・なぜ一人で飲みに行くのですか? 行かないのですか?
今回取材して分かったのは、“おひとりさま飲み”のメイン層は、30代後半?40代前半の働く女性。なぜその世代が多いのか、20代女性はなぜ一人で飲みに行く人が少ないのだろうか?
お酒が好きでよく飲みに行くメーカー勤務のDさん(28歳)は、これまで一人で飲みに行ったことはなく、「一人で飲みに行っても寂しい。飲みに行くなら、友達や同僚と一緒に行く。一人で飲みたいなら、家で飲む。」と言う。こういう意見が、30代前半までは多い。
仲間と飲み会をよく開いているFさん(31歳)も、「一人で行くような店は敷居が高いイメージ。他の人からどう見られているかも気になってしまいそう。それに、一人で何をすればいいのかわからない。手持ち無沙汰になってしまうのでは?」と一人で飲みに行かない理由を語る。
ちなみに、何があれば一人で飲みに行ってみたいか?と聞いてみると、「映画を流しているとか、趣味の話につながりやすいきっかけがあれば。」と、誰かと何か話さなければならないというイメージが強いらしい。「一人で来ている女性が多いと聞けば、行ってみようかと思う。」という周りからの目を気にする声も根強い。
ウイスキーを一人で飲む女性の姿も見かけるようになったが・・・。
逆に、一人で飲みに行く女性は、「仕事の帰りが遅いので誰かと飲みに行く約束をするのが難しい。誘えたとしても仕事が終わった時に誘える会社の同僚。でも、会社の人と飲みに行くとどうしても仕事の話になってしまうので、それなら一人の方が気楽。」という意見や、「接待後やお酒に弱い男性と飲んだ後、飲み足りないので、もう1杯だけ好きなお酒を落ち着いて飲みたい。」という意見も。
年齢が上がると、気軽に誘える友人が減ってきて、責任あるポジションから解放され誰にも気を遣わず飲みたいという希望が強くなるようである。人目を気にするよりもその希望は強く、何もしない時間を堂々と楽しめる落ち着きが持てるのは、年齢のお陰もあるだろう。
男性は一人で飲みに来る女性をどう見ているのか?
「何のために一人で?と思ってしまう。一人で来て疲れないのか?」「一人で来て、楽しいのか?」など、ネガティブな意見が多い。一日に4〜5人、女性の一人客が来店することもあるいう銀座のワインバー「GOSS」の金子さんによれば、「女性のお一人様は、最初女性2名で来店して、その後一人客としてリピートされる方がほとんどです。男性と来ることは、まず無いですね。」男性と行く店には、一人では行かないということ。やはり男性の目は“おひとりさま飲み”の女性には暖かくなく、気になるのか?
「GOSS」では、仕事帰りにシャンパンとつまみを楽しむ女性一人客をよく見かける。
ディスペンサーで少しずつテイスティングできるワインも女性の一人客に人気。
「女性お一人で来られる方のタイプは様々です。特に何をするわけでもなくぼーっと考え事をされる方や、本を読まれる方、私たちとお話をされる方・・・。それは、女性だから特別こうということはなく、男性のお一人で来られる方と変わりないですね。」と話すのは、バー「Atrium」(銀座)の清水さん。確かに、女性だからというだけで珍しく見られるが、していること、したいことは男性と同じなのである。それなのに、「どうしても、女性は甘いカクテル、男性はドライで強いお酒というイメージや、女性が一人で飲みに行くなんて・・・という固定概念が昔からあるのではないでしょうか。」とも。
「Atrium」のカウンター。
肉食女子とも呼ばれる、男性勝りな女性たちが増えてきた近頃、“おひとり飲み”増えるのは当然の現象なのかもしれない。