・きちりが新開発したコラーゲンスープに大きな反響
ここで「エソラ池袋」に2店を出しているきちりの店を見ていこう。きちりが商業施設に店舗を出すのは今回が初めてのチャレンジだ。
6階の「純正コラーゲンスープ店」は、健康志向の高まりを受けて新しく開発した女性をターゲットとした店。10代から50代まで幅広く女性の支持を受けており、顧客の男女比は1:9で圧倒的に女性が多い。席数は40席で多いときは10回転近くする日もあると、大きな反響を呼んでいる。カウンター席は女性のおひとり様も目立つ。
純正コラーゲンスープ店 外観。
カウンター席。
店内。
窓側の席。
「スープの味の開発で1年かけました。素材は国産の放し飼いにしている特別飼育鶏を使い、6時間強火で炊き出しました。野菜は国産の有機野菜を使い、無添加のスープであることも売りです」と、きちり社長室の三上成文氏。つまり、この店のコラーゲンは、鶏から取ったスープなのである。
平川昌紀社長自身が実際に養鶏場、野菜畑まで視察し、生産現場をチェックしてゴーサインを出している。薄味ではあるが深みのあるスープで、博多系の濃厚なスープとは異なっている。
漢方に使う高麗人参も入っているが、癖はうまく消されているので全く気にならない。
メニューは絞り込んであり、「純正コラーゲンスープご膳」、「石焼コラーゲンスープ鶏飯セット」、「石焼煮込みコラーゲンスープ麺セット」(各1280円)の3種が基本。ご飯は十六穀米で提供し、小鉢、浅漬けが付いてくる。
石焼コラーゲンスープ鶏飯ご膳。スープに十六穀米ご飯と具材を全部入れて食べる。
また、お茶は柿の葉茶で出しているが、レモンの約20倍のビタミンCを含有している。コラーゲンが体内に吸収されるには、ビタミンCが必要なので選定された。
夜は鍋のコース(3000円)があり、キノコ入り(3500円)も味わえる。
きちりでは「サプリメントの代わりに来てもらいたい」(三上氏)としており、立地は選ぶが女性の美容と健康に特化した業態として、柱の1つに育てる方針だ。スープの通販も行っている。
なお開発にあたっては、中国南京中医学大学・王強助教授と、イチローやなでしこジャパンの管理栄養士を歴任した神戸女子大学・坂元美子准教授のアドバイスを得ている。
8、9階の「キチリ・リラックス・アンド・ダイン」は、やはり女性を主たるターゲットとしているが、靴を脱いで上がるメゾネットタイプの個室が売りで、夜景が見える部屋も5つほどある。予約は個室中心に入ってきているそうだ。
「キチリ・リラックス・アンド・ダイン」 ファサード。
店内。
9階メゾネット個室。
席数は85席で、顧客単価はランチ1500円、ディナー4000〜4500円で、これまでの「キチリ」の東京の店では価格は安い。カジュアルダイニングでも、セカンドライン的料金だ。ただし、同社では今後関東の店の価格を、この店のレベルに値下げする考えだ。
和のテイストの強い店だが、売りにしているのは、ポルトガルのカタプラーナ鍋。活〆オマールエビが入った有機トマトの鍋、備中高原鶏と野菜のカレー風味鍋、フォアグラ・トリュフの鍋焼きリゾットといった、野菜にこだわる個性的な創作料理が提供されている。
ポルトガルのカタプラーナ鍋
今後は野菜、調味料でもっと安全・安心に気を使ったものをそろえるように、ブラッシュアップしていくのだという。