フードリンクレポート


きちりが新開発したコラーゲンスープに大きな反響。
〜エソラ、ヤマダ電機のオープンで、池袋にカジュアルのセカンドラインが興隆(8−4)〜

2010.1.26
池袋では2009年後半、10月30日東口にヤマダ電機「LABI1日本総本店池袋」、11月27日西口に「エソラ池袋」が相次いでオープン。東口にも西口にも、大型商業施設が新しく登場した。両施設とも駅直結であり、若者、ファミリーを取り込もうと、レストラン街には渋谷・青山・恵比寿あたりのテイストの店を出店させている。しかし、それはカジュアルダイニングではあっても、池袋という土地柄、またデフレ時代でもあり、ランチに強い価格的にこなれたセカンドラインが展開されていることに特徴がある。8回シリーズの第4回目。


石焼コラーゲンスープ鶏飯は、スープに十六穀米ご飯と具材を全部入れて食べる。

きちりが新開発したコラーゲンスープに大きな反響

 ここで「エソラ池袋」に2店を出しているきちりの店を見ていこう。きちりが商業施設に店舗を出すのは今回が初めてのチャレンジだ。

 6階の「純正コラーゲンスープ店」は、健康志向の高まりを受けて新しく開発した女性をターゲットとした店。10代から50代まで幅広く女性の支持を受けており、顧客の男女比は1:9で圧倒的に女性が多い。席数は40席で多いときは10回転近くする日もあると、大きな反響を呼んでいる。カウンター席は女性のおひとり様も目立つ。


純正コラーゲンスープ店 外観。


カウンター席。


店内。


窓側の席。

「スープの味の開発で1年かけました。素材は国産の放し飼いにしている特別飼育鶏を使い、6時間強火で炊き出しました。野菜は国産の有機野菜を使い、無添加のスープであることも売りです」と、きちり社長室の三上成文氏。つまり、この店のコラーゲンは、鶏から取ったスープなのである。

 平川昌紀社長自身が実際に養鶏場、野菜畑まで視察し、生産現場をチェックしてゴーサインを出している。薄味ではあるが深みのあるスープで、博多系の濃厚なスープとは異なっている。

 漢方に使う高麗人参も入っているが、癖はうまく消されているので全く気にならない。

 メニューは絞り込んであり、「純正コラーゲンスープご膳」、「石焼コラーゲンスープ鶏飯セット」、「石焼煮込みコラーゲンスープ麺セット」(各1280円)の3種が基本。ご飯は十六穀米で提供し、小鉢、浅漬けが付いてくる。


石焼コラーゲンスープ鶏飯ご膳。スープに十六穀米ご飯と具材を全部入れて食べる。

 また、お茶は柿の葉茶で出しているが、レモンの約20倍のビタミンCを含有している。コラーゲンが体内に吸収されるには、ビタミンCが必要なので選定された。

 夜は鍋のコース(3000円)があり、キノコ入り(3500円)も味わえる。

 きちりでは「サプリメントの代わりに来てもらいたい」(三上氏)としており、立地は選ぶが女性の美容と健康に特化した業態として、柱の1つに育てる方針だ。スープの通販も行っている。

 なお開発にあたっては、中国南京中医学大学・王強助教授と、イチローやなでしこジャパンの管理栄養士を歴任した神戸女子大学・坂元美子准教授のアドバイスを得ている。

 8、9階の「キチリ・リラックス・アンド・ダイン」は、やはり女性を主たるターゲットとしているが、靴を脱いで上がるメゾネットタイプの個室が売りで、夜景が見える部屋も5つほどある。予約は個室中心に入ってきているそうだ。


「キチリ・リラックス・アンド・ダイン」 ファサード。


店内。


9階メゾネット個室。

 席数は85席で、顧客単価はランチ1500円、ディナー4000〜4500円で、これまでの「キチリ」の東京の店では価格は安い。カジュアルダイニングでも、セカンドライン的料金だ。ただし、同社では今後関東の店の価格を、この店のレベルに値下げする考えだ。

 和のテイストの強い店だが、売りにしているのは、ポルトガルのカタプラーナ鍋。活〆オマールエビが入った有機トマトの鍋、備中高原鶏と野菜のカレー風味鍋、フォアグラ・トリュフの鍋焼きリゾットといった、野菜にこだわる個性的な創作料理が提供されている。


ポルトガルのカタプラーナ鍋

 今後は野菜、調味料でもっと安全・安心に気を使ったものをそろえるように、ブラッシュアップしていくのだという。


【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2009年12月28日執筆