フードリンクレポート


共にセントラルキッチンを持たない。
〜<第4回セミナー祭レポート>「鳥貴族」「けん」が語る、チェーンオペレーションの魅力〜(7−5)

2010.4.27
第4回フードリンクセミナー祭(3/11開催)にて「外食ネクストリーダー2010」として3名を紹介。肉食系硬派チェーン「すた丼」の親分 早川 秀人氏(アントワークス株式会社 代表取締役)、広島発カフェ文化のリーダー 内田優二氏(株式会社コンプリート・サークル 代表取締役)、経営危機からの脱出を勇気をもって開示した女性経営者 近藤 一美氏(株式会社エイト 代表取締役)。3名のプレゼンテーション後に、「鳥貴族」大倉忠司氏と、「ステーキハンバーグ&サラダバー けん」井戸実氏の先輩リーダー2名がディスカッション。チェーンオペレーションの魅力を笑いを交えて語ってくれた。7回シリーズの第5回目。


危機からの脱出を勇気をもって開示した女性経営者 近藤 一美氏(株式会社エイト 代表取締役)。

共にセントラルキッチンを持たない

●安田
大倉さんは25年、井戸さんはたった3年8ヶ月。25年間「鳥貴族」というブランドを守り続けて、どこかでダレたり飽きが来たりしなかったですか?

●大倉
ずっと資金繰りに追われてきましたから、自分が性格的に同時に色んなことが出来ない。1つのことに集中する方が自分自身が合っています。

●安田
25年間、1つの業態をブラッシュアップし続けてきたんですか?

●大倉
そうですね。その方が自分に合ってる。

●安田
毎年、ちょっとずつ変えたりするんですか?

●大倉
商品開発面では、どんなサプライズ商品を作るか、そこが均一価格の命なんです。仕入れ価格はどんどん落ちて行く、原価率を落とすのではなく、原価率を保って、お得な商品を開発する。それがウチにとってのブラッシュアップですね。

●安田
チェーンなんだけどセントラルキッチンを持たない。セントラルキッチンを持つことによって、チェーンだから美味しくないとなるんですか?

●井戸
ウチは持たないですね。外食の経営者は持ちたくなるんですよね。きれいな工場をパリッと作って「どうだ俺の工場は!」みたいな。やりたくなっちゃう。いかに持たないことがいいか。物流の拠点とか。問屋がその機能を持っているのでそこにやらしちゃえばいいのに。工場も加工を問屋にやらせればいい。在庫持たなくて済むし、設備投資もいらないし。変えようと思えば切り換えられる。「けん」が200億円になったら、200億円の業態を5個作って、1千億円の会社を目指します。1千億円の会社をやっても絶対セントラルキッチンを持たない。いつでも逃げ出せるように(笑)。

●大倉
同じ意見が多いんですけど。今のチェーン店のマイナス部分は美味しくない。効率を追求したがためのセントラルキッチン。焼鳥でセントラルキッチンを設けると、どうしても冷凍になっちゃう。お客様にたいして第一と、従業員が自分の店の焼鳥に自信を持てる、誇りを持つ。そこも大切にしています。焼鳥280円ですが、本当に美味しいよ。店で国産のフレッシュな鶏肉を串打ちしている。そこを大事にしている。個人店をチェーン展開したい、そんなイメージですね。

●安田
本部から売ってるものは?

●大倉
タレだけですね。一度、メーカーさんにアウトソーシングで頼んだんですが、こちらが望む味にならない。例えば、エバラの焼肉のタレと個人店のタレは違う。「鳥貴族」のタレは鶏も丸一匹入れる、リンゴも玉ねぎも生を入れる。これをメーカーに頼むと鶏エキスになり、りんごの粉末になり、保存料も入る。タレだけはセントラルキッチン的なタレ工場を大阪に設けています。そこから全国に配送。FCさんには仕入れていただく。でも、そんなに儲けてませんよ(笑)。維持費だけをもらうイメージです。

●安田
井戸さんは本部から買ってもらうものはありますか?

●井戸
ない。全部メーカーと直接取引をしてもらってます。僕もタレは絶対自分で作った方がいいと思うんですね。自力で投げないで。作っていいもんだと思うんです。根幹なんで。絶対にやっちゃいけないのが、FC本部が加盟企業さんに商品を卸す。やっちゃいけない。乗せたって3〜5%ですよ。例えば豆腐一丁、100円のものでたった5円ですよ。たった3〜5%をもらうだけで、ちゃんとお金をもらえればいいですが、ぶっ飛ばれちゃったら。そちらのリスクの方がよっぽど高い。これを皆間違っちゃう。


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年3月31日取材