フードリンクレポート


“世界一の朝食”を謳う「bills」が横浜に。
〜ブレックファーストでブレイクスル-?“ソトアサ”のススメ〜(5−1)

2010.4.11
春の訪れとともに“朝活”が活発化している。“朝活”とは朝の時間を有効活用する取り組みのこと。リーマンショック以降、景気低迷の煽りを受け、冬の時代を迎えた飲食業界。(財)外食産業総合調査研究センターのデータによると、市場規模はバブル時の1997年の29兆円をピークに2005年の24兆3903億円まで縮小。一時回復傾向にあったもののリーマンショックの起きた2008年は24兆4315億円。日本フードサービス協会が発表した2010年2月外食売上高(新規店を含む全店ベース)は前年同月比0.1%減。節約志向を強める消費者を取り込もうとする値下げ競争は激化する一方だ。その中で、飲食店側が見直しつつあるのが“朝食”。「外より内」という内食志向の巣ごもり消費者に“有意義かつリーズナブルな朝時間”を提案し、利用を促進している。“朝食”という起爆剤で、閉塞市場に風穴を開けられるのか?5回シリーズの第1回目。


「bills」名物のオーガニックスクランブルエッグ w/トースト(1200円)。

“世界一の朝食”を謳う「bills」が横浜に

 1993年シドニーにオープン以降、国内外問わず高く評価されている「bills」。“世界一の朝食”と称され、「オーストラリアの朝食文化を変えた」と言われるほどの影響力を誇る。世界に5店舗を展開し、日本に2008年3月オープンした「bills」七里ガ浜店は23万人以上が訪れている人気店となった。さらに今年3月27日、国内2号店の「bills」横浜赤レンガ倉庫をオープンした。


「bills」横浜赤レンガ倉庫は、居心地の良いラウンジをイメージ。


横浜の港を見渡せる席も用意。

“週末を過ごす別荘”というコンセプトの七里ヶ浜とは趣きを変え、横浜赤レンガ倉庫は“自宅のリビングのように落ち着けるラウンジ”をイメージした作りに。さらに場所の雰囲気に合わせたオリジナルメニューもある。


4種のベリーを使った「ベリーベリーパンケーキ」(1200円)。


「リコッタパンケーキ w/フレッシュバナナ、ハニ−コームバター」(1400円)。

 横浜の朝の新名所を目指し、開店は赤レンガ倉庫内で最も早い時間に設定。「七里ヶ浜は8時オープンなので、テナントの所有者とも協議の上、9時開店にしました。『bills』は僕のライフスタイルを体現するお店だと考え、立地やその場の持つ空気感、フィーリングといったものが重要だと考えています。日本でももっと朝食を愉しむという文化が拡がってくれれば、健康的で良いのではないかと思いますね」(「bills」ビル・グレンジャー氏)


多大な影響力を持つレストラン「bills」の創始者ビル・グレンジャー氏。
(c) Masahiro Okamura

 3月27日のオープン初日の9時には“世界一の朝食”を求め、横浜赤レンガの前に異例の80人以上の長蛇の列。“朝食”をメインにしたレストランはハワイからも上陸。舶来モノの朝食文化は日本に新風を巻き起こしていた。

【取材・執筆】  水口 海(みずぐち うみ) 2010年4月7日執筆