フードリンクレポート


朝鮮族自治州の料理に欠かせないブランド・マッコリ。
〜「となりの酒は甘い?」クロスボーダー化する国境なきマッコリ事情〜(3−2)

2010.2.17
世界的な和食ブームで着実に輸出量を伸ばしている日本酒。財務省の貿易統計によると2001年の約7000klが、2008年には約1.7倍の1万2151klに増加。アメリカ・欧州はもとより韓国では10年前の約50倍に相当する1529klが輸出。しかし、国内消費量の低迷が続いており、1975年の167万5000klをピークに、2007年には66万4000klと大きく落ち込んでいる。そんな中で、日本で着実に売り上げを伸ばしているのが韓国から輸入されているマッコリ。マッコリとは、日本でいうと「どぶろく」にあたる韓国の醸造酒。原料は米や小麦が多く、酵母によるアルコール発酵に、乳酸菌発酵を伴う。アルコール度数は5〜9度と飲みやすく、口当たりのよい酒として知られている。韓国国税庁の統計データによると、2008年のマッコリ(米や小麦を原料とする韓国のにごり酒)輸出量は年間5457klで、そのうち9割近くが日本への輸出だったという。日本では2004年頃から韓国のテレビドラマをきっかけにした「韓流ブーム」が起こり、その影響で韓国料理店が急増。不況の中でも客足の途絶えない、新宿・新大久保のコリアタウンを取材した。3回シリーズの第2回目。


老若男女が訪れる「金達来」。

朝鮮族自治州の料理に欠かせないブランド・マッコリ

 日本最大のコリアタウン、新大久保。食品、生活用品、雑貨店から飲食店まで新旧の店が立ち並び、その数は400軒以上とも言われている。町の中央に位置する新大久保駅から徒歩2分の距離で延辺・韓国料理を提供しているのが「金達来(きんたつらい)」。

 2002年8月にオープンした同店では、延辺と韓国と2地域出身の料理人が腕をふるう。延辺は、北朝鮮の国境に程近い中国の吉林省東部に位置する延辺朝鮮自治州で、朝鮮半島から移り住んだ朝鮮族が居住し、中国語と韓国語を併記している。延辺はシルクロードに位置するため、韓国・中国をベースにモンゴル、イスラムの食文化の影響を受けている。クミンやタイム、唐辛子など香辛料を多用するのが特徴的。


延辺料理の代表「羊肉串」。


豚の三枚肉「サムギョプサル」は1960円〜。

 延辺では、自分で肉を焼くスタイルが主流。同店でも、専用の串焼き機を使って焼き上げる「羊肉串」が同店一番の人気メニューだ。料理と合 わせてよく飲まれているのが、「二東マッコリ」。マッコリの産地として有名な韓国京畿道市二東面で醸造される大手酒造メーカーのブランド・マッコリだ。


ジャガイモチジミ 1,080円


二東マッコリ。


日韓交流団体の飲み会やイベントも多い。

 日本国内で流通するマッコリのシェア7割を占める二東ジャパンは米や黒豆などさまざまな商品を揃えている。「いろいろな種類がありますが、お米のマッコリが一番人気ありますね。お店の6割は男性客ですが、よく飲んでいますね」と話すのは、同店を取り仕切る黄成淑さん。夜の客単価は3500円〜4000円程度。週末には、70席の店内貸切のイベントも多く、不況下にもかかわらず、売り上げはここ数年安定してきているという。韓国・朝鮮籍を持つ在日の人や中国人、日本人が多く訪れる人気店だ。

さらに、その目と鼻の先では、醸造所出来たての生マッコリを提供する店も出現していた。


【取材・執筆】 水口 海(みずぐち うみ) 2010年2月4日執筆