フードリンクレポート


ライセンス店はお客にしかやらせない。
〜ホルモンをベースに個人商店チェーンを展開〜(5−2)
光山 英明氏 株式会社 個人商店 代表取締役

2010.4.2
一風変わった社名を持つ、株式会社個人商店。2002年に東京・吉祥寺に開業させた500円均一のホルモン焼『わ』を皮切りに、予約の取れない和食店、ギャラリーカフェなど6店を直営するとともに、『わ』と同様業態のライセンス店を16店展開している。そして、3/30には京都にビストロ・ホルモン店をオープン。その光山社長を取材。お客と店との関係を考えさせられた。5回シリーズの第2回目。


「わ」(東京・吉祥寺)。

ライセンス店はお客にしかやらせない

 1号店の『わ』のライセンス店を全国各地に16店を展開している。全てホルモン業態だが、店名は全て異なる。東京・中目黒の繁盛店「小野田商店」もそう。

「ライセンス店は元お客がルール。来るお客は毎日のように来ます。すると、自然に俺もやりたいなとなる。やるなら今の仕事を辞めてから来てくれ、と言います。辞めました、やりたいです、となる。ライセンス募集をしたことはありません」と光山氏。


一見わからない外観の『わ』

「ライセンスで儲けようという気もありません。加盟金は、いわば僕と一緒にやる賃。幅があります。知っている度合いで違う。野球部時代の後輩が最も安くて、店だけで知り合ったのは多少高いという感じ。」

「肉以外も、韓国食材やお酒も紹介した業者から直に仕入れてもらいます。業者の方々とは1つのパッケージが出来上がっており、取引は直接やってもらいます。業者とは何かあったら僕が責任を持ちますよ、と話してあります。中貫はなしのスルーです。加盟金の150万は保証料みたいなもの。店を出す相談で飲みに行ったら僕が払ったりするので、僕にとってはタダみたいなものです。でも、流行ろうが流行らなかろうが自己責任。また、ライセンス店には呼ばれない限り、一切行きません。」

 直接知り合った“子”にしかライセンスは与えない。その先の“孫”にはさせないのがルール。 裏切られたこともあるので、そこは厳守させている。

 直営店の展開も人繋がりで増えて行った。06年8月に開けた2号店和食屋「をん」は、京都の料亭で修行していた光山氏の奥さんの親戚の主人と意気投合し、東京・新橋で開けた7席の店。7千円のコースのみで予約が取りづらいほど人気だ。07年7月に開けた3号店「cafe?」(西荻窪)は、美大出身の奥さんが学生のための展示スペースを安く提供しようと考えたのがきっかけ。同年8月の「たるたるホルモン」(吉祥寺)、09年7月の「わゑん」(新潟)、同年8月の「なかむら」(府中)は共にホルモン焼きで「なかむら」以外は野球部時代の仲間が店長を務める。合わせて直営は6店。


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき)  2010年3月17日取材