・店が思う数のお客が来たら絶対に儲かる
店の売上と経費は日次で店舗毎に管理していると言う。経費は家賃や人件費、食材費などを仕分けせず、ひっくるめて経費として扱い、売上マイナス総経費が手元に残る利益として意識している。まさに一店、一店が個人商店。出店費用も1千万円以下が原則。
「飲食店は店側が思う数のお客さんが来たら絶対に儲かると思っています。儲からないのは思う数が来ないから。思う数が来ないのに儲かってる店は嘘です。今日は10人来て欲しい。でも8人だった。2人分の食材を廃棄しなきゃいけない。じゃ明日は9人を目指そう。それの繰り返しです。」
「各店毎の売上は日々管理していますが、全店分を合計はしません。年商3億円ですと言ってもお客さんには何の関係もない。店の儲けはお客さんからしたらあまり関係ない。儲かった金をどう使うかで、次が決まる。30万円儲かりました。内10万円はお客さんの為に使おう。椅子を貼り換えようか、別のを仕入れて振舞ってみようか。その使い方を間違うと店は潰れます。そこさえ踏み外さなければ大丈夫。」
光山氏も個人商店の大将らしく、お客への直接アピールを忘れない。
「店でお客さんが一杯になると僕の名刺を右からブワーと一斉に配るんです。開店以来の行事なんです。それもプロフィール名刺。野球やってた、中大なんだと盛り上がる。プロフィールがあると捨てづらい。いつも来る人にも何度も渡します。忘れさせない。前にもらいましたと言われても、大丈夫、ちょっと更新したからもらっておいて、とやる。行事になっていて、それがまた気持ちいい(笑)。」
「常連さんという言葉は使いません。常連さんはお客側が使う言葉で、僕が言う言葉じゃない。僕が思う常連像は、店側の人間になること。店が忙しくなったら席を立たたないといけない。お客としては常連と言わない方が得だと思います。常連はちゃんとしないといけない。辛くて、酔っ払えないんです(笑)。」
お客視点で店を見るということを突き詰めれば、お客にも厳しくなるということにたどり着く。店とお客の間の緊張感が“いい空気感を出せる店”を生み出すようだ。お客に強くなれるのが個人商店という意識。近頃の店はお客に向き過ぎているのかな、と考えさせられた。
■光山 英明(みつやま ひであき)
株式会社 個人商店 代表取締役。1970年生まれ、大阪府出身。上宮高校野球部にて甲子園出場。中央大学野球部を経て、サラリーマンに。2002年11/15に1号店ほるもん焼き『わ』を東京・吉祥寺にて開業。06年8/22に和食屋「をん」を新橋に、07年7/18にカフェ「cafe?」を西荻窪に、同年8/21にホルモン焼き「たるたるホルモン」を吉祥寺に、09年7/22にホルモン焼き「わゑん」を新潟に、同年8/21にホルモン焼き「なかむら」を府中に、10年3/30にビストロ・ホルモン「縄手ワイン食堂」を京都と、続々オープンさせた。他に、ライセンスでホルモン焼き16店も展開している。現在、ホルモン焼き4店、和食1店、カフェ1店を直営。ライセンス契約は16店。
→ブログ『わ』日記