパレル、メガネ、カフェがある。5階はインテリア、ペット雑貨、まつ毛とネイルのサロン。そして6〜9階がレストランとなっている。

 また、副都心線と有楽町線を結ぶ新しい地下の回廊を設けて、2009年3月にオープンした「エチカ池袋」を今回は回廊沿いに拡大。「エスパス・アール」と名付けたアートの香りを強調した新ゾーンで、セルフ式カフェやファッション雑貨の店を設け、「エソラ」との連動性を持たせるように設計されている。

「エチカ」と「エソラ」の相乗効果で地下から地上まで「池袋の上質な玄関口」をつくることがコンセプトである。

「西武百貨店」、「パルコ」、「丸井」、「サンシャインシティ」とありながらどこか垢抜けなかった池袋。「東武百貨店」はあえて沿線の生活感で勝負してきたのであるが、特に西口は「エチカ」と「エソラ」の開業で、新しい展開が生まれてきそうな予感を抱かせる。


【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2009年12月28日執筆