フードリンクレポート


女性のおひとり様でも入りやすい横丁感覚がヒット。
〜エソラ、ヤマダ電機のオープンで、池袋にカジュアルのセカンドラインが興隆(8−2)〜

2010.1.22
池袋では2009年後半、10月30日東口にヤマダ電機「LABI1日本総本店池袋」、11月27日西口に「エソラ池袋」が相次いでオープン。東口にも西口にも、大型商業施設が新しく登場した。両施設とも駅直結であり、若者、ファミリーを取り込もうと、レストラン街には渋谷・青山・恵比寿あたりのテイストの店を出店させている。しかし、それはカジュアルダイニングではあっても、池袋という土地柄、またデフレ時代でもあり、ランチに強い価格的にこなれたセカンドラインが展開されていることに特徴がある。8回シリーズの第2回目。


6階は路地のように小さい店が並ぶ。

女性のおひとり様でも入りやすい横丁感覚がヒット

「エソラ池袋」のレストランフロアーであるが、6階が「Tables for 1&2」と称するおひとり様もしくはデートや友達同士2人で入るような20〜40席ほどの小型店が並んでいるフロアーだ。

 カフェとレストランの中間のようなランチ需要に強い店が多く、価格も安めで全般にランチなら1000円前後、ディナーでも3000円くらいまでで楽しめる店がそろっている。通路が狭く、横丁のような雰囲気も好感がもたれているのか、どの店も昼も夜も行列ができる状況にある。顧客は30歳前後の女性が多く、男女比は9割以上女性といった感じだ。

 全6店あるが、その中でもベスト3に入る人気となっているのは、ベトナムレストラン「バッチャン」。経営はこれまでイタリアンを手掛けてきたベルフードサービス。ホテルで勤務経験がある、ホーチミン出身のベトナム人シェフが調理している。ベトナム料理はタイ料理と混同されて辛いと思われがちだが、優しい感じの味が多い。日本人向けにパクチーの量もお飾り程度に控え、ベトナム料理のヘルシーな良さを伝えていきたいという。


「バッチャン」のベトナムカレー。


「バッチャン」 外観。


「バッチャン」 店内。

 席数は20席あり、顧客単価はランチ1000円、ディナー1800円といったところ。よく出るメニューは、鶏がらスープのフォー、カレー、ベトナム風スペアリブ、生春巻きなどだ。

 きちりの新業態「純正コラーゲンスープ店」も人気が高いが、ピックアップした形で後述する。

 行列の長さでは一番かもしれないスペインバルの「ラ・ボデカ」は、丸の内「クニギワ」に次ぐ2店目。経営はもつ鍋「もつ福」で当てたアキナイ。金沢の鮮魚、産直野菜、銘柄肉を使った、タパス、パエリャ、鉄板料理などを提供。スペインワインも全60種そろえている。


スペインバル「ラ・ボデカ」。

 カリフォルニアキュイジーヌ「フミーズグリル」は、恵比寿に13年前に開業したエーディーエモーション創業店の2店目。契約野菜を前面に出したディスプレイ、野菜を店内で育てるアイデアなど、「やさい家めい」、「農家の台所」などを参考にしたと思しき要素を、従来店に付加しており、肉食系の店から草食系の店に転換をはかっているようだ。


「フミーズグリル」 野菜を前面に出している。

「香家」は4種類の担々麺、点心などが楽しめる香港ダイニング。担々麺はハーフサイズもあり、通販「おとりよせネット」でも上位にランキングされている。新代田、三田、高輪台駅前に次ぐ4店目で、女性が一人でも入れるラーメン屋という、飲食業界の大きな課題に挑んでいる。

 さらにパスタハウス「ボナ・イタリア」は平日限定ランチのパスタセット980円からあって、ドリンク、サラダ、スープ、パン、自家製ジェラートが付いてくる。パスタも「地アサリとズッキーニのペペロンチーノ スパゲティ」のように、こだわりを感じる内容だ。ピッツァセット1280円もある。骨太なカジュアルイタリア料理店、恵比寿の「デリツィオーゾ・イタリア」のセカンドラインとも言うべき新業態だ。


6階レストラン街 右が香家、左がボナ・イタリア。


【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2009年12月28日執筆