フードリンクレポート


“ブレックファースト・ミーティングの場”としてのアプローチ。
〜ブレックファーストでブレイクスル-?“ソトアサ”のススメ〜(5−4)

2010.4.15
春の訪れとともに“朝活”が活発化している。“朝活”とは朝の時間を有効活用する取り組みのこと。リーマンショック以降、景気低迷の煽りを受け、節約志向を強める消費者を取り込もうとする値下げ競争は激化する一方だ。その中で、飲食店側が見直しつつあるのが“朝食”。「外より内」という内食志向の巣ごもり消費者に“有意義かつリーズナブルな朝時間”を提案し、利用を促進している。“朝食”という起爆剤で、閉塞市場に風穴を開けられるのか?5回シリーズの第4回目。


熱気溢れるビジネス交流グループ「BNIエクセルチャプタ—」。

“ブレックファースト・ミーティングの場”としてのアプローチ

 毎週水曜日、朝6時45分。恵比寿駅から徒歩5分のイタリアンレストラン「ピッツェリア ドォーロ 恵比寿店」には早朝にもかかわらず40人以上の客が詰めかける。


「ピッツエリア ドォーロ 恵比寿店」外観。


老若男女が集う店内。

 熱気溢れる店内で行われているのは、ブレックファースト・ミーティング。6時45分から受付、開場が速やかに行われ、7時15分までは参加者による名刺交換、歓談が行われる。朝食はバイキング方式で店内の一隅にパンやサラダ、メイン、デザートが用意されている。ドリンクはアイスティ、アイスコーヒー、オレンジジュース、ホットコーヒー、紅茶など。すべてセルフサービス。

 7時15分に会がスタートし、8時30分まで、メンバーの役員の紹介及び各メンバーの60秒プレゼンテーション、担当メンバーの10分間プレゼンテーション、報告など。


料理はバイキング形式。

 このミーティングに参加しているのは、異業種の経営者や事業主。世界40カ国で10万人以上の事業者が加盟する世界最大級のビジネス交流グループ「BNI」の一環で「エクセルチャプタ—」として立ちあがった集団だ。「BNI」は各グループ「チャプタ—」によって構成され、1グループに20名から40〜50名程度のメンバーが所属する。

「チャプター」には、数十人の経営者や事業者からなり各業種や専門分野から1名のみ参加が可能。メンバー全員がお互いのビジネスを発展させるため、アイデアや人脈、そして顧客の紹介や事業者の推薦を共有している。

 定期的に朝食を共にしながら、メンバー間の信頼関係を構築するブレックファスト・ミーティング。中長期的に各メンバーの事業の売上や利益アップを目指し、マーケティング・プログラムを共に学びながら実践していく1時間30分のプログラムで構成されている。

 BNI本部のエージェントとして、ブレック・ファーストミーティングの開催場所をセレクトしているのは、レストラン事業を手掛ける小林信秀氏。「朝食市場は5年ぐらい前にヒートアップしましたが、一度鎮静化しました。飲食そのものではなく、朝の活動をする“場”としての役割が求められていると思います。固定のお客を掴めるようになれば、ランチよりも利益率はいいはず。朝は競合も少ないので、ある程度の人数が集まることが可能な“ミーティング場所”としての役割で安定した収益が見込めると思います」。(ATCT Ltd.小林信秀代表取締役)

「ピッツェリア ドォーロ 恵比寿店」の運営を行う株式会社メティウスフーズ(代表取締役 松澤俊)も同店を中心に積極的に朝食会をバックアップしているという。

「朝の営業を始めてから、売り上げが月平均80万円〜100万円弱アップしています。基本的にセルフサービスでお願いしているので、スタッフも私ひとりで対応することが可能になっています。朝食会でお店をご利用いただいている方からランチやディナーで活用していただくこともありますし、有難いですね」。(ピッツェリア ドォーロ 恵比寿店マネージャー兼シェフ 鏑木英永氏)。

 六本木ヒルズにあるビストロダイナー「Lauderdale」でも早くから朝食のニーズをキャッチしていたという。「平日は毎朝20〜30人ほどの方がいらっしゃいます。週末には都心で落ち着いた朝食を家族や友人と愉しみたいという方々がみえます。六本木という場所柄増えているのが、周辺企業のパワー・ブレックファースト・ミーティング。外資系企業や外国人の方だけでなく、日本の企業にも浸透してきているようです」。(「Lauderdale」 女将&PR 石田弘子氏)


幅広い人気を集める朝食会。


平日9時すぎの店内。


「焼き立てスフレ サーモンほうれん草」(800円)。コーヒー(150円)はお代わり自由。


【取材・執筆】  水口 海(みずぐち うみ) 2010年4月7日執筆