フードリンクレポート


松阪牛を産直で全量仕入れる。
〜大阪で“松阪牛”焼肉と言えば「M」、松阪牛ハンバーガー、ビーフサンドとヒット商品を連発〜(5−3)
巽 益章氏  株式会社ライトハウス 代表取締役社長

2010.4.21
「M」など松阪牛一頭買い焼肉店を8店展開するライトハウス。代表の巽氏はファッション業界から外食に参入した。枝肉を使い切るために始めた松阪牛100%「中之島バーガー」が好調で、第2弾「中之島ビーフサンド」は4月からJR新大阪駅でも発売される。5回シリーズの第3回目。


松阪牛の肥育農家。

松阪牛を産直で全量仕入れる

 同社では社員1名が松阪に常駐して直接買いつけを行っている。

「だからすべての部位をまんべんなく使い切らないと儲からない。自分だけでなく、料理人にとってもやっかいな仕入方法であることは確か。ゆえにだれも真似をしない。高い松阪牛を全量仕入れるリスクを考えると怖くて出来ないのが本音のところだが、マーケティング力やメニュー開発力、店舗以外でも販売できるルートがあるからこそ成立している」と巽氏。

 だから全国の焼肉店で全量仕入をしているところはほとんどないに等しいかもしれない。

「たまに他でも松阪牛の全量仕入れをウリにしているお店もあるが、大抵は『M』のノウハウをベースにしているほど難しい。自分たちでも最初の2年間は余剰部位の発生率を分析し、売り方の工夫に試行錯誤していたし、モモ肉には相当悩まされました。しかし今ではモモ肉を使った商品が増えすぎて不足気味とまた頭を悩ましています。」

「もっと簡単な方法でお肉を仕入れたらいいのに、と言われるが、誰にでもできるやり方では自分の存在理由が薄れる。つまりお客さんにとっても『M』でなくても良くなり、高く仕入れたお肉を高く売るだけのお店になってしまう。だから全量仕入れにこだわり、できる限りお値打ち価格で提供する『M』を磨き続けようと思う。」


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年3月31日取材