・歌舞伎町のバーのメニューから生まれた高級スイーツ
「テキーラボール」はテキーラ入りのゼリー状スイーツで、プニプニした食感と一口サイズの食べやすさで、特に若い女性に受けている。
販路として特徴的なのは、バー、キャバクラ、ホストクラブなどといったナイト業態や居酒屋など、飲食店を中心に業務用として拡大していることで、販売元のテキーラボール代表取締役・秦健士氏によれば「代理店を通じて全国2000店にまで拡大している」とのこと。
しかも、「品切れが続出するほどの人気」と嬉しい悲鳴を上げている。
女性にウケがいいのは甘いフレーバーで味付けされていて、お酒を飲んでいる感じがしないからだが、調子に乗って幾つも食べていると、胃に達したあとで酔いがまわってくる。男性にとっては、女性を口説くためのカクテルに変わる新しいツールと言えるかもしれない。
味は、ヨーグルト、オレンジ、カシス、ブルーベリー、イチゴの5種類だ。
この「テキーラボール」の発祥の店ということで、歌舞伎町のバー「NASUKA(ナスカ)」を訪ねた。
「ナスカ」外観。
「ナスカ」店内。
「NASUKA」のオープンは2008年2月。バリアンテイストの落ち着ける雰囲気の隠れ家的なバーを目指したが、何か店の売りをつくりたいと考えて、08年7月から「テキーラボール」を本格的に出し始めたのだという。
ラブカ店内で手作りしている、最初の頃のレシピを使ったテキーラボール。
秦氏からは「クラブシーンではテキーラをショットで飲むのがカッコいいとされていますが、強いお酒なので女の子は苦手です。そこで、甘くて口当たりの良い高級スイーツにできないかと試作を繰り返しました」と、開発の経緯が語られた。
つまり、新しくできたバーの看板メニューをつくろうとしたわけだが、カクテルではなくて、下戸でも楽しめるようにスイーツとして食品で提供した発想が新しい。
「いかに密閉し、アルコールが飛ばないように煮沸消毒するか。そこが非常に難しかった」とのことだ。
出し始めて3、4ヶ月すると口コミで「テキーラボール」への問い合わせが歌舞伎町の幾つかのお店から来るようになり、注文を受けて配達するようになった。
さらに改良を重ねて現在のような工場生産に切り替えたのが09年11月から。ここで一気に店舗数が増えてきた。2000年4月からは代理店を通じての販売をスタートし、在庫を抱えるようになっている。
「NASUKA」はキャバクラやホストクラブのアフターで使われることが多い店で、ワイワイととても賑やか。ショットグラスに入った「テキーラボール」(500円)が飛び交うという。当初の狙いだった隠れ家とは違ってはきたが、「テキーラボール」のおかげで繁盛店となった。
ナスカはキャバクラやホストクラブのアフターでよく使われる。
ナスカでは1人でテキーラボールを50個食べたら、オリジナルTシャツプレゼント。
「ジャンケンをして負けた人が罰ゲームで食べるとか、景気付けに乾杯して皆で食べるとか、場を盛り上げるのに使ってもらっています」。
席数は25席で、時間無制限の飲み放題コースが、男性5000円、女性3000円と料金はリーズナブルだ。営業時間は深夜1時〜朝9時。
今では系列店として、「ノスカ」、「ワスカ」、「ラブカ」と計4店を1年ほどで展開するようになったが、これも「テキーラボール」が売れた効果の表れであろう。