フードリンクレポート


夜の業態ばかりが強かった池袋が変貌しつつある。
〜エソラ、ヤマダ電機のオープンで、池袋にカジュアルのセカンドラインが興隆(8−7)〜

2010.1.29
池袋では2009年後半、10月30日東口にヤマダ電機「LABI1日本総本店池袋」、11月27日西口に「エソラ池袋」が相次いでオープン。東口にも西口にも、大型商業施設が新しく登場した。両施設とも駅直結であり、若者、ファミリーを取り込もうと、レストラン街には渋谷・青山・恵比寿あたりのテイストの店を出店させている。しかし、それはカジュアルダイニングではあっても、池袋という土地柄、またデフレ時代でもあり、ランチに強い価格的にこなれたセカンドラインが展開されていることに特徴がある。8回シリーズの第7回目。


西口・西一番街は今やホルモン街。しかし女性は近寄らずホルモンヌはいない。

夜の業態ばかりが強かった池袋が変貌しつつある

 さて、「エソラ池袋」と「LABI1日本総本店池袋」のレストランを見てきたが、両施設のレストラン街の性格はかなり違う。しかし、「エソラ池袋」の6階各店、「LABI1日本総本店池袋」の「コラボ」、「神戸パスタ」、「百味物語」、「上海華龍」といった関西、高崎勢には同じようなにおいを感じた。

 カジュアルダイニングと同じようなテイストで、さまざまな工夫を凝らして価格を下げているのである。ランチ上限1500〜1600円、ディナー3000円台という価格帯で何ができるか。池袋という土地柄もあって、デフレ時代にちょっとおしゃれな食事を取れる店の実験場になっている感がする。

 池袋はカフェブーム、カジュアルダイニングブーム、新和食ブーム、立ち飲みブーム、郷土料理ブームと、2000年頃以降の飲食ムーブメントのいずれとも無縁で、居酒屋とラーメン、エスニックの街だったが、カジュアルダイニングのセカンドラインで突如先端に立った感があるのは面白い。

 ただし、今のところ商業施設の中で局所的にあるだけで、周囲への波及効果はこれから。だから、周囲の飲食店が活性化しているわけでなく、テナントの入れ替えが今後起こってくるのではないだろうか。

 現状、池袋のダイニングの中心は、東口のジュンク堂書店前からサンシャイン通り入口の東口五差路にいたる辺りで、キンカ堂裏、南池袋公園前の路地も含む。ダイヤモンドダイニング「お伽噺」「いか太郎」、ジェイプロジェクト「ほっこり」「芋蔵」「美ら海」、さらに「わん」、「わたみん家」、「キチリ」、「てけてけ」、ラーメンの「一風堂」、「花月」、讃岐うどん「丸亀製麺」などがあり、飲食ビルも多数あってさながら宴会通りである。ちょうど中心部に「サンマルクカフェ」という休憩所があるが、基本的に飲み系で夜の街だ。


東口・カワラカフェ&ダイニング 10階に誘導するため、グリーン大通り路上でアピールする立て看板。


東口・ジュンク堂書店近くのジェイプロジェクト3店。すぐ横にダイヤモンドダイニングお伽噺入口がある。


東口・南池袋公園前の飲食ビル。2階が空いている。

 サンシャイン通りとグリーン大通りの間には、人世横丁こそビル化したもののまだまだ昭和を体感できるレトロな飲み屋街も残っている。

 西口は丸井の裏手にインド料理、マレーシア料理、タイ料理、ベトナム料理、トルコ料理などエスニック料理に、昭和っぽい雰囲気を出した居酒屋、さらにメイド居酒屋、ガールズバー、フィリピンパブのようなちょっと色っぽい店が混在する界隈があって、蒙古タンメン「中本」、ガールズ居酒屋「はなこ」などもこの辺りにある。


西口・丸井裏のマレーシア料理店 マレーチャン。

 西口北側の池袋西一番街は風俗店がかなり整理されて、今や300円均一のような立ち飲みを含む安酒場やもつ焼きのメッカである。ただし新宿3丁目との違いは、男性サラリーマンばかりが多くて、ホルモンヌ、つまり女性ホルモン愛好者が存在しないことだ。この辺りでも「魚金池袋」の繁盛ぶりは目立つ。新橋の勢いそのままだ。ナイトビジネスでは、近頃キャバクラ界では躍進目覚しいプラザ・エンタープライズの女子大生専門「Chou Chou」と、未経験者3ヶ月のみ在籍させる「ハイスクール・マーヤ」も進出してきている。


西口・西一番街でも繁盛ぶりが目立つ、魚金池袋。


西口・西一番街は均一料金低価格居酒屋のメッカ。


西口・西一番街 素人系キャバクラのシュシュとハイスクール・マーヤ。


【取材・執筆】 長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2009年12月28日執筆