フードリンクレポート


お客のわがままをどこまで許せるか。
〜ナイトから一般人へ、「やぶや」から「フライの一八」で客層拡大〜(4−3)
横瀬 武夫氏  株式会社やぶやグループ 代表取締役

2010.4.14
名古屋料理居酒屋「やぶや」を名古屋で13店、東京で6店、仙台で1店展開するやぶやグループ。ナイト業界や芸能人に愛され、深夜に着実に収益を上げている。今年3/11オープンの新業態「フライの一八(イッパチ)」が好調で客層を一気に広げてきた。4回シリーズの第3回目。


「やぶや」店内には、整然と壁一面にメニューが貼られている。

お客のわがままをどこまで許せるか

 ナイト業界の方々に鍛えられた「やぶや」の接客はユニーク。居酒屋というより、キャバクラやホストのそれに近い。

「ナイトを集客するコツは使い勝手です。お客様のわがままをどこまで許せるか。同業者なので、この店はどこまで許してくれるのかお互いに探り合いをしています。ぎりぎりの線まで怒らない。」

「素裸で入って来るお客様もいます。それでも店に入れてあげる。スタッフは膝かけをもってそのお客様のところへ走る(笑)。深夜営業なので泥酔しているお客が多い店ですが、トラブルは全店で年に1〜2回と非常に少ない。あしらいが分かっています。店のスタッフがお客様の名前を知り、サービス業の同業者なのを知っていること。お互い分かります。お互いに店が合うから来てることが分かっている。」

「教育として、勉強会『魂会』を2ヶ月に1度開いています。魂のサービスを伝える会です。例えば、今日は雪の日、寒い中お客様が来ました。どうやったらお客様が喜んで帰ってくれるかを皆で考える。考える力を養います。そして実践する。それを覚えると応用が利くようになります。」

「また、『エナジー飲み会』という自由参加の飲み会も開いています。エネルギーを交換し合おうという会。チームなのでたくさん擦り合わせた方がいい。飲みながら、こんな夢を持ってるんだとか、また悩み相談。僕も悩みを相談したりします。来てダラダラ飲んで食ってじゃなく、どうせ忙しい中に集まってもらうんだから、少し頑張ってエネルギー交換しようよ、という会。」

【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年3月19日取材