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若い内にバーテンダーを経験すると道が開ける。
〜バーテンダーの強みは人脈。活かせば広い世界に羽ばたける〜(5−4)
小林 信秀氏  有限会社アズザクロウフライ 代表取締役

2010.4.30
東京・吉祥寺を中心に「Vision」などバー9店を直営するアズザクロウフライ。社名の“As the crow fly”とは、英作家ジェフリー・アーチャーの著書名。行商人から百貨店経営者に至る立身出世伝だ。小林氏はバーテンダーの人脈を活かせば世界に羽ばたける、バーテンダーは次のステップへのドアを開けてくれる職業だと言う。5回シリーズの第4回目。


2号店「vane」(西武新宿 線武蔵関駅北口より徒歩1分)。

若い内にバーテンダーを経験すると道が開ける

「バーテンダーはお店を持つことが全てじゃない。バーテンダーを3〜5年経験するとこんな仕事もできるんだよと教えてあげて、バーテンダーの底上げをしたい。最終的には別のステージにも行ける。若い内にバーテンダーを経験していると目上の人ともちゃんと喋れます。不動産に移って大成功している人がいます。500円のものを売ってたやつがどうして5千万円のマンションが売れるのかと聞くと、相手は酔っ払ってないんですよ、僕の話をちゃんと聞いてくれる、余裕じゃないですか、と答えてくれました(笑)。」と小林氏。

「バーテンダーは、ホストやホステスに近い。そう言われるのは多少の抵抗はありますが、僕らは色恋を売らないこと以外は全く同じ。僕らはお酒でお金をいただく。どっちが質が高いとかいう話ではなく、キャッシュポイントが違うだけ。でも、個性で売っていくのは同じ。」

「よくお客を店に付けさせようとするバーがありますが、僕は顧客リストをバーテンダー個人の宝物にしなさいと言っています。将来独立する際、確実に自分の為になる。自分の為にお客を作るんだとなる。そのバーテンダーが辞めると売上が半分になることもあります。損益分岐までもっていくのが会社の仕事で、それ以上はバーテンダーの仕事です。実は彼が辞める際の送り出しが一番儲かる時なんですよ(笑)。」

 実際には、辞めた方々は近くでは出店していないという。それだけ、恩を感じているということだろう。

【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年3月29日取材