・賄賂の最高刑は死刑。その替わりにコンサルがいる
内装工事でも、コストダウンのポイントは3つ、
1) 数社から合見積もりを取る。中国は建前と本音の2重価格。お互いの主張をぶつけて妥協点を探す。
2) 業者の過去の実績確認を行う。中国人の言う「やる」「できる」「わかった」は全く分かってない。上司に伝えることが分かりましたと理解した方が良い。契約前の彼らの大丈夫はまったく大丈夫ではない。話し合いの記録を取って罰則まで加える。また、担当者の退職が多い上に申し送りがない。追及にあまり意味はないので話し合いの記録を取るべき。
3) リスクヘッジのために信賞必罰を徹底させる。工期の遅れに罰金を明確に定め、逆に工期の短縮できたら報償金を出す。業者は夜逃げしたりするので、支払いは細かく分割で。アフターフォローがないので、10%は保証金として1年後に支払うなど。工事のルールを守らないので、現場を自分で確認することが必要。
実際に交渉してくれる通訳がとても大切。通訳で、失敗する実例は枚挙に暇がない。日本語にはあるが中国語にはない言葉が多く、日本人が10分くらい話した内容を2分くらいで通訳されたりする。通訳が理解できない日本語を分からないまま伝えてしまう。通訳は重役に付くので、自分が権力者になったのと勘違いして間違った指示を与えたりする。都合の悪いことを訳さなかったり、適当に訳したりする。それを防ぐためには、細かい人間だということを知ってもらった方がいい。通訳に自分の言った日本語をもう一度繰り返させたり、文章になったものはとにかく辞書で引き、ニュアンスの違いを追求する。
次は営業許可。衛生局のルールでは、例えば厨房面積は店舗面積の1/3をもつこと。びっくりするくらい大きな厨房が出来上がる。刺身場と寿司場を別部屋にして扉を設けたり、皿を洗う場所は別部屋を設ける。冷たいものと温かいものは距離を置く。出すところと戻すところの導線は重ならないようにする。など色んなルールがある。これを杓子定規にすると店は作れない。ここで政府との交渉が必要になる。
しかし、賄賂の最高刑は死刑。外国人にもまったく容赦なし。例えば、消防局の方がやってきて許可できない、と言われた。図面は事前に申請して出来上がりも変わってない。通路は190cm幅で作らなきゃいけない。それが両脇に石を置いてあるので、実効130cmだという。じゃあと、両脇と同じ高さに石を盛った。石がじゃりじゃりするので固めろと言われた。やはり、壁を1m下げろ。厨房の壁なのでそれを下げるとまた衛生局に申請して、厨房の作り直しとなりオープンできない。そこで、デベロッパーに相談。消防業者にコンサルタント料として5千ドル払えば解決してあげると言われた。すると、翌日、消防署から許可を得られた。コンサルタント会社と契約を結び、その会社がお金をどう使うかは一切関知しない。という形で進めていくのが良い。
中国での会社設立についても触れると、定款は非常に狭い範囲でしか許可されない。例えば、外食の中でも日本食しか認められない。店ができてから会社を作ることができるようになるので、店が出来るまで銀行口座が開設できない。そこで、外食管理会社というコンサルタント会社を設立し、その下に子会社をぶら下げていく。
お金の国外持ち出しは、個人では年間500万円。法人は本社へのコンサルタント料や配当名目で送金することができる。しかし、まずは香港に子会社を作ってから、大陸に孫会社を作るのがお勧め。香港は利益や株式配当への税金がゼロ。中国は配当が年1回しかできないが、香港は手続きさえすれば何度も出来る。中国と香港でコンサルタント契約を結び、香港に少しずつお金を抜いて行く。香港はいつでも自由に日本と資金の出し入れが出来る。
また、中国で日系企業が問題を起こすと、ものすごく大きく取り上げられるので注意。そのためにも香港の子会社にすれば、いざと言う時に切れる。中国で撤退しようとするとまた税金などリスクが大きい。香港ではすぐの会社を売買できる。一度香港で子会社を作って、その孫会社として中国に作ることが賢明。