フードリンクレポート


“朝活”、外の世界と出会う。
〜バーテンダーの強みは人脈。活かせば広い世界に羽ばたける〜(5−3)
小林 信秀氏  有限会社アズザクロウフライ 代表取締役

2010.4.28
東京・吉祥寺を中心に「Vision」などバー9店を直営するアズザクロウフライ。社名の“As the crow fly”とは、英作家ジェフリー・アーチャーの著書名。行商人から百貨店経営者に至る立身出世伝だ。小林氏はバーテンダーの人脈を活かせば世界に羽ばたける、バーテンダーは次のステップへのドアを開けてくれる職業だと言う。5回シリーズの第3回目。


小林氏が立ち上げに参加した異業種交流会BNI。

“朝活”、外の世界と出会う

 小林氏は世界最大の異業種交流会BNIの東京にある一支部の立ち上げに参加した。毎週決まった曜日の朝6時30分に朝食会を開いて、ビジネスを紹介し合っている。そこで出会った方々もバーのお客になってくれる。人間関係作りが集客にダイレクトに繋がっている。

「今は知り合いの店を使っていますが、朝営業するカフェについても考えています。現在、複数の企画をいただいていますが、コンテンツを複合させるプロデュースやディレクションを行い、運営に関しては、その中のバーやサロンを担当したいと考えています。昨年は、週に1度朝食会をきっかけにした紹介だけで約1,000万円を上げました。この3年間、外食の方とほとんど会っていません。お客様になってくれる外の世界の方とばかり会っています。一番の営業マンですよ(笑)。」

 出来上がった人間関係を維持するために、コミュニケーション密度も濃い。

「僕は1日メールを100通以上書きます。今年の正月は3日間で400人、それぞれへの返信対応などをあわせると1200〜1500通のメールを行った。1月の第1週目で100件予約をとりました。BCCや年賀状で済まさずに1人1人違う文面です。年賀状のような一方通行は嫌いです。最近お会いしてないですねと書き、店に来て下さいとは書かない。返信率を大事にしています。BCCじゃ返ってこない。返事が返ってこない人には2度と送らない。お友達メールだけ送ります。返信率は90%。相手の顔を思い出しながら、皮肉とか悪口も書いて。怒られたら謝っちゃう(笑)。」

「店に来てくれる時には1本電話を下さいとお願いしています。いらっしゃったら、同伴の方に聞こえるように、ウチの小林がいつもお世話になっていると言ってました、小林から出してくれといわれたんで、とちょっとサービスします。僕が店にいなくても来てもらえるよう工夫しました。知り合いは、初めて店にきてくれた時からVIP待遇です。喜んでいただけます。」

 弊社フードリンクセミナー「ツイッターで集客」の講師、「豚組」中村仁氏がツイッターのやりとりで店に来る前からVIP客にしてしまうと語っていたのと同じ発想だ。


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年3月29日取材