フードリンクレポート


最も勢いある食べログのユーザー数は1年で倍増!
〜「ぐるなび」vs「食べログ」、グルメサイトの王者はどっちだ?〜(5−3)

2010.5.6
飲食のポータルサイトとして著名なぐるなびと、最近急速にアクセスを伸ばしてきた食べログ。この2大サイトはぐるなびが飲食業者を支援する立場に立つのに対し、食べログが消費者のクチコミでお店を評価するというように方向性が正反対だ。両サイトの強みはどこで、飲食店としては販売促進にいかに活用できるのか。研究してみた。5回シリーズの第3回目。


東京・水道橋にある、食べログのオフィス。

最も勢いある食べログのユーザー数は1年で倍増!

一方で、ぐるなびを急速な勢いで追い上げているのが、食べログである。

 運営会社のカカクコムによれば、2010年3月末現在で、月間総ページビュー約2億9340万PV 、ブラウザ数で計測した月間利用者数はPC約1372万人、モバイル約208万人となっている。

 2009年3月末と比較しても、ページビュー、利用者数ともに倍増しており、この勢いなら利用者数でぐるなびを上回るのも時間の問題と言えそうだ。

 また、カカクコムによれば、レビュアーのクチコミ数も1年前よりも倍増しており、1日約2000件もの書き込みがあるという。

 食べログがスタートしたのは、2005年3月。同社はすでに購買支援サイト「価格.com」を運営していたが、グルメは価格のみで単純に比較できるものでなく、味、お店の雰囲気など多彩な要素が絡んでくるので、別のドメインで開始した。

 急成長できた理由は、従来のグルメサイトに対する不満にこたえたからだというのは、カカクコム執行役員食べログ本部長の村上敦浩氏。

「従来のグルメサイトは、お店が発信する広告型のものが主流でして、サイトにお金を払ったお店が掲載されてきたのです。なので、本当においしい料理を提供しているお店が、載っていない状況でした。そこで、お店選びで失敗しないように、本当に使えるクチコミサイトを目指しました」とのこと。

 つまり、ぐるなび、ホットペッパー、グルメギャオなど、多くのグルメサイトがあるが、基本的には広告的観点から業者の目線でつくられている。それに対して、食べログは消費者目線でつくられているのが大きな違いなのである。

 現在の掲載店は58万店を超えており、日本最大級のレストランデータベース。日本にある全飲食店の掲載を目標としている。

 お店の掲載料は無料である。写真は、ユーザーとお店の両方が投稿できる。

 ユーザーは行った店の評価、感想を投稿でき、料理・味、サービス、雰囲気、CP、酒・ドリンクの5項目をそれぞれ5点満点で何点か、評価することができる。それらを総合した評価点も5点満点で掲載できる。

 食べログ本部では、ユーザーが下した評価をそのまま加工せずにサイトに掲載することで、生の声が集まることとなる。ただし、ガイドラインがあり、最低文字数200字以上、個人攻撃はしない、ゴキブリが出たなど事実が確認できないマイナス点は書かないなどのルールの範囲内の記述かどうかは、スタッフが全文を読んでチェックしている。

 そして、地域やジャンル別で、総合評価点が高い店順に、ランキングされて表示されるので、クチコミでおいしいと認定された店を、消費者は選ぶことができるわけだ。

 この総合評価点は、単純にレビュアーたちの平均値で換算したものでなく、レビュアーの食べ歩き度、グルメ度を考慮して、発言の重要度の高い人の点数がより多く反映されるようになっている。つまり、1票の重みがレビュアーによって異なることに注意したい。


食べログの人気レビュアーたち。


レビューアーにより厳選されたグルメ本も出版。

 チェーン系の店は味が想像できるが、個人店はどこに入ればいいか、消費者は本当の評判を知りたがっている。特に個人店、チェーンでもせいぜい店舗数10店くらいまでのところを選ぼうという時に、食べログが活用されることが多く、全般にグルメ志向の人が会社のパソコンでお店を調べて、アフター5に食事に行くケースが多いようだ。

 なお、村上氏によれば、ランキングで表示されるレーティングは、5点満点で3点が標準だが、3.8点以上ならかなり優秀な太鼓判が押せる店とのこと。3.8点以上の店は、全国で約2800店(2010年4月23日現在)あり、掲載店の0.5%ほどである。


【取材・執筆】  長浜 淳之介(ながはま じゅんのすけ) 2010年4月23日執筆