・香港に近く、所得の高い深センが立地
立地を選ぶについて、日本からの物流を考えて便利そうな場所、日本に馴染みのある日系企業が多く進出している場所、日本料理店が進出しても受け入れる土壌がある場所という3つの基準を設けた。北から、大連、青島、北京、上海、広州、深センの6都市をリストアップして視察。
●大連
人口613万人、1人あたりGDP63,198元(約95万円)、日本人4,868人
北の香港と言われる金融センター。満州国があったので日本の面影がある。日本人の留学生や日本向けコールセンターがある。狭い繁華街に日本料理店が多すぎ。価格競争も始まっており、出店すると巻き込まれる。冬場は強烈に寒く、日本料理を食べてくれなさそう。
●青海
人口757万人、1人あたりGDP52,895元(約79万円)、日本人2,820人
日系食品企業の進出が多い。韓国企業進出の中心地。韓国人が7万人いる。北京、天津の方が観光目的で訪れる街。日本料理店もさびれた感じ。ブランドを作っていくには力が必要。
●北京
人口1,633万人、1人あたりGDP63,029元(約95万円)、日本人12,260人
政治の中心。条例・許認可が厳しい。立地のパワーが弱いのに、家賃は上海の8掛けと高い。
●上海
人口1858万人、1人あたりGDP73,124元(約110万円)、日本人48,179人
経済・商業の中心。外国人は500万人くらい。実質日本人は10万人くらいいる。車で1時間圏内に蘇州、杭州があり、日本人も多い。何でもある日本料理店は飽きられ、専門店化が進んでいる。目抜き通りは坪10万円など、家賃が飛びぬけて高く、決まるのも早い。
●広州
人口1,004万人、1人あたりGDP71,219元(約107万円)、日本人数は不明
食の都。古くからの金持ちが多い。日本料理店は良い立地にない。地元不動産グループが日本料理店を出させないよう押さえているという噂もある。
●深セン
人口1,200万人、1人あたりGDP79,221元(約119万円)、日本人数は不明
香港に近く、一番最初に開放された都市。上海よりお金を持っている。香港に近いので日本食への許容性も高い。専門店が出てくる前で、チェーンが出始めた頃のレベルの市場。
海外での日本料理店の発展段階を関氏は説明する。最初に日本に来た留学生が日本料理を持ち帰り、まず中国人が日本料理店を始める。流れの日本人料理人がやってきて、個店として日本料理店を始める。「日式」は中国人がオーナー、「日本料理」は日本人がオーナーと言われる。日本人の嗜好に近いものが食べられるようになる。その後、企業が目を付け、食べ放題の日本料理を出店。それを見て、日本のチェーン店が入って来る。チェーン同士の競争が激しくなると、もうちょっと尖った商品が求められ、天ぷら、蕎麦など専門店化していく。
日本でチェーンオペレーション理論に長けた関氏は、専門店が出てくる前で、チェーンが出始めた頃の日本食レベルである、深センを立地に選んだ。