フードリンクレポート


女性客の8割がオーダーも 居酒屋の新定番“女子会メニュー”。
〜女子会全盛期!働く30代女子の財布を開かせる方法〜(5−5)

2010.3.19
最近よく耳にする“女子会”という言葉。女性同士の飲み会のことを指し、いまや日常的に行われている。働く女性、特に30代女性の勢いはこの不況下でも衰えを知らず、彼女たちの交流の場である“女子会”もますます増えている。「週1回、予算は5000円」という“女子”も少なくない。そんな女子たちに選ばれる店とは?そして、思わず財布を開いてしまう理由を、働く30代女子たちへのインタビューをもとに探ると共に、今人気の女子会向けプランに注目した。5回シリーズの5回目。


釜焼きピザで、食べ飲み放題の「TAPA」女子会メニュー 1980円。(イメージ写真)

女性客の8割がオーダーも 居酒屋の新定番“女子会メニュー”

一方、居酒屋各社も“女子会”を銘打った特別メニューを用意し、女子会ニーズを積極的に取り込んでいる。

「白木屋」「魚民」「笑笑」などを展開する株式会社モンテローザは、昨年の11月から関東圏の「笑笑」で「“女子会”限定食べ飲み放題プラン」を実施。1月末までの2ヶ月間で約50,000人もの利用があった。好評につき、2月1日からは、新メニューを加えての第2弾として関東圏223店舗で実施中。3月1日からはさらに拡大して、九州地区の18店舗が新たに女子会プランを始める。

 内容は、約60品の料理と60種類のドリンクを3時間食べ飲み放題で3300円(週末は3400円、3/19~3/31は3500円)。メニューは、通常メニューに加え、女子会プラン限定のメニューを開発。女性に人気の食材を使ったり、果汁を多く使ったドリンクも用意している。通常の客単価が2000円代前半なのでそれを上回る価格設定だが、利用者は増えており、リピーターも多いという。

 中でも人気があるのは、デザートメニュー。女性限定ということでデザートに力を入れたいと、デザートメーカーと共同でメニュー開発をした。第1弾ではハーゲンダッツと共同でアイスクリームを使ったデザートを、第2弾ではロッテのお菓子を使ったオリジナルデザートを開発した。スペシャルデザートなので、このカテゴリーだけは食べ放題ではないが、プランの人気を担っている。


メーカーとコラボレーションしたスペシャルスイーツ。

 株式会社モンテローザの河邉氏によれば、「この女子会プランを始めたきっかけは、ここ数年女性だけのグループが増えてきたことですね。女性への割引サービスは以前から行っていましたが、それだけでは差別化し辛かった。今回は、“女子会”という言葉を名前に入れ、新たなメニュー開発をし、メニューにもハートや動物のキャラクターを使うなど女性向けのビジュアルにして、明確に女子限定を打ち出して他のプランと差別化しました。」この結果、料理やドリンクの評価も高まり、女性限定のプレミア感が伝わって好評を得ている。

 プランの告知については、HPやホットペッパーなどでも行っているが、ブログや口コミの影響が大きいという。実際に検索してみると、多くの人がこのプランについてブログに書いている。“女子会”というキーワードで書かれており、キーワードになっていることがよく分かる。これも女性限定ならではの特徴かもしれない。

 通常メニューとは異なる食材で作るプランということで、事前予約制。導入店舗を拡大するには段階が必要となるが、好評につき4月以降も拡大を視野に入れて検討中とのことだ。

「甘太郎」、「三間堂」、「TAPA」、「La Pausa」などを展開している株式会社コロワイド東日本では、多くの業態で“女子会メニュー”を設けている。世界各国のオリジナル無国籍料理が味わえる「TAPA」では、女性客のなんと8割が女子会プランを選択しているという。内容は、釜焼きピザ8種類が食べ放題、サングリア、ワインが飲み放題で2時間1980円(日、月、火の曜日限定)。釜焼きピザが焼ける首都圏10店舗で実施している。昨年11月にスタートし、好評でリピーターも多いため、3月から第2弾を実施中。食べ飲み放題で2000円を切るというお得感が人気の秘密。

「甘太郎」でも女子会コースを用意している。牛もつ鍋まで楽しめる充実のラインナップが飲み放題付きで2280円。この女子会プランを個室でも楽しめる点がウケているという。単価は通常と比べると若干下がるが、好評につき今後も女子会コースを続けていきたいとのことである。


「甘太郎」の女子会向けモツ鍋コース(2280円)※イメージ

 ますます広がりを見せる女子会ニーズ。不景気にも負けない、彼女たちのプワーはもう無視できない。


【取材・執筆】 村田麻未(むらたあさみ) 2010年3月12日執筆