・勝ち残れる店舗のつくり方をぐるなび大学で講義
では、ぐるなびのサイトに掲載して、実際に効果を出す方法を我妻氏に教えてもらった。
第一に、自分の店の特徴を強く打ち出しているところが強い。例えば、特定産地の素材しか使っていないとか、鮎なら鮎の料理しか出さないとか。強い売りがある店なら、販促ツールとして有効に機能する。
確かに顧客との双方向性を考えれば、クーポンは重要だが、ぐるなびはまずクーポンありきのサイトではなく、店の情報と強みを発信するツールであるということだ。
店の強みの打ち出し方、トレンドなどについては、実際の経営者、マーケティングの専門家に来てもらって、「ぐるなび大学」で講義。また、海外からの顧客が増えている現状であるので、英語での接客法をロールプレイングで教授している。
第二に、食材の生産者とつながる機会がある。地方自治体からもブランド力アップのために、ぐるなびを通して飲食店に食材を売り込みたいという要請があり、ぐるなびでは生産者と飲食店をマッチングさせる機会を設けて、飲食店の食材に関する悩みの解決を手助けしている。食材のクーポンカタログを発行しているほか、産地への食材探しツアーなども行っている。自分の店に最適な食材を確保できれば強い。
食材クーポンカタログ。
第三に、さまざまな販促ツールを活用している。たとえば、携帯電話をかざすとスタンプカードの代わりになって、何回来店したのかがわかる「ぐるなびタッチ」を使って、10回来れば割り引くなどのサービスを行うことができる。メルマガも発行でき、集客の機会につなげることが可能だ。
ケータイで販促できる、ぐるなびタッチ。
第四に、飲食店を利用する顧客に、お店を選択しやすくする様々な仕掛けがあり、ニーズに応じて集客プランが組み立てられる。
たとえば「セカイカメラ」と提携してスマートフォンをかざすと、位置情報と連動してお店の情報が得られる。あるいは、地域ごとに「感情を演出できる店」を特集するなど、感性で直感的に選べるように、特集ページを編集している。
また、来日数が増えている中国人観光客に関しては、近畿日本ツーリストと提携して、パッケージツアーに3000円のレストランカードを付けて、ぐるなび推奨店で使えるサービスを始めている。将来的には、中国人の国民的デビットカード「銀聯カード」で決済できるように、提携も視野に入れている。
宴会需要の掘り起こしでは、「スーパーらくらく幹事さん」というコーナーがあり、ここにエントリーすると、何日何時から、予算は幾ら、何人で、何が食べたいのか、個室がいいのかといった条件で、消費者が検索してお店選びをして、予約を入れることができる。
約2万人が登録している会社秘書と飲食店との懇親会も開かれており、約半数の上場企業の秘書が会員になっているという。役員の接待などを開拓するチャンスである。
特に毎月5万円以上、年間60万円以上を払った販促正会員ともなると、さまざまな機能が使えるようになり、より効果的な宣伝ができるとのことだ。
ぐるなびサイト内の、さまざまな特集に取り上げられるほか、検索に有利になったり、食にかかわるレポートが読めたり、顧客に関する詳しいデータが見れるなど、多岐に設定されたプランから、必要な宣伝・販促の方法を選べるのである。
求人、ウェディング、トラベルなどのコーナーもあり、食のトータルサイトを目指しているのがぐるなび。
顧客の意見が反映されにくいといった批判もあったが、ツイッターなどからお店に行った人の感想も書き込めるようになった。加盟店となって月額最低3万円以上の投資効果が集客に見込めると考えるなら、試してみる価値は十分あるだろう。