フードリンクレポート


5月に表参道カフェ、9月には銀座フレンチ。
〜ユニマットから独立し、30年チェーンを再生する。レストラン事業もスタート〜(3−3)
金井 伸作氏 RH GROUP 代表

2010.4.9
外食業界の理論派として活躍してきた金井氏が、ユニマットグループの外食事業再編と共に同社を離れ創業する。新会社のベースは、元カネボウのアイスクリームチェーン「レインボーハット」の再生。そして、資生堂「ロオジェ」出身の金井氏にとって生業であるレストラン事業も展開する。3回シリーズの第3回目。


「表参道カフェ」のロゴ。

5月に表参道カフェ、9月には銀座フレンチ

 金井氏は大阪・辻調理師専門学校の卒業。青山「JOEL」、有楽町「アピシウス」、銀座「資生堂ロオジェ」という名店でサーバーとして働き、藤越や東京ガス子会社で店舗企画開発を担当した後、ユニマットに入社した。

 その経歴を活かすレストランマネージメント会社、株式会社エピキュリアンも設立。RHコーポレーションはファーストフードとストリートフードに特化し、レストランはこのエピキュリアンが担当する。両社を合わせて、RH GROUPと名付ける。

 さっそく本年5月に東京・表参道沿いにてカフェをオープンさせる。店名はずばり、「表参道カフェ」。表参道に数あるアパレルショップで働く方々が日常使いできるカフェ。客単価はランチ1000円、ディナー1800〜2000円を想定。


「表参道カフェ」の平面図。

「彼女達は予算の都合もあり、表参道でファミレスやファーストフード店を利用していますが、本心では低価格でお洒落に時間を過ごしたいと思っています。その辺りのニーズに応えられる業態が表参道沿いには少ないのです。また裏路地のスターバックスは地域の就業者で超満員です。そのあたりを狙います。ピザもクレープもガレットも揃えます」と金井氏。

 さらに9月、銀座の好立地でフレンチレストランを開ける。フランスの若手女性シェフ、アンドレ・ロジェ氏とコラボレーション。“MOF(フランス最優秀職人国家認定資格)”と呼ばれる、料理の人間国宝ともいうべき資格を07年に史上最年少27歳で獲得した逸材だ。その脇を固めるのが、上拾石 博一(かみじゅっこく ひろかず)氏。金井氏とは辻調理師専門学校で同期。現在はベルギー大使館の総料理長。ミッシェルゲラールで修行しフィンランドの5ツ星ホテルの総料理長やデンマーク日本大使館公邸料理人などを歴任したシェフ。


勲章を受けるアンドレ・ロジェ氏。


ロジェ夫妻(前列左と中央)と金井氏(後列中央)、上拾石氏(後列左から2人目)。

 4000円前後のランチに注力したフレンチとなる。銀座にもかかわらず空中でテラスのある物件を予定しており、完成すれば話題となるのは間違いないだろう。

「振り返ってみると、フレンチしか知らない。フレンチで育てられたので、今元気のないフレンチで恩返しがしたい」と金井氏。経営者として新たな道を歩み始めた金井氏に、あまり元気のないレストランビジネスで新風を巻き起こしてもらいたい。


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき)  2010年3月19日取材