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バーテンダーを派遣して、寝ている間に家賃がゼロに。
〜バーテンダーの強みは人脈。活かせば広い世界に羽ばたける〜(5−5)
小林 信秀氏  有限会社アズザクロウフライ 代表取締役

2010.5.5
東京・吉祥寺を中心に「Vision」などバー9店を直営するアズザクロウフライ。社名の“As the crow fly”とは、英作家ジェフリー・アーチャーの著書名。行商人から百貨店経営者に至る立身出世伝だ。小林氏はバーテンダーの人脈を活かせば世界に羽ばたける、バーテンダーは次のステップへのドアを開けてくれる職業だと言う。5回シリーズの第5回目。


小林 信秀氏。「Vin Santo」(恵比寿)にて。

バーテンダーを派遣して、寝ている間に家賃がゼロに

「最終的には直営店舗を増やさずに、バーテンダーばかりの会社にしたい。もしくは上手くいかない店に夜中だけやらせてもらって、家賃分は保証してあげて、それ以上の利益は折半しましょう。でもウチは1銭も出さない。バーにするための改装費を100〜200万円出してもらう。二毛作店として11時からバーをやらしてもらえれば、寝ている時に家賃がゼロになる、をウリにしたい。店もバーだとカッコいいはないですか。今、既に複数の問い合わせをいただいています。」と小林氏。

「20年でバーをやって飽きました。人材ビジネスをやりたい。バーであまり大きな利益を上げることはお客様の思いと反する。お客様は人がいないバーが好きなんです。どうやったら儲からないでやっていけるバーをつくるか、です。スタッフが集まり易く、夜中だけの営業で十分、酒は腐らない、イニシャルが落とせるなど、色んなUSP(Unique Selling Proposition)を持っています。現実は、強みがあるのにUSPになっていない。」

「色々な人と一緒にやっていきたい。バーテンダーは辞めてもこんな風に展開できるんだよ、ということを示したい。世界で始めてそんなのをやったバーテンダーになりたい。 色々な経営者を知っています。それは僕は元バーテンダーだったから、と言いたい。するとバーテンダーはカッコいいな、将来役に立つかも、と思ってくれる人が増えます。」

 人口減少でしかもアルコール離れが進む中、バーの存在意義を見つめ直している小林氏。バーテンダーを人生修業と見立てて、次のステップへのドアを開けてくれる職業だと位置付ける。バーテンダーを目指す若者に新たな夢を与えようとしている。


■小林 信秀氏
有限会社アズザクロウフライ 代表取締役。1974年生まれ。東京都出身。94年、1号店バー「Vision」を東京・吉祥寺に開店。現在、バー9店を直営し、バーの開業コンサルティングも行っている。

有限会社アズザクロウフライ


【取材・執筆】  安田 正明(やすだ まさあき) 2010年3月29日取材