フードリンクレポート


客目線で自分が行きたい店を作る。
〜ホルモンをベースに個人商店チェーンを展開〜(5−4)
光山 英明氏 株式会社 個人商店 代表取締役

2010.4.6
一風変わった社名を持つ、株式会社個人商店。2002年に東京・吉祥寺に開業させた500円均一のホルモン焼『わ』を皮切りに、予約の取れない和食店、ギャラリーカフェなど6店を直営するとともに、『わ』と同様業態のライセンス店を16店展開している。そして、3/30には京都にビストロ・ホルモン店をオープン。その光山社長を取材。お客と店との関係を考えさせられた。5回シリーズの第4回目。


煮込みは特製ダシと共に キュウリも特製味噌と共に(『わ』)。

客目線で自分が行きたい店を作る

 光山氏は、人と出会って、自分の考えを入れて、その人に合う店を作り続けている。

「人と出会って店を作るのが好きです。店を増やす使命感は全くない。今のままで止めてもいいが、出会うと、行くか!やる?お前? みたいになる。僕の心がけているゆるぎない点は、客目線で自分が本当に行きたい店を作ること。もし、それでこけても自分の感性が時代に合ってないだけ。納得できます。でも、そこは今のところ絶対に合ってる自信があります。」


焼酎が並ぶ店内(『わ』)。


壁には有名漫画家のサイン(『わ』)。

 木曜、金曜、日曜は1号店『わ』で働いている。それ以外は、自分が本当に行きたい店に通っている。焼鳥「鳥福」(渋谷)、フレンチ「オギノ」(池尻大橋)、フレンチ「ラミティエ」(高田馬場)、鮨「海味」(青山)、イタリアン「オステリア・ヴィンチェロ」(新宿御苑)などがお気に入り。

「同業者の感覚で行っていることはまずない。自分の店もそうです。これ美味しいね、ウチのメニューに取り入れよう、はない。パクリはしません。でも、お金のかからないサービスは勉強したい。例えば、生ビールを頼んだ時にグラスを置く位置がいいねとか。3万円の店に行って食材は真似できないけれど、言葉遣いは真似できる。そこでああいう言い方をして和ませるんだ、とか。いいお店はいい空気感を出す。高い金を払ってそれを味わいに行ってます。そこにスタッフも連れて行く。繁盛店ツアーのように流行ってるから見に行こうはしたことがありません。」


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき)  2010年3月17日取材